水嶋かずあきの甘辛問答

神奈川県平塚から、水嶋かずあきが語ります。
<< ハワイの噴火は対岸の火事か | main | 数より質 >>
地雷の上で暮らす決断

原子力発電に対して、およそ意見が二分されています。
賛成派は、エネルギー総量を確保する、という事、
安い電力と言うコストの問題、主としてあげます。
反対派は、万一の危険性と、核のゴミ処理方法が見つかっていない、
などを挙げます。

 

福島原発事故以後、ともかく、いったんは全機停止になり、
安全基準が引き上げられ、ぼつぼつ再稼働が始まりましたが、
いかにも、のど元過ぎれば熱さ忘れるの如く、
世間の目を気にしながら、こっそりと始めた、という感じがします。
いや、正確には、世間があれこれのことに目を奪われて、
原発事故のことも忘れつつあるのかもしれません。

 

2015年の鹿児島県の川内がまず再稼働、
続いて、福井の大飯原発3・4号機、佐賀の玄海原発3・4号機など、
新基準を満たしたとかで、再稼働が始まってます。

東日本大震災前は、50基を超える原発がありましたが、
福島のように事故を起こした場合も含め、老朽化など、様々な要因で、
その後10基が廃炉になっています。
もちろん、この後、続々と申請の許可が下りれば、
再稼働が始まるのです。

 

そして、妙なことがいくつかあるのですが、
地元の安全対策が十分かどうか、という事も再稼働許可の条件なんですが、
安全対策という事は、万一かもしれませんが、事故が起きることが前提ですよね。
つまり、なんだかんだと、危ない施設である、という事があって、
その対策をしっかりと求められているんです。
で、その事実ひとつ考えても、地域の住民、自治体は、危ないもののひざ元で暮らすなんて、いやでしょ。
福島の実例からも、一度なんかあったら、ふるさとを捨てなくてはならないかも知れない、と。
今までのコミュニティは壊滅する。
学校に通う同級生も、居酒屋で顔を会わせる呑み助たちも、
役場で仕事する同僚とも、
今までのようなお付き合いができなくなるんです。
露骨に言えば、墓参りにすらいけなくなるかもしれない。
でも、ま、いいか、と原発を受け入れるわけです。


そこにはこんなからくりがあって、地域住民は、YESと言ってしまうんですね。

それは、電源立地地域対策交付金です。
要は、原発を作ることを同意した時から、その自治体に流れてくるお金のことです。
まず、うん、と言ったその年に5億2千万円。
ま、大したことないですね。
人口2万5千人のまちなら、一人当たり2万円程度です。
これが3年続きます。
そして、大体3年で調査が終わり、設計が出来上がるんですね。
で、4年目に着工です。
この年には50億程度は支払われます。
そう、住民一人当たり20万円。
これが完成までの年月払われて、いよいよ運転開始、となると、今度は、
その施設の固定資産税の補助として、78億円あたりが支払われます。
住民一人当たり30万円です。
で、その後、資産は償却しますので、固定資産税は少なくなってゆきますが、
なんだかんだと、20年間はこれらの交付金が支払われ、
一基の原発に、20年間で、893億円の支払いが行われます。
住民、25000人とすれば一人360万円です。
ま、個人には、支払われませんから、これはすべて、行政体に入ります。
大体原発が作られるのは、海沿いの、まあ、言っちゃあなんですが、
財政的にも、さほど裕福とは言えないようなまちに建てられます。
ですから、まちとしては、地雷の上で暮らすことになろうと、
総額893億円と言うお金には、うんと言わざるを得ないわけです。

893億円ですって、ヤクザと言うゴロですね。
ま、なんかあったらごめんねの前払いみたいなもんです。
英語で言えば、リスクディポジットとかでしょうか。
ですから、20年経つと、893億の酔いがさめてくる。
すると、じゃあ2号機はどうか、となるんですね。
そして、3号機、4号機となってしまう。
まあ、たとえがよくないかもしれませんが、麻薬と一緒でしょ。
切れると、ヤクくれ!みたいのところを、
切れると、原発建てろ!と言うわけです。

やっぱりヤクザです。

 

で、不思議なのは、その立地したところが手厚くなる。
でも、 事故が起これば周辺も巻き添えでしょ。
ここがどうも十分でない。
したがって、立地の行政体と幾分か温度差が出てくるんですね。
何より、福島の事故で立証されましたが
国は、(無能だと思うのですが)、被害等は同心円で囲った地域を対象にして評価しました。
つまり、いわば爆心地にコンパスの芯を置いて、
同心円を書き、半径10キロの地域は、とか、半径20キロの地域は、とか、
さまざまな規制を作り、もちろん遠いところほど、規制は弱くなってゆくのですが、
実態は風向きが大きく影響し、ほぼ縦長の楕円状に被害は分布したのです。
つまり、風上側のまちはいくら近くても大したことがない、というのが実態です。

上空は偏西風が吹いていますから、そのまちの風向きは、ほぼ一定しているんです。

 

例えば、静岡の浜岡原発が被災したとすると、
気流の関係で、汚染度Aクラスは浜岡を先頭に、東北方面に伸びます。

これが箱根山のふもとまで。
で、その周辺がBクラスになるのですが、
このBクラスの汚染度の地域は、箱根山を越えて、小田原にやってきて、
なんと、平塚、茅ヶ崎辺りまでが、そのエリアに入ってしまいます。
これは気象学的な観点でもそうなってしまうんです。


さ、そこでですよ、浜岡が得られた交付金の何%か、平塚ももらえたのか、
となるとそういうことはないでしょ。
いや、ついでにせこいことを言おうというわけではないです。
つまり、地域住民の合意、とか言っても、
実態はだれがリスクを背負うのか、という事は、
国が考えるような同心円では解決できないわけです。

いや、原発に関して、たった一つ、地域住民の意識、という観点だけでも、
色々なことがあるんです。
大きな問題でしょ。

| 水嶋かずあき | あれこれ | 14:03 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









http://blog.mizushima-kazuaki.com/trackback/2652
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< May 2018 >>
+ SELECTED ENTRIES
+ RECENT COMMENTS
+ CATEGORIES
+ ARCHIVES
+ MOBILE
qrcode
+ LINKS
+ PROFILE