水嶋かずあきの甘辛問答

神奈川県平塚から、水嶋かずあきが語ります。
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消え去った先で

ま、あんまり楽しい話じゃないです。

 

虐待、暴力、ハラスメント、いじめなどいろいろ言いますが、
対象が何であれ、どのような手段であれ、
要は人が人を心身ともに傷付けることですよね。
時に命にまで及ぶ。
これが絶えることないですね。
あちらこちらで露呈するたびに報道される。
なんとなく、日本民族とは不和民族で、いじめ合いの民族ではないかと、思えるくらい。
ニュースを見るたび、またその問題かよ、という感じでしょ。

 

で、今回の問題は、高齢者に対する虐待の話です。
いやはや、他人事ではないでしょ。
いよいよ火の粉はこちらの方に向かって降り始めた、といった感じですね。

 

その昔、楢山節考という小説がありました。

深沢七郎さんの著。
あらすじをご記憶の方も多いと思いますが、ざっと言えば姥捨て山の話です。
楢山節考では、主人公のおりんは69歳。
その村では、70歳を迎えると、山に捨てられるんですね。
ま、口減らしです。
食料に限りがあるわけですから、人の口を調節しなくちゃいけない。
子どもが生まれてくると分かれば、年寄り退くわけです。
この世からです。
で、年寄りですから、足腰もままならない。
大体は長男坊にかつがれて、山に登る。
で、捨て場にたどり着くと、そのまま放置されるんですね。
食べ物はないし、寒さもひどい。
徐々に命は弱り、そこで成仏することになります。
この時、どの道死んでゆくわけですから、楽に死にたい。
で、望むことは、せめて雪でも降れば、凍死となるので、これは楽だろう、と。
そこで、雪が降るのを望むわけです。
おりんも山に向かう時は雪が降りだし、本人も周りも、
よかったよかった、となります。
なんとも凄まじい話でしょ。

 

で、ある種現代の楢山節考は、厳然と存在するでしょ。
ま、冬山で雪の降る夜に凍死するようなことはないかもしれませんが、
いずれ無駄飯食いの口減らし的な事は、そこここにあるわけですね。
今回の高齢者への虐待については、ふと、姨捨山的な日本の古い文化を思い出しました。

 

その虐待とはこういうことです。
2017年度に65歳以上の高齢者が、家族や親族ら養護者から虐待を受けたと認められた件数は、
前年度比4.2%増で過去最多の1万7078件だったとする調査結果を厚生労働省が発表しました。

その内容なんですが、特別養護老人ホームなど介護施設の職員による虐待の認定件数も
12.8%増の510件で過去最多を更新したそうです。
虐待の疑いを含め死亡したのはなんと28人で、全て養護者によるものであったそうです。
つまり、施設でもそんなことが行われ、中には死に至るまでの虐待を受けた、ということですから、
山に運ぶ手間を省いたのか、という事でしょ。


虐待を受けた人の数が、1万7000人が多いのかどうか、
死に至るまでのレベルの虐待が28にんが少ないのか、多いのか、
そんな基準はないと思うのですが、
そもそもがあってはならない数字でしょ。

で、厚労省は調査結果について、こんなコメントをしています。
「高齢者人口の増加に加え、高齢者虐待に対する社会的な関心の高まりから
相談や通報件数が増えたことが要因、とみている。」だそうです。

ということはですよ、暗に陰に隠れた事案も相当数あると感じているということですよね。
報告の件数と実態との誤差について調べたわけではない。
全くの受け身のデータです。
いや怖い話でしょ。

 

通報だけでも、17000人もの虐待があると分かってるなら、
その実態はいかなるものか、というもう一段掘り下げたデータを手にするべきで、
通報があったレベルだけで、終わりにするとしたら、
厚生労働所の常識とか、見識とか、良心が問われるでしょ。


それでなくても、年を取ると、いわゆる老後不安が増大するんです。
その中に、無駄飯ぐらいになってしまうけどこのままのうのうと生きていていいのか、

みたいな呵責さえあるんですね。
そんな心の状態なんですから、

もっと安心できる社会環境を作ってもらいたい、というのは、当然でしょ。

 

長幼の序あり、と言う言葉はもう死語なんでしょうね。
でも、この世の中を作ってきたのは、

かつてのおれたちなんだ、という自負位持ちたいものでしょ。
力衰え、体も健全ではなくなってきた。
そこも見透かされるように、力で、自尊心をへし折られるようなことをされたら、
みじめな事この上ないですね。

 

正に弱り目なんです。
そこに虐待じゃ、祟り目でしょ。

なんとなく住みにくい世の中になってきましたね。

 

老兵は消え去るのみ、と言い、消えたのですが、
消えた先で、邪魔者扱いは勘弁して下さい、ということです。

| 水嶋かずあき | あれこれ | 12:52 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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