水嶋かずあきの甘辛問答

神奈川県平塚から、水嶋かずあきが語ります。
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老兵は死なず

時は流れる。

 

あんなに若々しくはつらつとしていた水嶋君も、
最近映る鏡の中の顔は、名実ともにじじいになってきた。
ま、人は、お若く見えますね、なんて言ってくれるけど、実は、体はけっこうぼろぼろ。
記憶はぶつぶつ途切れ、頭も、ぼおっとしてきた。
チコちゃんに、ボォーと生きてんじゃねえ、と言われたとしても、
いやいや、シャキッと生きてきたつもりですが、
ここにきて、どうやってもボォーとなってきちゃんたんだ。
5歳の、ガキに75歳の心身が理解できるか、と逆切れしそうですけどね。

 

これは誰にもやってくる宿命的な時の流れなんですね。

ま、いずれにしてもこうした流れで、
老兵は死なず、ただ消えさるのみ、なんでしょうね。

 

この言葉は、おおもとが歌詞の一節で、
Old soldiers never die,
Never die,never die,
Old soldiers never die,
They simply fade away.
と言うゴスペルを替え歌にしてイギリスの将校が歌っていた歌だったんだそうです。
まあ死なない、と言うフレーズをしつこく繰り返しています。
これを占領軍のトップで日本にやってきたダグラス・マッカーサー元帥が
トルーマン大統領と対立して、結局、引退する事になり、
その時の演説で引用して、有名になったんですね。
Old soldiers never die,
They simply fade away.

 

イチローがまさにこれでしょ。
別に死んじゃうわけじゃない。
フィールドから消えてゆくだけなんですね。
今シーズンになってから、オープン戦から、一本もヒットを撃てなかった。
でも、みな、心からの敬意を持って、開幕公式戦と言う重要な場面で登場することになった。
多分打者としての戦力になるかどうか、なんて誰も斟酌しなかったんでしょう。
すでに、前のシーズンで、戦場からは退いていたんですから、
いくら偉大な記録の保持者であれ、消え去る物語から逃れられない。
チームのスタッフは誰もが過大な期待していなかったはずです。


そして最終打席。
体力の衰えは隠すべくもなく、セカンドへの凡ゴロで、1塁アウト。
何年か前のイチローなら、足でヒットを稼いでいたんでしょうね。
でもそれができなかった。

あの最後の打席を見ていて、審判も偉大なる打者の最終打席なんだから、
それなりのGIFTがあってもよかったんじゃないの、と思ったでしょ。
審判としては生涯一度のミスジャッジをすることになりますが、きっと誰も咎めない。
生涯安打の数が一つ増えますが、お目こぼしの数になったからと言って、

きっと誰も非難しない。
まあ、ちょっとそんな風に思ってしまいましたね。

 

これは誰もが、いつかは私も衰える、
と言う生命体としての宿命を実感しているはずです。

 

子どもの頃、元気に働いていた父や母が、老いさらばえ、やがて病床に就く。
さらに衰え、やがて息を引き取る。
こんなリアルな物語の展開を目にすれば、
明日はわが身、と実感するはずです。
とは言え、できれば避けたいけど、
これは否応なしにやってくる、私の老後の物語なんだ、と受け入れるわけです。

 

華々しいスターが、その輝きを失う。
静かに消え去る。
ネバー・ダイですが、フェイド・アウェイなんですね。、

イチローが素晴らしかったと皆称えます。
もうこれは文句のつけようがないでしょ。
でもあの引退劇の中から、何を感じ取るかですよね。

 

誰もが、華々しい人生を送れるわけじゃない。
むしろ、地味で、これと言った花を咲かせることなく萎れてゆくはずです。
まあ、大した人生じゃない、と。
でも、生きてきた、と言う事だけでも素晴らしいことだとしたら、
一つ一つの命に光があるはずです。
ただ、その光りもいつか消えてゆく。
こう言う場面に出会った時を、私はどう生きようとするのか、

ということを考えるチャンスとすべきなんですね。

 

相撲の世界では、人と人の戦いですから、
勝ち負けがはっきりつく。
勝負の後に、勝者と敗者に分かれる。
今まで勝てたけど勝てなくなる。
いやその前に、いままで勝てなかったけど、勝てるようになる。
ここで、新旧が入れ替わります。
かつて、貴乃花が台頭してきた時に、千代の富士は引退を決意したそうですね。
自分の時代は終わった、と。
昨日の一番では、貴景勝が栃ノ心に勝ちました。
勝って大関、負けて大関陥落。
かなり露骨な交代劇でしたが、そうやって、時代は流れ、人は変わってゆくんですね。

 

誰もが考えるべきです。
いつか自分の時代は終わります。
だから、どのような幕引きを考えるのか。
そして、もっと大事なことは、消え去った後の生き方ですね。
マッカーサーは、引退宣言をしました。
Old soldiers never die,
死なない、と。
いや、死んだわけじゃないと。
simply fade away.
ただ消え去るだけだ、と。
ここで話は終わっていますが、
死んじゃったわけじゃない。
いわゆる余生が残されているのです。

 

さ、どう生きるか、ここがむしろ勝負処でしょ。

皆、一郎はこの後どうするんだ、と気にしています。
私達はこの引退劇から、わが身に置き換えて、
引退後の生き方をよくよく考えるべきだと思うんです。
その時は思いのほか早々とやってきますから。

| 水嶋かずあき | あれこれ | 07:33 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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