水嶋かずあきの甘辛問答

神奈川県平塚から、水嶋かずあきが語ります。
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見えないホームレス

人類が、ゴリラやとチンパンジーなどの類人猿との共通の先祖から枝分かれし、
二足直立歩行の形態を整え、ヒトとしての進化を始めたころ、

一体どんなねぐらに寝ていたのでしょうね。
ま、過去の遺跡などから、近世のヒト、ネアンデルタールとか、クロマニヨンとかが、
洞窟をうまく活用していたらしい、ということはある程度推測できるのですが、
初期の頃の、いわばアフリカ大陸の東に位置する大地溝帯で、

生活をしていたころは、洞窟なんかそうはなかったはずです。
かといって、樹上で暮らせるような環境でもなかったはずです。
ま、草むらに息をひそめるように寝転がっていたのか、
それでも、なんだかんだと木を見つけその上で寝ていたのか、
まあ、専門家に聞かなければわかりませんが、
ただ想像する限りは、決して安全で快適な寝床はなかったんじゃないか、って気がするんです。


とは言え、何年ぐらい前なのかは知りませんが、
まちがいなく、どこかの時点で、外気温の変化とか、雨風など、防げる住居を作り出したはずですよね。
よく教科書に出てくる、横穴式住居とか、竪穴式住居とか、はその通過点の一つだったわけでしょ。
旧石器時代は、まだまだ十分な知恵が集積されていませんから、
自然界にある、洞窟などを使った横穴式。
横穴式の後に、竪穴式、ちなみに縦とか立とかいう字は使っていません。
竪い穴を基礎にした住居です。
要は、住まうところを作り出したということです。
ここに住居の原点があります。


ま、今更当たり前すぎますが、住まいは作るものなんですね。
これは人間の本能なんでしょうか。
ともかく、住む家を必要とし、できれば造り、そこに住まう。
あまりに普通すぎて、どうして住まいが必要なのか、なんて疑問すら持たないでしょ。
その住まいが、その人間の属性の重要な要素になって、
何かというと、住民票を添付せよと言われたり、書類には住所を書いたりと、
ある人格の表現の一つに、必ずと言っていいほど、どこに住居を構えているのか、
と言うことが、姓名とか国籍などと同等で重要な事柄になっています。

それ程、どこに住んでいるのか、と言うことが重要なんですね。

 

で、話は変わります。
この住むところがない人と言うのがいますよね。
通常、ホームレス。
まあ、昔は、おこもさんとか、乞食とか、の、いわゆる、物乞いで暮らしている人たちが、
その対象でしたが、今の言葉ではホームレス。
無理に当てはめれば、無宿者とかになるんでしょうかね。
もっとも、無宿の概念に、犯罪者的な要素が含まれますから、
これは適切ではないかもしれません。
また、道端にゴザを敷きその上に座って、カンカンを置いて、

道行く人に、いくばくかの投げ銭を入れてもらおう、とかの行為も見ないでしょ。


ですから、時代の変化と言えばそれまでですが、ホームレスでピッタリな表現なのかもしれません。

確かに、平塚のまちにも、ホームレスの人がかつては居ましたね。
何人とかはともかく、なんだかんだ入れ替わりで、駅周辺には数人の人がたむろしていたと思うんです。
彼らは、別に物乞いするわけでもなく、唯ゴロゴロしていて、うろうろとさ迷い歩いていました。
ところが、そういえば、という感じですが、最近姿を見なくなりました。

 

厚生労働省の統計によれば、確認されたホームレス数は、4,977人とか。
ざっと5千人です。
で、内訳は圧倒的に男性が多く、9割以上を占めています。
ただ、前年の調査より、減少していて、10%ほど数が減っているのだそうです。
ま、年々減少傾向にあるのだとか。
つまり、私達が漠然と感じている、そういえば最近見かけなくなったな、という実感と一致しているんですね。
で、年々減少、と言うのはいいことなんですが、問題がないわけではないようです。

つまり、この数字は、それこそ、住民登録票によると、なんて数字じゃありません。
ただ見かけたかどうか、と言う数字なんです。
それこそ野鳥の会の人が望遠鏡を覗きこんで、湿地に群がる鳥を数えるようなもので、
確たる数字ではないと思うんですね。


そこで問題なのは、彼らが見えないところに移りつつある、と言う事なんですね。
つまり、路上に寝ている人が減ったにすぎず、ホームレスの状態の人は少なくなったわけではないのです。
ま、はっきり言えば、アウトドアはともかく、インドアについてまで、詳細を把握しているわけではないのです。
国のお役人の統計ですから、いい加減なのは仕方ないのですが、
いずれにしても、その両面から見ないと、このホームレスの実態は把握できない、ということでしょうね。

さ、そこで問題は、見えない、インドア的なホームレスのことです。


ホームレスの対策として、自立の支援等に関する特別措置法が制定されています。
日本は、実に丁寧な国ですね。
それによると、ホームレスとは
「都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場所とし、日常生活を営んでいる者」と規定しています。
ですから、インドアの人たちはホームレス特別処置法から外れてしまうんですね。
やはり、ここでも片手落ちでしょ。
ま、ともかく、この法律ではホームレスを救い切れないんです。
では、どういう屋内にいるのか、ですよね。
今更、横穴式の住居はないですから、
どこかに人の作ったところに入るはずです。
推定、5000人は超えるだろう、と。
つまり、目に見えるホームレスの背景に、目に見えないホームレスが同等、もしくはそれ以上存在する、ということです。
彼らは、主にネットカフェにその拠点を置いているそうです。
ホームレス状態でも日雇い労働や臨時で働き、一時的な収入を得ている人もいるらしく、
ネットカフェやカプセルホテルを定宿としているものの、
基本的にどこかに住民登録をしていわけではないので、
いわゆる、国の福祉を受けるチャンスがないのだそうです。

当然ですが、家族が一緒のわけでもないですし、
年を取って病気がちになっても、きちんとした医療を受けられない。
文化的で健康な生活を国は保証していますが、
その枠からこぼれてしまう。

人間としてうまれ、生きてきて、人生の最後仕上げを、御覧じろ(ごろうじろ)と言いたいところが、
ここがグダグダになってしまっているんです。


なんかさみしい人生でしょ。
私なんか非力ですから、だからと言って何もできないのですが、
せめて祈ることぐらいしかできないのでしょうか。

空しいですね。

 

| 水嶋かずあき | あれこれ | 13:05 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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