水嶋かずあきの甘辛問答

神奈川県平塚から、水嶋かずあきが語ります。
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味わいの原点

最近のテレビ番組は、芸人という第三の勢力が幅を利かしています。
以前は、歌手・俳優が基本だったような気がするんですが。
いまや、芸人抜きでは番組構成ができなくなってきているようです。

ま、これはこれで結構なことです。
新たにタレント(能力)が発揮できる場所が増えてきたわけですから。

 

で、彼らの仕事の一つに、食レポなるものがあります。
基本は、先ず何を食べるのか、が映し出されます。
天丼なら、天丼そのもの。
続いて、海老天ぷらかなんかを箸で持ち上げたもののアップの画像。

ブツドリと言います。
そして、いよいよ食べるシーン。
一口頬張ります。

一噛み、二噛みします。

すると、レポーターの表情が、露骨に変化し、うまい、と一言。

まあ、だいたいこんなところでしょ。
これって、食レポじゃないでしょ。

 

旨いかどうかなんて、報告すべきこととしては、最後の最後。
視聴者は、画像で見るだけですので、その内容を想像するしかないんです。
ですから、その想像を想定して、より具体的に表現するのが、本来でしょ。
で、一時妙にもてはやされましたが、味の宝石箱や、なんていうのも、失格。
宝石箱と言うきらびやかさを味覚にたとえたのでしょうが、
宝石箱を食べたことのある人なんていないし、
甘いのか、酸っぱいのか、旨味はどうなのか、食感はどうか、歯ごたえは、など、
口の中の反応をもっと明細に伝えるべきでしょ。

 

そんな中、最近時に貧しいボキャブラリーの人は、あまい、と言います。
あまさに感心する。
それと、柔らかい、と言うほめ言葉。
じゃあ豆腐でも食ってろ、と言いたくなるでしょ。
以前もブログに書きましたが、通常、牛肉の良い食材としてのランクは、A5とか言われますね。
それも、できれば、和牛の銘柄牛。
で、私としては、どうしてA5の霜降り肉がおいしいのか、よく分からなかったんです。
大雑把な感想としては、柔らかすぎて、舌に残らない。
つまり、食感として不満が残るんですね。
ま、すっかり総入れ歯にでもなってしまったら、これはこれでありがたいことかもしれませんが、
少なくとも自分の歯が残っていて、普通に噛み砕くことができるのなら、
柔らかければいいとは思えないんですね。
実際、まぐろなんかでも、おいしいのは、中トロでしょ。
大トロは、脂身がうまさを伝えてくれるけど、かみごたえがなさすぎるでしょ。

江戸の頃は、今より、食事の咀嚼回数が多かったようです。
つまりそれだけ、歯もあごも発達していました。

ですから、鮪のトロ系の部分は評価されずに、むしろ赤身を評価していたんです。

 

最近、歯列矯正をしている人が多くなりましたけど、あれは、食事時に咀嚼回数が少なくなり、

それによって、あごの骨が退化しつつあるからなんだそうですね。
人間の体は環境に応じて微妙に変化します。
余り食事時に、かまなくなると、あごが、必要の範囲まで退化するんです。
しかし、歯自身はその情報の取り入れ方が遅れるので、あごの骨が小さくなっても、

歯自身が小さくなっていないので、いままで収まっていたあごの骨が小さくなって歯がはみ出てしまう。
そこで、歯列矯正をするんですって。
要は、嚙む回数が減ってきたんですね。
つまり、咀嚼する能力が落ちてきているんで、柔らかい、が受ける要素になっているんです。

 

ま、それはともかく、この食レポで気に入らないことは、
口に入れて、ひと嚙み、ふた嚙みした時点で感想を言うことです。
咀嚼して、トータルな状況を作り出して、それを舌に載せ、
食材の香リ、味覚、歯ごたえなんかを、総合的に評価すべきじゃないか、と思うんですね。

 

私は、ハムサンドが好きなんです。
ま、ハムでなくても、ベーコンでも、ソーセージでもいいのですが、
要は、豚肉の加工食材と、パンの絡み具合が好きなんですね。
このうまさは、最初の二嚙み、三嚙みぐらいじゃ、味が出てきません。
噛んで噛んで、舌で練りまわして、正にペーストに近い状態まで咀嚼すると、
これが何とも言えない味わいになるんですね。
のどに落とす瞬間のうまみは、えも言われないほどうまさを感じます。


この、撹拌して作り出される旨味の、良く似ているのが白飯です。
白いご飯は、どちらかと言うと、おかずとおかずの合間の、口の中の味覚を
リセットするために食べていると思います。
例えば、ハンバークを食べて、その味が口の中に残らないように、白いご飯を食べる。
口の中の味覚がリセットされたところで、里芋の煮っ転がしを食べる、と言うようにです。
テーブルの上の位置づけも、主菜、副菜、しるもの、ご飯、という感覚で、
ご飯の順位が低いでしょ。
でもよくよく味わってみると、これがなかなかのものなんですね。
特に、おかずにちょっと遅れでご飯を口に入れ、一緒に噛み砕くと、

これまた絶妙のハーモニーが口の中で展開されます。
おかずの味プラスご飯による新たな味わいを経験することがあります。


これの極め付きがおにぎりじゃないか、と。
白飯と、塩、のり、それに、具材が、これは分けて食べないですから、
口の中で、ミックスされます。
じっくりと味わってみて下さい。
具材だけではこれほどのうまさを味わうことはできないはずです。
極端な話、のど越しの味を味わってほしいんですね。

| 水嶋かずあき | グルメ | 10:57 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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