水嶋かずあきの甘辛問答

神奈川県平塚から、水嶋かずあきが語ります。
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旨い、だけじゃいけないのか

どうやら、科学の世界でも、第6の味覚について、本格的な取り組みがなされているようです。


そもそも人間の味覚は、旧来からとても興味深いテーマのようで、
ある時まで、舌には、甘味、塩味、酸味、苦味の4つの味覚を識別する能力があるとされてきました。
ところが、1907年のことです。
池田菊苗博士が、うま味成分であるL-グルタミン酸ナトリウムを発見、
1908年3月に「グルタミン酸を主要成分とする調味料製造法」に関する特許を出願し、同年7月に特許登録されました。
これが味の素の素になったものです。
この旨味に関しては、欧米の学会では素直に受け入れられず、第5の味覚に関して疑問視されてきたのですが、
舌の味蕾(舌の表面にあるでこぼこした味覚を感じるための感覚器官)の感覚細胞に
グルタミン酸受容体が発見されたことから、味覚のひとつとして認められるようになったのです。
つまり、肉体としてそういう機能を持っている、ということが追認されたわけですね。
それまでは、感覚的に旨味と言うものを欧米では追求してこなかったわけです。
日本の伝統的な料理技法は、この旨味成分をいかに抽出するか、と言うことが技法として伝承されてきていて、
出汁の取り方ひとつでも、実に繊細な手順が伝えられてきています。
まあ、日本人はその分、味覚に優れていたのかもしれませんね。
伝統的な食文化の中から、旨味と言うものがある、ということが前提だったわけですから。

 

で、これが科学的に証明されました。
以来、味覚は甘味、塩見、酸味、苦味、旨味、と5種類の分類になったのです。
ちなみによく舌の図があって、先の方とか下の左右とか、奥の方とかに矢印があって、
この部分で甘みを感じるとか、苦味はここで感じるとかの、味覚分布図のような絵を見たことがあると思いますが、
あれは、何の根拠もなく、私達は長い間騙されてたのだそうです。

 

で、ここにきて、第6の味覚がありそうだ、という機運が出てきました。
まあしいて言葉にすれば「脂味」と言う事のようです。
こんな記事がありました。

 

「今年2月、オーストラリアのディーキン大学の研究者たちが、フレイバーという新聞に論文を掲載し、
ここ5年から10年のうちに、脂味を第六の味覚として扱うかどうか結論を下すべきだ。」と言ったというのです。
脂を正式な味覚として認識するには次の条件を満たす必要があるそうです。
「厳密に言うと、味覚とは化学的な機能である。例えば塩や砂糖の結晶などの化学物質は、
私たちの口内にある感覚細胞に触れる事によって、一連の反応を引き起こす。
そして、甘味や塩味を帯びた何かに対する知覚を他の神経細胞へと伝え、
その神経細胞が徐々にこの情報を脳へと伝達するのである。」と。
つまり、甘いとか塩辛いとか、それは舌の知覚神経が情報として脳に伝える。
そこで、脳は甘いとか塩辛いとかを感じるのだそうです。

 

で、さらに、「何かを主要な味覚として定義する為には、5つの基準を満たさなければならない。
まずは、塩や砂糖のように、味蕾上にある特定の感覚器官を刺激するような化学物質である事。
そして、知覚した味を脳で処理する為に、感覚器官と脳の間を連絡する経路が存在しなければならない。
さらには、このようなプロセスが引き金となって、身体へと何か影響が現れる事も重要だ。」と。
まあ、言っちゃ悪いのですが、こんなメカニズムがあるかどうかより、
私達は毎日何かを食べ、それがうまいかどうかを判断しているわけですから、
脳と舌の間の生理的機能なんかどうでもいいじゃないですか、と思うんですね。

こんな研究者の理屈よりも、私達は実感として、脂味と言うものがある、とうすうす感じていませんでしたか。
例えば、まぐろだって脂の刺しがある方が中トロとか大トロと言って、うまいと思ってきたでしょ。
牛肉だって、霜降りとか言って、細かく脂身が刺してある方が、うまいと思ってきたでしょ。
何より、マグロの赤身よりトロの方が、牛肉も脂の刺しが多い方が値が高いですのものね。
生クリームだって、脂肪分の含有量が多い方がうまい、と思っていますでしょ。
これだって値段に表れていますでしょ。
まあ科学者と言うのは、そういう根拠を探るのが仕事だとは思うのですが、
そこにとらわれ過ぎているようですね。
何より、菊田先生が旨味成分を発見してから、後に、味蕾の受容体を発見し、
さらに、消化器官にも受容体があることが分かり、

胃にうま味が入ると、消化を促進する効果があると生理学的学説が示されたのです。
まあ、手順が重要なのかもしれませんが、
人間の感覚の方が、ずっとすぐれている、と言う事じゃないでしょうか。

 

私は、ほぼ毎朝、2合の米を炊きます。
心がけていることは、冷たい水で研ぐこと。
そして、炊飯器の内釜に分量の水を張ると、サラダオイルを小さじ半分程度と同じく小さじ半分程度の砂糖を入れます。
根拠は何もなく、きっとこのほうが旨いご飯が炊けるだろう、と思って始めたことです。
誰に聞いたわけでもありません。

最近のコマーシャルで「脂肪」と「糖」が悪者のようになっているものがありますが、
あれは、メタボ対策なわけで、健康な肉体を維持しているなら気にする事もないだろうと思っているんです。
逆に、なぜ、脂肪と糖を嫌うのかと言えば、それは、本質的に人間と言う動物が好むものだからです。

足りているのに過剰に摂取する可能性があるのです。

要は恵まれているんですね。
なぜ好むのか、と言うと、これらが体にいいからです。

原始の頃、今ありついた食料を、次はいつありつけるか、なんて保証のないことが続いた時代があったはずです。
と言うことは、時にやってくる飢餓の時に備えて、極力カロリーの高いものを摂取したい。
摂取するのに、積極的になれることは、舌が旨いと感じることなんですね。
栄養とか何とかより、舌は、先ず食べていいものか食べて行けないものかを感知しなければならない。
口に入れて、飲み込むのか、あるいは吐き出すのか、です。
その重要なチェック係を舌がしているんです。
で、次の段階では、より生命維持に有効な食物を摂取しようとする。
これがカロリーが高い、脂肪と糖なんです。
脂肪はまだまだ、おろそかに扱われてきましたが、
結構体にとって、重要な役割を果たしてきているんですね。

生命体としての嗜好があるのですから、科学的な立証が無くても、
旨いものはうまいんですね。

| 水嶋かずあき | グルメ | 10:36 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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