ダーウィンの進化論は、
ガラパゴス諸島に住んでいたフィンチと言う鳥の観察によって、
その構想が築き上げられた、と言われています。
これは、島が変わるとそこに住むフィンチの形態が変化していたのを見て、
ダーウィンはある仮説を立てます。
そして、島ごとの違いはあるものの、
これは、元になる種は同じだったのではないか、と。
島のそれぞれの微妙な環境の違いが、鳥に変化を与え、
結果として、今見られる個体の違いにつながっていったのだろう、と。
要は、生物は、環境に適応しようと少しずつ変化し、
時間が経ってみると、積み重ねてきた変化が際立つようになり、
個体差に現れてくると言う事に気がついたのです。
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これは、すべての生物種に言えることで、そ
の環境の変化と言うのは、違いとは言い切れないほどのわずかなことでも、
地域の個性の差が大きく表れてきます。
例えば、コンゴ川流域に暮らすチンパンジーですが、
たまたまこの川を挟んで分れて棲息するようになった
チンパンジーにとっては亜種ともいえる近縁種に、ボノボと言う種がいます。
ちょっと見は、ほとんど変わらないのですが、
生物学的には別種として区分されています。
チンパンジーは、雄主導の群れを構成していますし、その分粗暴な行動をとります。
時に、共食いまですることもあるくらいです。
一方、ボノボは、メス主導の群れを構成し、
穏やかな性質を持ち、ほとんど争いのない生活をしています。
この二つの種は、一つの川を挟んで西と東に分かれて暮らし、
川が広く大きいので、渡ることができず、
そのまま個別に進化した結果、違う種となるまでの進化をし、
存在するようになったわけです。
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さて、われらが人類ですが、
およそ20万年前にアフリカの東で発生し、何万年かアフリカ大陸内を右往左往し、
10万年ほど前に、アフリカ大陸を出ると、世界の各地に散らばってゆきます。
まずは、中東を経て、西北に向かいヨーロッパを中心に暮らしの拠点を構えた者たち。
また、マンモスを追いながら、西北を目指し者たち。
また、インドを経由し、アジアに散っていった者たち。
さらには北から、アメリカ大陸に渡り、次にそこから南下し、
北アメリカ、南アメリカに生息域を広げた者たち、などなど。
ほぼ1万5千年前までに、地球のありとあらゆるところに進出します。
北の凍てつく大地に根を下ろしたものもいますし、
南の赤道直下の灼熱の地を選んだものもいて、
まさにそれぞれの環境は、天と地ほどの違いがあったのです。
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そこで、世代を繋ぎながら、何万年と地域の環境になじみながら暮らしてゆけば、
当然ですが、土地柄ともいうべき資質がDNAとして固定化されてゆきます。
ガラパゴスのフィンチのようにです。
見た目も変わってきますし、性格も異なる。
穏やかな気質の者たちもいれば、争いごとの絶えない連中もいる。
それを、民族としても気質の固定化することもあったわけです。
自立心の強い気質と、自立心の弱い気質では、当然生き方が変わってきます。
これは、まさに民族的な差と言えばそれまでなんですが、
たまたま、そういう歴史を作り上げ、その中から生まれた差異であるという事です。
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例えば、中国も朝鮮も日本も、おそらく世界から見れば、
同じ地域の同じ気質を持つアジア人とみなされるでしょ。
私たちアジア人から見れば、
イギリス人もフランス人もドイツ人もその違いが見た眼で分からないようなものです。
しかし、中国も朝鮮も日本も、どこか微妙に気質の違いがあるでしょ。
中国人の大声での会話だとか、公共性の欠如は、
ちょっとDNAとして刷り込まれているだけの問題だろうか、
と感じるほど違和感があります。
朝鮮人の恨みの強さ、感情の表現など、日本人とは異なる、と感じます。
ほぼ同じ地域なのに、この違いは、
まさに島ごとに異なる進化をしたフィンチのごときです。
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NHKのロシアの近代史のようなドキュメンタリーを見ました。
私たち日本人にとって、ここ100年ぐらいの中で、
あの国は驚くほど多くの国民を殺害してきました。
要因は、何回か繰り返された政治体制の変化の中で、
反対の位置にいるものの粛清とか、
近隣諸国との戦争の前線に、命と言う価値観もないまま多くの国民を戦場に送り出し、
死をも平然と受け止めてきたという、民族が持つ残忍さを感じました。
このような素地が前提で、この国を眺めてみると、
私たち日本人には不思議でならない、プーチン支持の8割越えと言う現象が、
わずかながら理解できるような気がします。
正にとっかえひっかえ、専横的な立場のものが登場し、
権力を肥大化させてゆく。
それによって、国民は彼らのなすがままにされても、余り疑問を持たない。
そして唯々諾々と強権の指導者を選択してゆく。
彼らには、自由より価値のあるものがあるのですね。
それがロシアのDNAなのです。
そう思うと、あの大統領選挙の結果が、さほど不思議と感じなくなります。
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ま、結論は日本人でよかった、という事でしょうか。