水嶋かずあきの甘辛問答

神奈川県平塚から、水嶋かずあきが語ります。
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名護市長選の話

沖縄県名護市の市長選挙は4日に投開票が行われ、
自民・公明両党などが推薦し、地域経済の活性化を前面に掲げた新人の渡具知武豊氏が、
アメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設阻止を訴えた現職を破って、
初めての当選を果たしました。

 

1971年、まだ返還前の沖縄を私は訪れました。
返還後の沖縄経済の在り方を本土、沖縄のそれぞれの経済人が議論するためです。
まだ若造の私は、その会議でも、隅の方に座って
おえらい方々や、専門家の意見をただただじっと聞いていました。
で、矢張り問題は、駐留する米軍の対する対処の仕方です。
大雑把には、いない方がいいのか、いてもよいのか、という選択です。
当時ですら、基地経済とか言われて、米軍の落とす経済効果を無視はできないようでした。
ですから、現地では、基地存在について、容認する意見が圧倒的でした。
おそらく今では考えられないでしょうが、こんなことも理由の一つでした。
当時、沖縄の経済の柱の一つがサトウキビの栽培で、
このサトウキビは収穫時期が来ると、ともかく短期間に刈り取らなくてはいけないのだそうです。
あるタイミングで、早くても遅くてもダメで、極めて集中的に農作業を進めなくてはいけない、
という事でした。
ところが、その瞬発力を求められる農作業に、それだけの力が現地ではなく、
駐留する米軍兵士のボランティアに頼っていたのです。
ある農業関係者は、兵隊さんたちがいなくなったら、
サトウキビの借り入れは困難になる、と断言していました。
私達はそんな事情は知りませんでしたから、そういうもんか、とただ驚いた次第です。
ま、これは駐留軍の肯定的な意見です。
米兵の消費による基地経済やら、主幹産業のサトウキビの刈り入れやら、
要は、地元として、食っていけるのかどうか、
という現実的な要因が、判断の大きな基準になっていたのです。

 

先日の名護市長選挙はまさにこのことを思い出させました。
その結果ですが、、新人の渡具知さんが、2万389票で当選。
現職の稲嶺さんは、1万6931票で落選。
その差3458票。
沖縄から伝わる空気から、知事が主張する米軍基地の問題について、
否定的な人が有利なのではないか、と思っていましたが、
あにはからんや、基地肯定的な立場の新人が勝ったわけです。
ざっと考えれば、よそのまちの話ですし、
現地の市民感情までよく理解できないのですから、
ただ、速報を見て、事実を知り、へえそうなのか、と言った程度だったんです。
で、ネットでそのあたりの飛び交う情報を見てみると、
どうも、とんでもないような泥仕合が展開されたようですね。

 

いくつかの不思議があります。
有権者数は4万6582人、投票総数は3万5733人、
投票率76.71%。
まあ国家的な問題が争点ですから、その意味では、そこそこの投票率ですよね。
で、問題はここです。
4年前の市長選の時は、有権者数は4万6582人、投票総数は3万600人ほど。
今回は、4万9千人余りで、なぜか3000人も増えているんです。
ネットの情報では、選挙前移住が行われ、3000人ほどが新住民になったそうです。
常識的な人口推移では、この急成長ぶりは考えにくく、
選挙用のある種の動員ではないか、と思われるんですね。
つまり、その町の人間でない人たちが、
確かに国家的な問題だとしても、
その町の首長を選ぼうと言う時に、口出しをしたことになるでしょ。
地方自治、民主主義への冒涜でしょ。
まあ、合法的なんでしょうが、だから仕方ないという話ではありません。
問題意識と郷土愛は一致しません。
自分が暮らしている街をこよなく愛している人にとっては、

よそもんの意志で、町の方向性を決めないでくれ、
と言いたくなるでしょうね。


それともう一つ、異常な数字があります。
投票総数は3万5733人のうち、
期日前投票を行った人は2万1660人で、およそ40%。
なんか、このへんとは違いますね。
40%ですよ。
なんかそれこそ地域性なんでしょうか。

 

さて、選挙の概要はともかく、
本来問うべき辺野古問題について、渡具知さんは
選挙期間中触れなかったそうです。
賛成とも反対とも言ってないんですね。

稲嶺派の人は、肝心の争点に触れないのはずるいと言っているようですが、
これは作戦とともに、もう一つの問題が、前面に出ていたんだと思うのです。
それは地域経済です。
国は、かなり露骨に国の言う事を聞かない沖縄に対して、
さまざまな補助金を削減してきました。
まあ、やりそうなことです。
要は、北朝鮮に対する国際社会みたいなものです。
圧力で、こちらの主張を通そうというわけです。
沖縄は、各種補助金など、国から地方に回る様々な資金を減額されてきたのです。
つまり、兵糧攻めをされてしまったんですね。
じわじわと、地域経済は悪化してきました。
ここは何とかしなきゃ、と言う民意が予想外の得票につながったんだと思います。
人は理想もさることながら、今日の糧の確保が最優先するんですね。

 

正直、国のやり方としては、フェアでないと思います。

かつて本土復帰を果たした時に、これからどうやっておれたちは食ってゆくんだ、
と戸惑っていた沖縄の人たちが、
45年たって、また、揺れ動いているのです。
何より、当事者である名護市民の頭の上を超えて、
基地反対とか、容認とか、よそもんがやってきて、
市政に混乱をあたえ、国政の代理戦争のような様相になっていったのは、
地方自治に対する大いなる冒涜ではないかとおみます。
中央の政治信条が地方をコントロールするのは、
矢張り間違いだと思うんですね。
自分たちのことは自分たちで決めるのが本来でしょ。

| 水嶋かずあき | あれこれ | 11:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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