水嶋かずあきの甘辛問答

神奈川県平塚から、水嶋かずあきが語ります。
<< ゴミの分類 | main | ハゲタカ >>
これを蛮勇と言う

テレビで、その様子が何度も流れたので、ご存知でしょうが、
内戦下のシリアで3年前に行方不明になった日本人ジャーナリスト、安田純平さん(44)が
流暢な日本語で「私の名前はウマル、韓国人です。とてもひどい環境にいます。今すぐ助けてください。
今日の日付は7月25日」とインターネットで、流された映像が、
テレビでも流されました。


よく分からないのは、ウマルという韓国人だ、と名乗ったことなんですが、
まあ、きっと何かの事情があったんでしょうね。
で、その後、菅官房長官が定例の記者会見で、これを取り上げ、
安田氏本人であるという事。
政府としては邦人の生命を第一に考え、救出に全力を果たす、とコメント。

 

で、です。
どうも釈然としないものがあるんですね。
何しろこの安田氏、過去5回も拘束されていたという経験の持ち主。
なおかつ、政府からは、危険なところに行かないように勧告を受けていたという事実。
さらには、解放におよそ1億円ぐらいの値がふっかけられているという事。
一部では、交渉によっては、半額になる、なんて話が出ているとか。
何とも胡散臭いでしょ。
身代金引き出しのプロとまで言われているんです。

 

まあ、オオカミ少年の話のように、
またかよ、とばかり冷たくあしらえば、もしかして殺されてしまうかもしれない。
さて、どう対処すべきか、と言うところですよね。
こう言うのって、秘密裏な交渉ルートがあるらしく、
それなりに、蛇の道は蛇のたとえのごとく、どこかで、交渉の道は作れるのだそうですが、
だからと言って、その交渉の全貌が明らかにはならないでしょ。
今までも、日本人が拘束され、その身代金と引き換えに
解放されたことがありましたが、
あまり明確な説明がありませんでした。


国が払ったのか、ご本人の負担分がどれほどあったのか、こんなことすら説明されません。

 

イギリスなどでは、この類の身代金交渉は、一切されないそうです。

わが国民を拘束しても、身代金の交渉には一切応じない、と宣言しているんです。
一見薄情なようですが、結果として、金のとれる相手でなければ、交渉することはないでしょ。
つまり、高らかに宣言することにより、かえって、イギリス人を拘束し、
その命と引き換えの身代金交渉は分が悪い、という事になっているんですね。


つまり、よく言えば、人情味あふれる対応かもしれませんが、
交渉次第でいくらかになる、と言う日本人だとしたら、
却って、狙われやすくなるわけです。


身代金目当ての子どもの誘拐をしようと、すれば、当然金持ちの子を狙います。
昔、黒沢明監督、三船敏郎主演の天国と地獄と言う映画がありました。
要は子供を誘拐し、その身代金をせしめようというストーリーです。
天国と地獄の意味は、丘の上に豪邸を構える金持ちに対するやっかみで、
その丘を見上げる下町で、貧乏な暮らしをしている犯人とのやり取りが、
克明に演出された、なかなかすぐれた映画でした。
構図としては、金がとれるかとれないか、です。

 

シリアの事件も、要は、安田氏をネタにして金がとれるかとれないか、でしょ。
で、日本政府としては、ああ言うしかないだろう、と思いますが、
どこかで、えいっと、英断をし、八方美人的な事言ってないで、
毅然とこれらに対応すべきでしょ。


多くの国は、身代金を渡すことで、彼らの活動資金を提供することになるので、
年々これらの対応は厳しくなってきています。

これらの危険地帯に、危険覚悟で、飛び込んで行って、
その実態をありのままに伝えようとするジャーナリストたちが多くいます。
何かそれなりの大義名分があって、果敢な行動をとっているのだと思いますが、
私には、命に代えてまで報道すべき大義があるとは思えないんですね。


きっとこの傾向を持つジャーリスト達は、

何らかの思想的な強いバックボーンを持っているのだと思いますが、
結果としてとらえられ、拘束され、時に身代金交渉の道具になるとしたら、
振りかざした正義も意味を失うでしょ。
まして、殺されたりしたら、元も子もない。
勇敢な戦士としてたたえられることが目的ではないでしょ。

 

NGOの「国境なき記者団」によると、
現時点で投獄されているジャーナリストは167人、
市民ジャーナリストは139人、スタッフは19人だそうです。
320人を超えるんです。
で、昨年、命を落としたジャーナリストは55人、市民ジャーナリストは7人、スタッフは12人です。
計74人です。

身代金の交渉すら無かった人も大勢います。
結果として、彼らが命を捨ててまで、得ようとしたものは何だったんでしょうか。
おそらく理不尽な戦いに巻き込まれた善良な市民の訴えを代弁することだと思うのですが、
それにしても、リスクが大きすぎるでしょ。

こんな争いはやめるべきだ、と言う主張が、結果として、相手方の戦費の補いになるのだとしたら、

全くと言っていいほど意味がないでしょ。


そのリスクに立ち向かう姿勢を、私は勇気だと思えない。
これは日本語では、蛮勇と言うのだと思います。

不幸な出来事に自ら身を投じることをどうして勇気とたたえることができるでしょうか。

| 水嶋かずあき | あれこれ | 13:39 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









http://blog.mizushima-kazuaki.com/trackback/2744
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< October 2018 >>
+ SELECTED ENTRIES
+ RECENT COMMENTS
+ CATEGORIES
+ ARCHIVES
+ MOBILE
qrcode
+ LINKS
+ PROFILE