水嶋かずあきの甘辛問答

神奈川県平塚から、水嶋かずあきが語ります。
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正常バイアス

先日、親子で登山し、行くへ不明になり、5月29日に、親子は遺体で発見されました。
不明が分かってから、3週間が過ぎていましたので、
関係者の間では、生存は絶望視されていましたが、
改めて遺体が確認されると、それはそれで大きな衝撃となりました。
死因は低体温症だったそうです。
きっと十分な食料もなく、寒さに対する備えも不十分だったろうと思われます。
何より、希望が少しづつ先細りになってゆく中で、
この親子は何を語り合ったのだろうか、と想像すると、
胸が詰まる思いです。


7月から、夏山が始まります。
登山する人が増えるにしたがって、遭難する人の数も増えます。
近年は、遭難者数が3500人を超えたそうで、この数は、増加傾向にあるそうです。
そして、ここでも、高齢者社会の象徴がデータとしてあって、
遭難者の9割が中高年者。
遭難する人の数は60代がピークになっています。
70代80代は、そもそもがあまり登山しなくなるんですね。
そりゃ年ですから、無理はしない、いやできない。

そこで最後の現役世代が、定年退職とともに、軽い気持ちで登山する。
当然、突然始めたわけでもなく、
その昔、しばしば仲間と山登りはしていた、という、いわば昔取った杵柄なんですね。
でも、本人が思っている以上に体力は衰えていたんです。
そこで、山に登った時になって、体力的な不足を感じる。
大体遭難はその8割9割が下山時に発生するのだそうです。
ですから、上り終わったところで体力の残りは少なくなっている。
かつては、下りても、さらに体力が残っていたかもしれませんが、
状況では、下りる途中でエネルギー切れ、なんてこともあるようです。

遭難のほぼ4割は道迷いだそうです。
冒頭の親子も道迷いです。

 

道迷いと言うのは、判断間違いですよね。
つまり、正しい判断がしづらくなる。
エネルギーが切れたり、疲れが重なったりすれば、頭の血の巡りも悪くなります。
しばしば判断ミスは、疲労が要因になります。
で、登山の場合、これが決定的な要因になって、
ふと道を間違える。
この判断ミスの背景ですが、

下山という事は、登山と言うことが達成した、という、
いわばおまけの行動と捉えがちなんです。
つまり、事後処理的な感覚になりがちなんですね。
ですから、さっさと片付けたい。
要は帰りを急ぐんです。
帰心矢の如しなんでしょうね。
で、判断ミスをする。
しかし、これは第一のミスに過ぎません。
大半が第二のミスを連続してしてしまいます。
それは、間違えたと分かった瞬間に、元に戻ろうとしないことです。
道迷いをして遭難した人の大半は、間違えを修正する方法として、
元に戻る、ということをしないそうです。
なんとなく、ロスを発生してしまった、と考え、
このロスを取り返そうと、前進するんですね。

 

私は、車を運転していて、道を間違え、戻ればいいものを、いや何とかなると、
前進したために、かえって遠回りをしてしまった、という経験がよくあります。
しかも何度もあります。
ですから、一度しまったと思うと、どうも正常な判断が効かなくなり、

一種のパニックになるのですね。
これを正常性バイアスと言うそうです。


そもそもバイアスとは、偏りとか偏見、思い込みなどのことで、
物事を認知するうえで、正常である、という過信から、異常性を過小評価することなんです。
非常時にあって、大したことない、とか、偏った情報で判断したりとか、
まあ、状況に応じた適切な対応をしそこなう事がありますが、
これは正常性バイアスの一種です。

で、道迷いをした、と思った瞬間、実は正常性バイアスが働き始め、
その後とろうとする行動を正しい、と思い込んでしまうんですね。
で、多くの人が沢を下り始めます。
何故か、戻る事より沢を下る方を選択するのだそうです。
結果として、沢はしばしば滝につながり、
この滝を超える時に負傷したり、エネルギーを大きくロスしたり、
いわば疲弊の大きな要因になってしまうのだそうです。

 

ある時間を過ぎても戻ってこなければ、最終、救援隊が出動します。
この時、正規のルートに近ければ何とかなるのでしょうが、
ルートから遠い所をさまようため、なかなか見つからない、という事もあり、
先日の新潟の親子のように、まるで見当違いのところで発見されたりするわけです。

 

実は、不思議なんですが、今時ですから、GPSを所持していたらいいわけでしょ。
スマホの類とか、また高精度な専用機器とか、少なくとも予備電池も含め、
GPSを所持していたら、こんな悲劇は防げたはずです。

 

ちなみにタイの洞窟に閉じ込められている少年たちのところに
GPSを運んで、そこをめどに掘削する、という手があるじゃないですか。
正にピンポイントで掘り当てられるわけでしょ。
とは言え山の中。

器材をどう運び込むのか、ということもあるかもしれませんが。

まいずれにしても人類が開発した機器を活用しないという手はないでしょ。
遭難者の救出に、もっと活用できると思うんですが。

 

もっとも、山なんて高麗山以上の高さに山に登ったことがないので、

偉そうなことは言えないと思いますが。

 

そうそう、神奈川県は、山岳遭難の人数が、

全国で、ベスト10を切ったことがないのです。
ちょっと意外でしょ。

| 水嶋かずあき | あれこれ | 11:40 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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