水嶋かずあきの甘辛問答

神奈川県平塚から、水嶋かずあきが語ります。
<< 領海・接続水域・EEZの話 | main | 忘年会幹事心得 >>
なまはげが無形文化遺産に

なまはげなど来訪神の民族的行事が、このたび無形文化遺産に登録されたそうです。
対象は、「男鹿のナマハゲ」(秋田)や「甑島のトシドン」(鹿児島)

など8県10件の行事で構成する「来訪神 仮面・仮装の神々」と言うことです。

 

前日、その決定を待って集まった秋田のなまはげの関係者たちは、
決定をする会議で前段のさまざまな協議が多く、決定が遅れ、翌日に持ち越されたとの報を受け、
まあ、しょうがねえか、と言った感じで解散することになった様子をテレビで映していました。
あれが、その場で決定の報を受け、その瞬間、なまはげの面をかぶった人たちが、
狂喜乱舞するシーンをテレビ局のクルーとしては期待していたのだと思います。
そうなると、万博決定の様子を見守っていた関係者が、

決定の報を受け大喜びしているシーンとダブったのでしょうね。
栄誉ある認定については、誰もが待ち望み、受かれば大喜びするというのは、
ごく当然の反応です。

 

そもそも無形文化遺産とは、民俗文化財、フォークロア、口承伝統などの無形文化財を保護対象としています。
つまり、このまま放っておくと、文化的価値のあるものでも、いずれ継承者が少なくなって、
滅んでしまうかもしれない、と言う文化遺産への保護活動の一つです。

生活観、宇宙観、風習、習俗、伝統などが織りなす地域制の高い文化活動が、
時代の流れ中で、その意義が薄れ、担い手が減少する、と言うのは、
おそらく世界中で起きている現象なんでしょうね。
廃れ行くのも定め、とばかり客観的に眺めるのもいいのですが、
いま、私達がこうして存在する、ということの本質を
そういう文化活動の中で垣間見ることはできるわけですから、
これはそれなりに、きちんと制度として、保護するシステムが必要なわけです。
不思議なのは、そういう活動を文化庁などは、もっと明確なものとして、進めるべきで、
ユネスコ頼りと言うのも、いささか心細い感じがします。

 

この認定決定を報じたニュースによると、
「鬼の姿などをした異形の「神」が家々を毎年回るという、日本の伝統行事が世界的な評価を得た。
いずれも厄災を払って幸福をもたらすとされる10件だが、過疎化や少子高齢化に伴い、
神に扮する担い手の確保が課題となっている。
各地で保護の取り組みが進められており、遺産登録が今後の活動の弾みになることが期待される。」
とあります、
そうなんです、期待される、ということで、
では誰が何をするのか、と言う事でしょ。


ご当人たちはそれなりの活動をしてはいるんですが、これがなかなかうまく健全に伝承できなくなりつつある。
単なる認定・承認で、物事が発展するなんてありえないでよ。
当事者だけが騒いでも、結局、時間が経てば、元も木阿弥なんです。
ですから、こういうことをきっかけに、官民がそれぞれの立場で、対応を実行する組織でも作って、
支援しない限り「期待される」だけで、成果は形にならないのです。

 

私の仕事上のかかわりとして、 2013年に「和食:日本の伝統的な食文化、特に新年祝賀」
と言うことで無形文化遺産に登録されました。
で、和食の繫栄に追い風になるだろうと、期待をしていたのですが、
認定を受けたその瞬間は、それなりに報道されたりと、脚光を浴びたのですが、
それこそ、数か月もその話題は続かず、
だからなんだったのだ、という印象を受けました。


基本は、和食を支える具体的な組織がなかったことだと思います。
登録認定ために様々な努力が払われたと思いますが、結果的にはごくごく一部の有志の人たちのよるもので、
それが広がりにつながらなかったのだと思います。
もっとも、認定項目に特記してあるように新年祝賀とありますが、
要はおせち料理を中心としたものですよね。
これに関しては、もうそれこそ有名料亭はともかく、

コンビニまでが血眼になっておせちの予約受注合戦を繰り広げています。
挙句の果てには、中華おせちとか、フランス料理のおせちとかまで参戦して、
和食・新年祝賀とは縁遠い異様な感じの盛り上がりですが、
冷静に見てみれば、無形文化遺産の認定とは程遠い所での動きです。


いくら、ユネスコのお墨付きを得たからと言っても、その後の対応が、きちんとしていないと、
ただリストの名前が載っているだけ、ということになりかねません、

ケチをつけるわけではないですが、この無形文化遺産は、
たしかにあのユネスコにおける決定ですから、決して軽いものではないのですが、
オリンピック万博から見れば、希少性において、これは比較にならないのです。
ちなみに2009年には、83件の認定登録をしています。
やたら多いでしょ。
その後、ここ10年は30から40件程度追加の登録をしています。

ちなみに世界遺産に関しては、現在1090件余り。
世界地図にその位置を点で落とすと、線になりそうなくらい、あちらこちらの存在します。

 

さて、日本での無形文化遺産は、2005年の登録の歌舞伎に始まって、
なんだかんだ20を超え、今回の来訪神では、22件目となります。
その中でも、チャッキラコ、題目立、奥能登アエノコトなどが含まれており、
正直、なんだそりゃ、と言った感じです。
もっとも、日本人だって、ちょっとでも地域的に離れれば、
なんだそりゃになってしまうわけで、

そういう意味でも地方に存在する貴重な無形の文化的遺産が登録され、
根絶やしにならないような対応は、文化を守るという意味でも意義のあることだと思います。

 

| 水嶋かずあき | あれこれ | 11:24 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









http://blog.mizushima-kazuaki.com/trackback/2861
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
<< December 2018 >>
+ SELECTED ENTRIES
+ RECENT COMMENTS
+ CATEGORIES
+ ARCHIVES
+ MOBILE
qrcode
+ LINKS
+ PROFILE