また、今年も恵方巻きが大量に廃棄されましたね。
底の浅い食文化など、定着しないでしょ。
やぶ枯らしさんの言うように、共食いだったわけですから。
さて、今日のテーマ。
私は、父の逝去とともに、それまで松風町の住家を離れ、
紅谷町のマンションに移り住みました。
そこで、今までとは違う形態の生活が始まったのです。
第一は、隣人たちとのコミュニケーションです。
松風町では、父が地域活動と縁遠かったため、自治会の行事とかは不参加が前提で、
向こう三軒両隣も、公園だったり、マンションだったりで、ほとんど接触ゼロ。
家への出入りは、車が主体ですから、車で出てゆき車で戻る。
隣人と顔を合わせること自体が無かったのです。
ところがマンションに住んでみると、
玄関ロビーや、ゴミ置き場、エレベーターの中で年中顔を合わせるわけです。
それに、役員も連続してやることになって、
まあ、マンション管理に関して、中心的に携わっている人たちとは、親しくなります。
そんなこんなで、松風町時代に比べると、雲泥の差で、
隣人とのコミュニケーションが豊かに展開されるようになったのです。
これは、実にうれしい成果でした。
第二の変化は、防災に関することです。
それまでは、木造二階建ての家に澄んでいて、多少の庭もあったので、庭先にスチール物置を一基置き、
そこに防災用の備品やらを収納していました。
父と二人で、家の周りをぐるりと見ながら、もし倒壊するとしたら、
この家はどんなふうに倒れるだろうか、と予測したのです。
で、倒れても影響のなさそうな場所にその物置を置きました。
いざとなった時に、中のものを取り出せるようにです。
そもそもが私は長いこと防災活動をしてきているわけですから、
その防災備品に関しては、実に事細かに整備してありました。
発生が冬か夏かは分からないわけですから、夏シーズン中心の着替えと、冬シーズン中心の着替えと、
2パターン用意しました。
一次避難用のものをリュックに詰め、いつでも持ちだせるように一番手前に置き、
正に準備万端整えてあったのです。
当然ですが、家具類はすべて金具で固定。
家は木造ですから、十分にビスが効きます。
そこで、簡単、安価な方法で家具の固定をしたのです。
で、マンションに引っ越してみて、引っ越しの荷物の整理をしながら、かなりの防災備品が廃棄されました。
どう見ても必要ないんじゃない、ということです。
そこで、改めて、防災の知識として、私が学んできたことが、ガラガラと崩れたのです。
つまり、家が壊れるかもしれない、ということが前提の防災対策と、
家は壊れない、と言う防災対策が、全く異なる、と言う事なんです。
例えばです。
夏冬それぞれにシーズンを前提とした着替えの準備は、家が壊れなかったら、
箪笥の中にあるんですから、改めて持ちだす準備はしなくていいでしょ。
非常食に関しては、ある程度のものはストックするにしても、
カセットコンロのガスと水さえ十分に用意してあれば、先ずは冷蔵庫のもの、
やがて、乾物、缶詰と食べる素材の順番をきちんと計画立てれば、
食べるか食べないかわからないカンパンの缶詰を10個も20個もストックする必要はないでしょ。
さらに事前行動として、よく、被災後家族の集合場所を決めておく、なんてことも、
家が残っていれば、家に戻ってくればいいのだから、余計な予備行動は必要ないでしょ。
現金も、薬も、家にあるんですから、持ち出し品の中に入れる必要はないでしょ。
よく、防災用の持ち出し備品リストと言うのがあって、
いくつかのパターンがありますが、細かいのだと、およそ、50から60項目ぐらいが記載されています。
で、家が壊れる可能性がある場合、そのほとんどが準備すべきものとなります。
しかし、家が残っている場合は、その半分ぐらいで済むんですね。
要は、電気・ガス・水道の普及までどのように食いつなぐか、だけ考えればいいのです。
避難所での不自由な生活を想定する必要はないんです。
ただ、マンションにもデメリットがあります。
それは家具の転倒防止に関することです。
木造の家では、簡単に転倒防止金具で家具を固定できました。
しかし、マンションでは、壁の下地が石膏ボードの場合が多く、ビスが全く効かないのです。
したがって、市販のツッパリクンの類の固定器具で対応するしかないんですね。
でも、私はこれが確実な方法だとは思えません。
一つは、地震は発生地点が南か、東か、西か、確定的でないでしょ。
やってくる方角から、縦波横波がやってくるのです。
つまり揺れの方角が違うんですね。
したがって、ツッパリクンでも幅の狭いものは、初期の揺れで外れてしまう可能性があります。
つまり多少の幅がないと、時に外れる可能性があるということです。
そこで、これらの問題を考え、独自にcotyman7と言う固定器具を開発しました。
これは、3月10日の中心街で開催されるひらつな祭で公開しますし、
起震車で、実際に箪笥の転倒とともに、cotyman7の効果を実験します。
時間があったら、お越しください。
極めて優秀な固定器具です。
マンショでの家具転倒率のデータがあります。
これは、東日本大震災での記録なんですが、マンションは階が上になるほど揺れ幅が大きく、
ま、当たり前ですが、それによる転倒率が大きくなってゆきます。
そのデータによると、1〜2階・17%、3〜5階・24%、6〜10階・32%、11階以上47%です。
見事な数字でしょ。
上ほど転倒するということです。
家具の転倒は、阪神淡路大震災で直接死した5500人のうち、家具の下敷きになって死んだ方が10%、
およそ500人をこえる、と言うんです。
これは神戸の大学で、すべての被害者の死因を検視した結果だそうで、極めて信頼性の高いデータです。
つまり、家は壊れなくても死の可能性はある、ということですね。
考えれば、地震の災害から命を守るのは、壊れない家、倒れない家具の二つに尽きるんです。
ま、もう一つ、南海トラフ地震では、平塚海岸の押し寄せる津波は、
地震発生後30分到来し、その高さ4メートルを想定しているようです。
海岸地区の方は、これに対する対応も必要ですね。
心して準備しておきましょう。