水嶋かずあきの甘辛問答

神奈川県平塚から、水嶋かずあきが語ります。
食中毒注意報

6月も半ば、季節としては夏なんですが、
いささか肌寒い日が続いています。
うっかりTシャツなんかで表にでようものなら、
あわてて戻って、一枚余分に着るような気温の時もあったりして、
気候が、一向に定まらないようですね。

 

そこでついつい、体感的にさほど暑くないから、といって、
食材の保管も、気が緩みがちになりますが、
実は結構危ないのが、この時期なんです。

 

日本における食中毒は、実は結構しっかり管理されていて、
年間の食中毒による死亡者数は多くて数名。
2009年と2010年委は二年間続けて死者数ゼロを達成しています。
ちなみに、終戦直後の昭和20年には、1800人を超える食中毒の死者を出しましたが、
世の中が落ち着くに従い、年々減少し、現在に至っています。
まあ、日本は、保健衛生の意識が高い国である、と言っていいでしょうね。
外国では、なぜかアメリカの食中毒死者数が多く、
年間5000人と言う数字が推移しています。
日本の交通事故死者数より多いんです。
で、人口で言えば、日本のほぼ半分の、イギリスやフランスでも、
年間500人前後の死者を出しているので、
人口当たりの食中毒死者数については、日本は飛びぬけて低いんですね。
ま、ここは誇るべきところです。


とは言え、死者数の話と、食中毒発生の話はまた別で、
死なないまでも、食中毒はやはりしっかりと対応すべきものです。
特に、6月は要注意月間で、暑い8月より発生件数は多く、暑さのピークを越えた9月にまた増加しますが、
これは、注意の仕方にも影響されていると思うんです。
いくら冷房が効いていようと室温は高く、キッチンに放置しておけば、菌は繁殖します。
こまめに冷蔵するとか、再加熱するとかで、気を緩めないことです。

 

さて、私達飲食業者は、それはそれは食中毒が発生すると、お店の致命傷になりますので、
何かと厳格な対応をしているのですが、
それでも、時に、上手の手から水が漏れるのたとえのように、
食中毒が発生してしまうことがあります。
特に、かつて食中毒としてその原因菌と、その対応方法を学んできたのですが、
これを超える新種の食中毒が発生することが多くなりました。
例えばアニサキスですが、これは寄生虫(線虫)の一種で、
サバ、イワシ、カツオ、サケ、イカ、サンマ、アジなどの魚介類に寄生しています。
これらの魚を生で食べると、その魚肉に寄生していた場合、
体内に取り込まれ、これが胃壁などに取りついて、
それで激痛が走る、というものです。
このアニサキスは、当然ですが、昔から存在していて、
調理人は、これらの青魚の処理をする時、
その身に寄生していないかどうかをよく見て、取り除いたものだったのです。
アニサキス幼虫は、長さ2〜3cm 、幅は0.5〜1mmくらいで、白色の少し太い糸の
ように見えます。
ですからよく見れば、除去することは十分可能なわけです。
ところが最近はこの中毒が増えてきたのですが、
その理由と言うのが、
これまた地球温暖化の流れなんですね。
もともとの宿主は、クジラとかイルカで、
彼らの体内に寄生し、糞便とともに大量にその卵が排出。
それを小魚が食べ、さらに、青魚の類が食べ、拡散してゆきます。
で、このアニサキスは、日本海側と太平洋側では幾分か種類が違うようで、
面倒なのが太平洋側アニサキス。
これが、近年の海流の変化や海水温の変化で、津軽海峡を渡って、
日本海側アニサキスと太平洋側アニサキスの交流が始まったんですね。
まあ、今までにない状況になって、一気に増殖したらしいのです。
でもって、今までになくアニサキスの被害が増えてきました。
まあ、ひどい激痛が伴うそうですが、少なくとも人体の中では成虫にならず、
いずれ死んで、排出されるそうですから、命に別状は無いのですが、
ともかく、とても痛いのだそうです。
事前の防御が必要ですね。


ともかく目に見える相手なんですから、十分に注意すれば防げます。
で、ややこしいのが目に見えないやつら。
ともかく電子顕微鏡でやっと確認できる程度のサイズのやつらが登場してきました。
その代表格が、ノロウィルス。
これが厄介なんです。
乾燥した状態でも、4℃では8週間程度、20℃では4週間以上感染力を失わないとされていて、
人の吐しゃ物などから、空気中に飛び散り、拡散し、
ごく微量でも体内に入ると、急激に繁殖し症状が出ます。
大本は、二枚貝の中で繁殖するんですが、主なものはカキと言われてきました。
しかし、近年、カキの対策が向上したことで、
カキからの感染は激減しました。
何が厄介か、と言うと、この食中毒は、
調理場から感染する、というよりは客席から感染する方が多いのです。
つまり、何らかの形でお客様が感染していて、
その方の経路や接触したもの、トイレなどからひろがってしまうんですね。


でも、一度感染者を出すと、飲食店としては、食中毒を発生させたことになり、
普通の対応をしなくてはいけません。
つまり、店舗全体の消毒や、その間の休業などをするため
原因がどうであれ、食中毒は食中毒なんですね。
ともかく従来の調理場から始まった食中毒事故ではなく、
客席から始まった食中毒、という要素が大きいんですね。

ま、いずれにしても一年状う何かしらの食中道はあるもので、
特に、この梅雨時は余計その確率が増えます。
後ろに続く暑い夏の乗り切るためにも、
ここ一番、食中毒は十分に気を付けてください。

 

| 水嶋かずあき | グルメ | 12:17 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
コシオレガニ

日本料理には、いくつかの決まりごとがあって、
そのルールをまず学ぶことが、調理人の仕事の一つになっています。


調理人の仕事は、まさに皿洗いから始まって、各種食材の下ごしらえ、
仕込の手伝いなど、初級コースを終わると、
煮方、焼き方(揚げるという仕事は焼き方に分類されます)など、
いくつか分けれ、現場の頂点には、造里(刺身)を担当するものがいて、
この人のことを、花板などと言います。
もちろん、はないたさん、と敬称を付けます。
ここから、調理人のことを板の前にいるので、板前と言うようになりますが、
本来板前はこの花板さんのことで、
煮方、焼き方の担当では、板前と言われるのはいささかずれがあります。


この、調理場の組織に中にあって、その頂点にいる人が、親方です。
親方は、料理全般を管理しますが、主な仕事は、献立を立てることです。
まあ、見様によっては、デスクワークなんですね。
で、この献立は、当然ですが、四季折々の食材を特性を把握し、
さまざまな料理法で一連のコースを作り出すのですが、
当然ルールがありまして、普通は、ある食材を重ねて使うことを避けます。
刺身のつまに、大根を使ったら、煮物に大根を使うという事はしません。
煮物の大根を優先させるなら、つまは大根以外のものを使います。
時に、何々づくし、といって、同じ食材を手を変え品を変えて、
つい通り(一連のコース)に仕立て上げることをしますが、
これは極めて特殊な場合です。


例えば、鮎をテーマに、つい通りの献立を作ると、
まずは小鮎の甘露煮やうるかあたりが、前菜で出てきて、
背越し鮎(鮎を丸のまま薄くそいだ刺身)が造里で出てきて、
アユの塩焼き、ひらき鮎の一夜干しのあぶり、とか、
天ぷら、フライの類など、
まあ、初めっから最後まで鮎、鮎、鮎と言う献立です。
ま、普通はこんなことしませんね。
ともかく、同じ食材を重ねることを嫌うんです。


で、さまざまな食材の中で、ただ一つ、重ねてもいいものがあるんです。
この理由はよく分からないのですが、さる著名な料理家から聞いたところによると、

海老は重ねてもいいというんですね。

海老と言っても、いろいろありますでしょ。
伊勢エビからはじまって、大正エビ、クルマエビ、芝エビ、
地域によっては、白エビ、ボタンエビ、サクラエビ、川エビ、手長エビなど。
そういう背景もあるのかもしれませんが、海老は献立に重ねてもいいんですね。
煮物に入っていようと、揚げ物で使おうと、焼きものであっても基本的に許されるんです。
まあ、多分うまい食材という事もあるんでしょうね。

その意味で、海老は調理素材としては使い勝手が良くて、重宝なものなんですね。
私も、海老は好物の一つで、レストランなどで、メニューに海老フライを見つけると、
迷わず注文します。
ですから、どこでどんなエビがいるのか、

については、その情報を耳ダンボで集めるんですね。
また、旨い食材としてはカニもそうです。
そもそもが、カニとエビは、生物学的には大きな分類では一緒なんですね。

一度、エビの腰を折って、真上から見てみると、
確かにカニの親せきだ、と実感するはずです。

 

ネットでたまたまこんなニュースを読みました。
主人公はコシオレガニです。
このカニは、茹でてもいないのに赤い色をしていて、
ザリガニのような外見で、体長は3〜8センチ。
中には18センチぐらいまで大きくなるものもいるとか。
まあ、基本は小さなカニです。
いや、厳密にはカニの仲間でもザリガニの仲間でもなのだそうです。
大きくはヤドカリの仲間。
通常は南のメキシコ、バハ・カリフォルニア半島の沖合に暮らしているそうです。
で、コシオレガニは泳ぎがさほど得意ではないため、
海流に流されて移動するんですね。
というか流されてしまう。
ですから、エルニーニョ現象などが発生して暖かい海流が北へ向かうと、
無数のコシオレガニがカリフォルニア州中南部の海にたどり着くのでそうです。
所が、海水温が低いと、元気がなくなる。
波に乗って、砂浜に大量に打ち寄せられることがあるそうです。


今までの何年かおきにこのような現象が起きて、
その打ち上げられたカニを海鳥が食べ、
すきなだけ食べられるので、食べ過ぎて、飛べなくなるカモメがいたとか。
ま、それなりに旨いんでしょうね。


ナショジオのこ子のコシオレガニの動画を見ましたが、
正に、カニともエビともいえない半端なスタイルで、
この形を見る限り、エビとカニは親戚なんだという事が納得できると思います。

 

考えてみると、日本の国会もコシオレ状態ですね。
なかなかけりがつかない。
ま、世の中、腰折れが多いと言うことに、今更ながら気が付きます。

| 水嶋かずあき | グルメ | 09:57 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
復活させたい行事食

6月25日、午後4時から、平塚八幡神社で、夏越(なごし)の大祓が執り行われます。
まあ、一種の神事なんですが、夏の暑い季節を健康に過ごせるように、
また、1月から6月までの1年間の中間にあたるわけですが、
その年前半のさまざまな、汚れ穢れを取り払う、と言った意味もあるようです。


ま、なんにしても茅の輪が境内につくられて、
これをくぐって、お祓いを受ける、という、
ちょっと風情のある行事なんです。
直径で2辰歪兇┐襪茲Δ並腓な輪なんですが、
茅を束ねて、縛り、これを輪にして、左右に支柱を立て、参道の真ん中に建てます。
参拝する人は、これをくぐるわけですが、
まあ、ごく普通に歩いてくぐれるというわけですから、
かなり大きなものになります。

今はやりのインスタバ映えすること間違いナシ。

あの輪っかをくぐるところを、ぱちりと写真を取ったら、結構様になるはずです。


一般的に、自分の家で茅の輪を作る場合は、直径が30センチぐらいのもので、
針金かなんかで芯を作り、これに茅の葉を巻きつけます。
八幡神社の場合、ともかく大きいので、時に軽トラ山積みの茅を必要とします。
茅場の地主の許可をもらって、氏子や総代さんなんかが皆で茅を刈るんです。

これをまた皆で輪づくりをして建てるんですね。


ともかく、この夏越し大祓を、一度経験してみてください。

 

で、最近、飲食業界も何かとポイントで売れそうなものを考え出すのですが、
例の恵方巻きなんかそうですね。
関西のごく一部での行事食だったものが、
コンビニやスーパーなど、多店舗を持っているお店が、
一斉に右に倣えで、少なくとも、行事そのものの意義より、
食べ物そのものが先行して、それなりに、一つのポジションを獲得しましたが、
まあ、何匹目かのドジョウを狙おうと、夏越しご飯を仕掛けてくるそうです。

 

ある種の行事食としては、おせち料理から始まり、
3月のヒナあられ、五月の柏餅などがあり、
商業ベースで作りだしたもので、土用丑の日のうなぎ、クリスマスのケーキ、
バレンタインデーのチョコなどがありますが、
この夏越のご飯は、正に10匹目のどじょうを狙っているわけです。

夏越ご飯は、もともと1年の折り返しとなる6月30日の「夏越の祓(はらえ)」の神事になぞらえた行事食。

神事に使う茅の輪をイメージした、丸い夏野菜のかき揚げを雑穀ご飯に載せて、

たれをかけたメニューのようです。


そもそも夏越のご飯とは、キビやアワなどの雑穀を混ぜて炊いたご飯、という程度の内容で、
どうもこれと言った定義のようなものがないんですね。
スーパーなどでは、「季節性が出しやすい。夏の食文化の提案にもなる」といいますが、
どうもどさくさまぎれの販売拡大策に過ぎないと思うんです。
ですから、彼らが作り出したメニューが、これが、夏越しご飯だ、と決めつけられそうですが、
まあ、こういうことをきっかけに、日本民族の伝統的な神事に意義を見直すのもいいことですね。

 

出来れば、私達飲食業者も、こう言う企画ものを大手の飲食チェーン任せにしないで、
地域の神社と連携して、平塚独自の夏越しのご飯を開発すべきですね。
是非とも、来年の夏越しには実現したいです。

 

ところで、もうすぐ七夕ですが、
これは五節句の一つ。
そもそもが、五節句にはそれぞれの行事食があるんです。
例えば、一月では、おせち料理を食べますでしょ。
で、次の3月3日の桃の節句には、白酒と菱餅、ヒナあられを食べますでしょ。
端午の節供では、柏餅とかチマキなどが行事食です。
さて、7月7日の七夕の行事食はなんだかご存知ですか?
そう、結構知らないんですね。
それは、素麺です。
今日はそういえばたなばただな。
昼には素麺でも食べるか、というのが昔の風習だったんですね。

行事食と言う概念すら失われつつありますが、
まあ、邪魔になるわけではないので、できればこだわってみるのもいいのではないでしょうか。

 

| 水嶋かずあき | グルメ | 09:45 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
アイスコーヒー

よく行く喫茶店のオーナーと、道端でばったり出会って、
ちょっとばかり世間話をした時のことです。
話題がアイスコーヒーのことになって、
私が、今度お店に行った時に、おいしいアイスコーヒーの入れ方を
伝授してもらえるだろうか、と言ったら、
そのオーナーが、それはかみさんがやってる仕事なんで、私は十分に答えられない、
と言うんです。
正に、パパ・ママストアーの典型のようなお店で、
どちらかがカウンターに入り、
どちらかがホールに出て、お客様へのサービスをするんですね。
これと言った定位置があるわけではないんです。
ですから、喫茶店の仕事と言ったら、どちらも堪能なのか、と思い込んでいたんですね。
で、アイスコーヒーは、なぜかかみさんが手がけ始めたのか、
いつの間にか、アイスと言えば、かみさんがやる仕事になっていって、
ご亭主はその時ばかりは、サービス係になるんだそうです。
逆に、もう40年以上喫茶店を仕切ってきて、
アイスコーヒーを落とす技は、会得していなかった、という
単純な経緯とともに、アイスを入れる技は、そうは簡単ではないんだ、
という事を思い知ったんですね。


なんか特別なコツがあるとか、
湯の温度に影響され、その見極めが難しいとか、
ま、ともかくなんかあるんです。
そこで、私は、いくら親しいとはいえ、そのかみさんが要領よくコツを教えてくれるとしても、
これは一度聞いたぐらいでは再現できないんじゃないか、と思ったんですね。


20代の頃、たまたま友人が持ちかけてきて、喫茶店を一緒にやろう、
という話になったんです。
そのころ知り合いの喫茶店が移転し、それまでのお店が貸店舗で出ていたんですね。
で、ここを借りることになり、それなりに準備して、どうやら開店までたどり着いたのですが、
一番苦労したのが、コーヒーの淹れ方です。
だって、基本は素人ですから、誰かに教わらなくてはいけない。

そこで、あちらこちら聞きまわったんです。
で、その中から、いくつかの共通点を見つけ出し、
コーヒーを淹れる原則を整理したんです。
淹れる方法はネルドリップです。

 

ネルドリップとは、ネルと言われている生地、フランネルを円錐形に縫い合わせたものを
丸い枠の金具に吊るして、コーヒーの粉を入れて、
上から、湯をじわじわと落として、淹れる方法です。
多分、いわゆる喫茶店では比較的多くのお店が取り入れてる方法です。
湯の温度とか、蒸らしの時間とか、注ぐ湯量やら、いろいろのことを注意深くやらなくてはいけないんです。
もちろんその前に、どんな豆を使うのか、どの程度の焙煎にするのか、
またミルをどの程度の粗さで挽くのか、など、
湯で落とす前段階のことがいろいろとあるのですが、
きちっとメモしてその通りやれば、ほぼ何とかなるんですね。

 

したがって、短期間ではありましたが、
諸先輩の教えを忠実に守り、何とか開店時には、おいしいコーヒーを淹れられるようになりました。
で、考えれば、今時は、コーヒーメーカーなる電化製品が、
かなり安い価格で売っていますから、
これをお持ちの家庭は多いと思うんです。
その昔だったら、家でコーヒーを淹れる、というのは、
インスタントを湯で溶かす、というのが定番だったでしょ。
それが、今や、ネルドリップの簡易不普及タイプとして、
薄茶色の濃し紙を容器にセットして、粉を入れ、
あとはスイッチを押すだけ。
ぼこぼことした音がすると、ほぼ終わりに近づき、ぽとぽとが切れるかどうかで、
入れたてのコーヒーが飲めます。


でも、正直、あの機械で入れたコーヒーは、

私がかつてネルドリップで落としていたコーヒーの風味とはほど遠くいものです。
まあ、インスタントよりましですが、納得できるほどの味ではないように思うのです、
最近、喫茶店以外のレストランのドリンクコーナーや、
コンビニなどでも、コーヒーが利用できますが、
まあ、言っちゃあなんですが、ネルドリップにかなうものではないですね。
家庭用のコーヒーメーカーとトントンのものしか落とせない。
機械で落とす限界ってあるんじゃないか、と思ってます。

 

正に、単なる思い込みかもしれませんが、
若かれし頃、喫茶店で飲んだコーヒーのこくは、

すっかり消え失せているんじゃないか、という気がするんです。
第一、あのころのコーヒーをブラックで飲む、という事はなかったですから。
ヘビィな生クリームをとろりと落として、それを口の中でかすかに混ぜるように飲む、
と言うのが、飲み方の技でしたね。

 

さて、夏ですから、アイスコーヒーだな、と思って、じゃあ、家でどうするのか、
と思い悩んでしたら、水出しアイスコーヒーのティバッグ入り、という商品を見つけました。
これを早速買って、併せて、1リッターの冷蔵庫用のプラスチック容器を買い、
これに水を入れ、バッグを入れる。
3時間ほどで、バッグを取り出すと、
すっかりアイスの水出しコーヒーが出来上がっているのです。
これは、少なくとも、喫茶店並みのアイスコーヒーの品質ですね。
インスタントコーヒーを氷水でかき回すのとでは月とすっぽん。

これはお勧めです。

 

おかげさまで、この夏、ちょっとばかりグレードの高いアイスコーヒが飲めそうです。

| 水嶋かずあき | グルメ | 15:28 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
土用丑の日の心配

日本は、四季がはっきりしている、とよく言われます。
したがって、四季折々の季節に応じて、食材も変化し、
その時おいしくなる食材を、旬、と言います。
日本料理は、この旬を重視していて、
旬の食材を活用した献立が求められるので、調理人の頭の中では、
旬の食材リストと言ったものが、ストックされています。
腕のいい板前の条件として、旬に応じた献立が立てられる、と言う能力が求めらることもあって、

そのリストは必需品の一つです。
しかし、その旬も、本来のおいしい時期が、世情で変わってしまう事もあります。


いい例が、鰻です。
うなぎを旬の食材リストでチェックすると、
7月に挙げられています。
これは、江戸の頃、通説ではありますが、平賀源内が、
知り合いのうなぎ屋に頼まれて、本日土用丑の日、と看板書きしたのだそうです。
今で言えばキャッチコピーを墨痕鮮やかに書き、鰻屋の店頭に掲げたところ、
これが評判になり、繁盛した、という言い伝えがあります。
しかし、それ以前に、夏痩せ対策として、鰻を「薬食い」していた時代があったのです。
薬食いとは、健康対策として摂るもので、おいしいとか何とかより、
体にいい、という栄養主体の食べ方のことです。
ま、とはいえ、鰻ですから、おいしいも当然ついてくるわけです。
で、このタイミングとして、夏の土用丑の日という事になっていて、
それなりの根拠があるようですが、
現代では、ほとんど意味のない言い伝えに過ぎない、と私は思っています。
年に一度ぐらい、鰻を食べるのも悪くはないだろうと思うんですが。


とまあ、うなぎと土用丑の日の関係があるので、旬の食材リストでは、
うなぎの旬は、7月という事になっていますが、
あくまで人間の都合の話で、本来の旬ではありません。
ごく自然状態での鰻の旬は、初冬なんです。
10月から12月辺りにかけてです。

とは言え、現在のうなぎの供給は、99%が養殖ものですから、
その昔吟味されてきた大自然の営みを前提とした旬の評価とは違ってきているのです。

 

さて、そのうなぎですが、
どうも、今夏の「土用の丑の日」では、かなり値上げされそうなんです。
もともとうなぎは高い食べ物でしょ。
250gから280g程度の、一番人気があるサイズのうな重で、
3000円台、というのは、結構普通でしょ。
それがさらに値上がりしそうというんです。
今年は特に、稚魚が不漁だそうで、これがうな重の価格に直接的に反映するんですね。
おおもとの稚魚が不漁だと、当然その時点で値上がりします。
大体、日本でのシラスウナギの相場は、今年高騰して、1キロ315万円。
1キロのシラスウナギは、およそ5000匹なので、
一匹当たり630円。
あの、細く小さいウナギの稚魚が一匹630円です。
これが歩留り100%で、すべて成鰻に育ったとしても、

養殖する餌代をはじめ、色々と経費が掛かるでしょ。
したがって、当然630円を超えた金額になるのです。

 

1キロ315万円と言う価値は、
純金が480万円ぐらいが今の相場。
プラチナが330万円。
ちなみに、銀は、1キロで5万円前後。
ですから、鰻は、金より安いけど銀よりはるかに高く、
プラチナとほぼ同じ価値を持つ、と考えてください。
なんかおかしいですよね。

 

今までは、なんだかんだと、あちらこちらから、シラスウナギを集めて、
国内で養殖してきました。
日本の河川に遡上するウナギだけでは間に合わないからです。
主には、香港がその輸入先でしたが、
もともと香港では鰻の稚魚の漁をしていないのですから、
正確には、香港経由で輸入する、という事です。
出所は、ほぼ100%台湾です。


日本のうなぎは、ニホンウナギと言う種で、
北半球の太平洋沿岸でしか生息していません。
とは言え、南半球でも又赤道直下でも、大西洋側でも、
他の種のうなぎはいるんですが、微妙に違いがあるんですね。
でもそこは、養殖の仕方で、味的にはかなりカバーできるので、
結果として、普通に市場に出回っています。
まあ、ほとんどその違いは分からないでしょうね。

ともかく、今年はその2軍の連中も、なかなか手に入らないようなので、
このまま行くと、今年の土用丑の日には、
とてつもない高いうな重を食べるか、
諦めて食べないか、という選択になりそうです。
今から覚悟しておいてください。

| 水嶋かずあき | グルメ | 07:46 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
前後のつなぎ役

先日、スーパーの店頭に並んでいるそらまめを見かけて、
そらまめごはんを食べたい、と思って、ほぼ衝動買いなんですが、
一束買い求めました。
結構なボリュームのそらまめも剥けば少なくなってしまうんですが、
我が家では、ご飯を炊く量が2合が基本なので、
まあ十分だろうと、考えたんですね。


さ、そこで早速、翌朝、豆を剥いたのです。
そらまめは分かりやすい豆で、ふっくらしたところに、
豆が入っています。
莢を爪ですじを入れ、ぱくっと剥くんですが、
この時、中から、新緑鮮やかな豆が出てきます。
莢のふくらみが大きければ大きい豆が、細めなら小さい豆が入っています。
何十個を剥きながら、なんとなく妊婦さんを連想しました。
ふくらみが大きいのは、そろそろ臨月という事、
小さいのは、まだ5,6か月目、という事です。
大きい豆は、ぽろっと出てきたとき、無事ご出産という事でしょうか。
一方、小さいからと言って、時間を掛ければ大きくなるわけじゃないので、
小粒を承知で剥きます。
小さいので、未熟児のようなものですが、
でも、豆は豆。


剥きおわった豆は、いったん3分ほど塩ゆでします。
茹った豆は、水に取り冷やして、皮を剥きます。
もっと緑の鮮やかな豆が出てきます。

ちょっとけち臭い話ですが、剥いた皮をどうにかして食べられないか、

と思って、一応は口に入れてみたんですが、かなりえぐくて、

一度乾燥させて、油で揚げるとかしないと、食べれそうもありません。

それ程の食材でもないので、これはあきらめて廃棄しました。


ご飯は、薄味ながら味付けし、これはこれで炊きます。
で、炊きあがったところで、ご飯に茹でた豆を混ぜます。
釜に豆を入れて炊き込むと、柔らかくなりすぎますので、
炊き込みご飯と言うより、混ぜご飯ですね。

そこで食レポ。

いやあ、おいしかったです。

豆の香、そら豆独特のコクのある味わいは、まさに旬の食べ物ですね。

 

そらまめは、蚕豆とも空豆とも書きます。
蚕豆と言う表現は、まさに字の通り、
蚕にその姿が似ているというので、付けられたようです。
莢の内側は白い綿状のものが敷き詰められていて、
まるで極上のベッドのようです。
次の命の源泉を育てる親の優しさのようなものを感じます。
空豆と書く方は、実はこの豆、枝になった時、
何故か空に向いて成長するんですね。
あの太く重い莢が、枝からぶら下がるのではなく、
ぐいッと上向きになっているんです。
まあ、普段は枝についているところは見ないので、
想像では、空を向いているとは考えないですよね。
ま、ともかく、そんな特徴を名付けられて、空豆なんですね。

 

で、そらまめを剥きながら、ふと考えたんですが、
一個一個の大小入り混じりの豆を見ながら、
こいつらは、何のために生まれてきたのだろうか、と。
まあ、たまたま人間の食料として管理されてきて、
秋になって大地に蒔かれ、すくすくと育って、収穫されて食べられてしまう、と。
おそらく、食べてしまうというところが人間が勝手に書き換えた運命なんでしょうが、
本来は、何の邪念もなく、すくすくと莢の中で育ち、
ふかふかのベッドで大きくなり、いよいよ次の生命を育てるために、
莢から飛び出す。
地に落ちて、やがて根を張り、次の命を育てる、
そのプロセスの一つとして、この世に登場したんですね。


地球の命、38億年の歴史の一環として、
この世に登場したんです。
まあ、たまたま、私に食べられてしまいましたが、
そもそもはそういう使命を負っていたんですね。
何か、一粒一粒の豆を見ながらそんなことを感じてしまいました。

考えてみれば、私達もそらまめと何の違いもない。
命の系譜を受け継いできて、
命の系譜を受け渡す、その中間の存在に過ぎないんですね。

 

| 水嶋かずあき | グルメ | 09:09 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
中学生のお弁当

私は平塚の田舎者なんで、東京のそこそこ有名な飲食店の傾向など、
はあ、そんなもんですか、って感じなんですが、
先日、さる会合で経験した話です。


そもそもは、私が主宰の組織があって、
その創立30周年を記念して、往時の仲間とも併せて、
記念のパーティを開くことになったわけです。
会場として、いくつかの候補があったのですが、事前にネットなどで調べて、
絞り込んだ新橋のイタリア料理のお店に下見に行ったのです。
なかなかいい雰囲気だったので、予約をすることにしたんです。
と、対応に出てきたマネージャーが、
何人様という事になりますか、と聞いてきました。
まあ、これは当然ですよね。
予約するのに、料理の単価とか、利用時間帯とか、人数と言うのは
最低限の条件ですものね。
ところが、まだ、案内を出したわけでもないし、
連絡の取れなくなっている人もいるという状況なので、
出席者数が読めない。
で、ついついあやふやな数を口走ったのです。
いいとこ、20名から25名ぐらいかな、と。
すると、そのマネージャー、うちでは30名様以下の人数では予約を受けません、
とけんもほろろに言うんですね。
あっそう、でもまだ確定的でないしな、とあいまいな態度を続けていると。
いや、当日、ご来店の数が、20人でも25人でも構わないのですが、
うちとしては、30人保証という事になっているんです、だと。
要は、来ようが来まいが、30人分の料金は戴くというんですね。
じゃしょうがない、あとはなるべくぎりぎりと動員をかけるかという事で
そこに予約したんです。


まあ、結果30名の半ばの数になったので、一息ついたのですが、
この、30人保証と言う制度は、東京の友達なんかに聞いてみると、

まあまあ普通なんだそうです。
ある一定の仕事の成果が、相手次第で上下するというのは、
正直、商売をしていて、いやなことの一つです。

例えば、23名、とかのきっちりした予約があって、

間際で、2人ほど欠席になったので、21名でお願いします、とかなると、

流れから、ま、いいか、となってしまうのですが、

内心、2人分の売り上げどうしてくれる、みたいな感情もあるんですね。

 

ですから、安定した数字がほしいので、その数字を保障してくれるなら、
仕事として受けましょう、というわけでしょ。

 

この典型なのが、ハマ弁です。
ハマ弁とは、横浜市が中学生の給食の形態の一部として
採用したシステムで、ハマ弁と言う弁当を、生徒に買ってもらおう、
という業者弁当なんです。
細かい契約は知りませんが、巷間伝えられたところによると、
初年度は、まあ、このぐらいは注文があるだろう、と踏んだんですね。
でも業者は、出来高だけで引き受けた場合、もし予測を下回った場合、赤字になってしまいますので、
ここで、いわゆる最低保証をしてもらったわけです。
新橋のレストランで、実際、10人しか来なくても30人分の料金を支払う、という、
保証の仕方ですね。
で、実際蓋をあけたら、なんと利用率1%台、と散々な数字だったわけです。
でも、業者としては、たとえ一個の注文であっても、この保証制度があるから
赤字にはならない。
で、結果として、この保証額と注文で得られたいわゆる売り上げとが収入になるわけで、
この収入額を、販売した個数で割ると、なんと、一個6千円についた、という事です。
ちょっと信じられないシステムですが、
業者も業者だし、それ以前に、横浜市も横浜市でしょ。
事前に調査をし、様々なデータをもとに計画を立てれば、
一個6000円なんて、どこぞのセレブでも食べるような単価のランチなんかにはならなかったはずでしょ。
まずは、大体、弁当調理代にどのくらいかけていたかです。
ガス水道代、お母さんの手間料は除いて、せめて材料代ですよね。
で、ほぼかけるべき材料代は絞り込める、つまり、グレードが推し量れるわけです。
次に、子どもたちの好みですよね。
これをしっかりと調べれば、売れ筋の献立がつくれる。


実はですね、かつてこれを調査したことがあったんです。
子供たちは何を食べたがっているか、という事です。
それによると、いわゆる、あれこれおかずが入っているものは、それほど好みではないんです。
ですから、今回のハマ弁の写真を見る限り、
一番好まれない内容になっているんですね。
子供が昼に食べてみたいと思っているのは、
実は、カレーとチャーハンと丼物なんです。
丼と言っても、牛丼とか、かつ丼とか、親子丼などです。
で、いわゆる幕ノ内系のあれこれ詰め合わせている弁当は、
ほとんど注文しない。
学校などで、このパターンで注文を取ると、
9割以上が、カレーかチャーハンか丼物なのです。
でもメニューに幕ノ内系を入れておくと、少しは注文があるのですが、
それも、担任の先生の注文だそうで、
要は、大人の好みをあれこれ並べているのがハマ弁なんですね。


ですから、このような基本的なデータを取っていれば、
ハマ弁は6000円にはならなかったはずです。
一応世間の非難を浴びたので、それなりの改善策を取っているようですが、
それでも本年度の目標は、2000円までコストを落とす、ことだそうです。
2000円でも、ええっというところでしょ。
一食2000円相当の経費を使って、子どもに業者弁当を食べさせている、という事自体、

どこを反省したんだ、どこを改善したんだ、という事ですよね。


ちなみに、5月4日の金曜日、午後3時から
FM湘南ナパサで、グルメグルメグルメ、という番組があるんですが、
この中で、中学生弁当の在り方について放送します。
お時間があったら、周波数78.3メガヘルツにダイヤルを合わせてください。

| 水嶋かずあき | グルメ | 10:48 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
初鰹の季節になりました

目には青葉 山郭公(ほととぎ)初松魚(かつお) 山口素堂


おそらく、俳句の中で、よく知られているものベスト10には入ると思われほど、

よく知られた句です。
この時期になると、テレビ番組のコーナーのイントロとして、

大体どこかでこの句が引き合いに出されます。
青葉は鮮やになり、初夏の到来を感じさせますし、
そういえば、魚屋の店頭にもカツをが並ぶようになる。
残念なのは、きっと素堂が活躍していたころは、ホトトギスという鳥も、
山辺に行けばごく普通にその声を聴くことができたのだろうと思いますが、
この初夏の青葉、鰹、ホトトギスで、この鳥だけが、
その存在を薄くしています。

 

ネットのニュースによると、
生鮮カツオ水揚げ21年連続日本一の気仙沼漁港で、
今季初のカツオの水揚げがあって、カツオ約10トンを次々に水揚げしたそうです。
大体、5月になってのことが普通だったのが、今年はそれより早くなり、
漁協関係者でも「4月の水揚げは記憶にない」という事です。
海流の関係だと推測されていますが、今年は漁場も近くなり、
生育状態も良好で、型のいいものが揃っているそうです。

ご存知の通り、鰹は黒潮に乗って、九州東岸の海域から、北上し、
四国沖を通り、紀伊半島を通り、伊豆半島を過ぎて、さらに北上しますが、
この間、少しづつ大きくなってゆくわけです。
通常は、大きくなるのと併せて脂がのるようになり、
味わいが濃厚になってゆきます。
で、その境が伊豆半島と言われていて、
四国沖当たりではまだ脂がのっていません。
逆にだからこそ、鰹節に向いていて、これが脂の含有量が多いと、
旨くカビを付けられないのだそうです。


土佐という地名と、鰹は関係が深く、
土佐という名称は、鰹節をたっぷり使った料理に付けられます。
例えば、竹の子土佐づくりとか、土佐煮などと言うようにです。
そして、北上して、脂がのって、旨味たっぷりな鰹が、
伊豆半島を超えたところ、おおむね、相模湾の沖あたりで漁獲されると、

この旨い鰹になっています。
江戸のころのことです。
相模湾あたりで漁獲されたこの鰹は、鎌倉港に水揚げされ、
早荷で、江戸に運び込まれます。
鎌倉という地名で、鰹の水揚げの拠点だった、なんてイメージはないでしょ。
でも少なくとも江戸の頃は、鰹と言えば鎌倉だったんです。


その証拠の一つ、松尾芭蕉の句に
「鎌倉を生きて出でけん初鰹」という句があります。
つまり、生きのいいうちに、今で言う、クール宅急便のように早荷として、
江戸っ子たちに届けようというわけです。
大八車に鰹を乗せ、初鰹と書いたのぼりを立てて、
わいわい言いながら、江戸に運び込んだようです。


どうも当時の江戸っ子は、この鰹を特別なものとしていたようで、
江戸の徘徊師、宝井其角の句に
「まな板に小判一枚初がつお」というのがあります。
ともかく多少高かろうと、江戸っ子の見栄だったんでしょうか、
無理しても、値の高い鰹を求めたようで、
中でも、かつおの初せりで特に上物を、当時の大金もちだった紀伊国屋文左衛門は、
今でいう150万年の値を付けた、という記録が残っています。
また、ウソかホントか、初鰹を食うために、無理をした様子を、
「女房を質に入れても初鰹」と詠んだ川柳があります。
まさにそこまでするか、でしょ。
質屋は何と答えたんでしょうね。
年増のくたびれた古女房だったら、
これじゃあ、二束三文にしかならないとか、
いい女だったら、どうぞ質流れにしてください、といったとか、
まあ、冗談ですが、まさに江戸っ子の心意気なんでしょうか。

 

ところで、鰹の料理の代表と言えばかつおのたたきですよね。
このたたきという料理法は、
鯵のたたきとは全然違う処方で、
鯵のたたきは、包丁で、身を細かく叩き切る、という叩きです。
よく、小料理屋風のところで、鯵の姿造りのようにして、
頭付きのを中骨を敷物にして、細切りにした身を乗せて出すところがありますが、
あれはたたきとは言いません。
矢張りまな板の上で薬味と混ぜ混ぜ叩くのが本来で、
叩いた身に、いくらか粘りが出てくることで、旨味が増すのです。
かつおのたたきは、藁を焼いて上がる炎に、金串を刺した鰹の節をかざし、
いくらか焦がしつつ、表面を焼き、素早く冷水に入れて、熱を取り、
これをそぎ身にして、たっぷりの薬味で食べます。
この時切リそろえた鰹の身に、ポン酢とか、柑橘系の酢などをまぶし、
包丁に腹で軽く染み渡るように叩くので、叩きというのです。

 

ま、今年はうまい鰹が食べられそうですね。
でも、女房を質に入れるほどでも無いように思いますが。

| 水嶋かずあき | グルメ | 12:09 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
3010運動って知ってました?

日本国内の年間食品廃棄量は約1700万トンといわれています。
これは、皮をむいたり、骨を取り除いたりという部分も含まれますが、
データとしては、ここの数字が基礎になります。
これは国内及び海外から調達された飼料などを除いた農林水産物の
約8400万トンの2割に相当します。

 

そこで、タラレバの計算をしてみます。
まず、廃棄された食品の量は、そもそも失われても、なんてことなかったわけですから、
本当に必要な量は、6700万トンになります。
8400万トンのうち、自給率39%(ただしカロリーベース)ですから、
輸入に頼っているのが、現状では、61%となり、5124万トンとなります。
で、ロスなしで賄うということで、先ずは輸入分を減らしてみると、
5124から1700を引くと、3424。
つまり、3424万トン輸入すればいいことになりますね。
これで済ませれば、あれほど気にしていた自給率は、
一挙に48・9%となり、ほぼ半分という事になります。
廃棄した量を節減するという事で、相対的に自給率も上がるというわけです。

まあ、数字のマジックですが、
それにしても、日本の食糧問題の解決方法の一つだと思いませんか。

 

それよりも何よりも、問題は食品ロスです。
「食品ロス」とは、本来はまだ食べられるのに捨てられる食品のことを指します。
食品ロスの量は、推計の段階ですが、年間約500万〜800万トンと試算されており、
絞った数値としては、632トンと言われています。
これは、世界の国々が食料を十分に確保できない国の人たちに対して
食糧援助をしていますが、その総量が320万トン。
食料難をすくうための食料の量のほぼ倍を、
日本では捨ててしまっている、という事です。
これは単なるもったいないという感情論だけではなく、
罰当たりな行為でしょ。


人の命を支えるのが食料です。
世界では8億人の人たちが満足に食べることができなくて、
飢餓状態にあると言われています。
しかし、我が日本では、様々な理由で、食べられる食料が、無残にもゴミとなっているんです。

 

さて、いったいどこのだれが、こんな罰当たりなことをしているんでしょうか。
まずは食品製造業が、144万トン、外食産業、120万トン、食品小売業、60万トン、
食品卸売業が16万トンとなっています。
まあ当たり前と言えば当たり前ですが、
食品ロスの現場は、作ると食べるの直接的な分野が大きくなっています。

ですから、作る・食べるの家庭はかなりのもので、
食品ロスの約半分に当たる年間約200万〜400万トンは家庭から発生しています。

 

外食産業に関しては、作る際のロスよりも、むしろお客の食べ残しが問題になっていて、
提供した料理のどのぐらいを残しているかは、営業の形態で異なります。
レストラン食堂が3.1%、旅館宿泊施設が13.0%、宴会・パーティ会場が15.2%、
結婚披露宴会場、結婚披露宴会場が22.5%となっていて、
食堂、レストランでは、好みのものを頼むので、完食が普通です。
ところが、コースなどのあてがい扶持になると、一挙に食べ残しが増えます。
特に、結婚披露宴では、お客様が着席している時間が短いためと、
若干の見栄もあって、品数が多いので、どうしても食べ残しが出てしまいます。

 

そこで、なんと、3010運動というのがあって、
宴会初めの30分は、先ずは食べることに専念しましょう、と。
そして、お開きの前10分は、席に戻って、残りを食べきりましょう、という運動なんです。
そこで、3010運動というわけです。
知らなかったでしょ、こんな運動があるなんて。

ですもんね、日本が食品ロス大国になってしまうわけです。

 

最近、ドギーバックなるものが、陽の目を見るようになりました。
そもそもは、レストランなどで、残り物を家に帰るための下げ袋のことです。
ま、犬に食わせる的な見てくれを気にして言ったのが始まりなんですが、
現在では、人間が家で食べるために、持ち帰り容器としてのものとなっています。
これはいいことでしょ。
もったいないの対処法の一つです。
ただ、飲食店側からすると、店の管理外に持ち出されるため、
食中毒なんかが起きたらどうする、と言いう問題は残っています。
ま、あちら立てればこちら立たずですが、

まずは、知恵を出して、やってみたらどうでしょう。

 

| 水嶋かずあき | グルメ | 01:22 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
はしり・旬・名残り

今が旬だとかよく言いますよね。
ドンピシャのタイミングみたいなことです。
盛りでもいいし、絶頂期でもいい。
もともとは食材のおいしい時期のことを旬と称していました。
旬は、上旬、中旬、下旬でも分かるように、10日間前後の期間を指します。
大体、季節季節で巡ってくる食材の美味しい期間は、

まあ、10日ぐらいだろ、というところが原点になっています。
とは言え、その盛りである旬の前から出回り始め、

旬が終わったと思える後も、まだ出回ることがあるので、
これにも丁寧に名称があって、旬の前をはしりと言います。


魚屋の店頭を眺めていたら、ホタルイカが並べてあった。
おおう、そうか、もうそういう時期か、みたいに感じることがありますが、
ま、それにしちゃ、一足早いかな、と思ったら、これがはしりです。
本番到来の一歩お先に、という事ですね。
で、旬に入って、もちろん、物によってその旬の長さは異なります。
特に、人工的な栽培をしないものは短いですね。
この時期で言えば、ふきのとうなど、スーパーの店頭で見かけたと思ったら、
次に行った時はもうない、何てことはざらです。


そして、これも物によってですが、旬が終わっても、まだ流通するものがあります。
これを名残りと言います。
はしりも旬も名残りも、物によってはそれぞれの味わいがあって、
なかなか豊かな料理の世界を作り出すのですが、
名残りに関しては、いささか、気持ちの動きも伴い、
ああ、これでぼちぼち終わるんだ、みたいな惜別の心がより味わいを深くすることがあります。


で、八百屋に、本来の旬の期間を超えて結構長々と出回っているのは、
産地が異なるからですね。
例えば、これから旬の竹の子は、本来、もし、平塚産のものしか扱わないとしたら、
本当に、いいとこ10日間ぐらいしか出回らないのです。
十日間を意味する旬に、竹カンムリで筍(たけのこ)と言う字ですから、
正に筍はそういう季節を表す代表格なんですね。
しかし、全国の流通に載って、食材が届けられますから、
一か月やそこいらは品物が店頭にならぶわけです。
こう言うものって、気温が影響しますから、
竹の子の初期は九州のものが出回り、やがて北上し、近畿、東海、そして、
関東に入ります。
関東を抜けたら、北陸や東北のものに変わる、という事で、
なんだかんだと、走りと旬となごりが合体して、長めの旬を構成するのです。


もっと極端には、一年中というものが多くなってきましたから、
現代人は、旬に疎くなっているようですね。
ま、ある意味、旬と言う存在は、流通システムやら、保存技術やら、
品種改良などで、いつでもどこでもと言う状況を作り出してきましたので、
本来の季節の流れの中、私たちの目の前に登場する劇的な効果を失わせてしまったのかもしれません。
便利と言えば便利ですが、季節感をそぎ落としてしまったというマイナスも
しっかり感じ取ることも必要でしょ。


昨年、すさ美会展で、絵献立という作品を出品しました。
要は献立にその出来上がりを絵で表したものです。
最近はそんなもの観なくなりましたので、精一杯歴史的な考証をしたうえで、
作品を書いたのです。
で、作品展の時期が5月の連休だったので、
端午の節供の祝膳、というテーマに絞り込み、
まずは献立を決めるところから入ったのです。
つまり、この時期の旬の食材は何か、という事ですね。
いくら美術展の作品でも、背景になるところにリアリティが欠ければ、
作品としても問題がある、と考えたからです。
何しろ、5月初旬の、しかも祝膳ですから、
縁起の良い食材、料理、を前提に、本来あるべき物は何か、
という事の献立作りに、一か月もかかりました。


その献立に登場したのが、
若竹煮、という筍と若布(4,5月が旬です)蕗の青煮などを盛合せたもの。
また、アユの塩焼きと蓼酢を添えたものの魚料理も入れました。
5月ですから筍はなごりです。
鮎は、ちょっと早めなので、はしりです。
まあ、こんな風に、旬を意識しながらも、

微妙な食材のおいしい時期をコーディネートするわけです。

 

ま、深く追求すればそれなりに、意義深いものがあるのですが、
昨今の、なんでもありの状態だと、
旬という言葉自体が妙に古ぼけたものと感じてしまいます。
ほとんど気にしないというか、はっきり言えば、いつがこの食材の旬なのか、

なんて誰も気にしていないと思うんですね。

かつて、ナパサでグルメ番組を担当しているときに、
和、洋、中のそれぞれの季節に応じた料理の紹介をしましたが、
洋と中は、基本的に旬という概念がないんですね。
ですから、旬を大切にするという日本料理の在り方を誇りに思っていたのですが、
最近はいささか堕落して、旬の概念のない洋とか中とかと
変わりなくなってしまった、と思っています。

 

ま、これも時代の流れでしょうか。

| 水嶋かずあき | グルメ | 10:05 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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