水嶋かずあきの甘辛問答

神奈川県平塚から、水嶋かずあきが語ります。
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中学校完全給食

ハマ弁が、迷走しています。
これは、横浜市が中学校の給食で、完全給食が実施しがたいということで、
あれこれと手段を講じる中で、いわゆる弁当業者の配達による調達を選択したわけです。
しかし、これが評判がよろしくない。
私の記憶が間違いないなら、横浜市が委託した弁当業者は、
例の大磯の食べ残しで問題になった弁当業者と同じはずです。
で、理由はとも角、要は注文数が少ない。

子どもたちのわずか、2.8%が注文しているにすぎない、ということが明確になったんです。
この数じゃ業者も大変ですよね。


弁当というのは、私も経験しましたが、
いっぺんに大量に調理できるので、生産性は高いのですが、
配達と容器回収に手間がかかると、いきなり採算割れになってしまうのです。
ですから、業者的には、配達箇所は少なくて、一か所の数が多い方がいい。
ちなみに、2.8%ではあちらこちらの学校に、ちょぼちょぼ置いてくる事になるので、
採算性は低いに決まってます。
企業的に考えたら、きっとこの仕事は辞退したいのではないか、と思いますね。
でも継続しているということは、最低保証とかの取り決めがあるんでしょうね。

 

以前、弁当屋をやっていたころ、土屋のさる業者から、配達の依頼を受けたのです。
私は採算性を考えたら、断ろうと思ったのですが、その業者が知り合いだったこと、
かみさんが、断るのはよくないと、反対したこと、
さらに、一日最低個数が6個、と言われたことなどで、しぶしぶ引き受けたのです。


その時は、土屋に行く途上に2件の顧客がいましたので、まあ、ちょっと延長ということで、
配達を始めたのですが、数日後に、数がいきなり2個になったんです。
え、約束違うじゃん、と思ったのですが、来週あたりからまた数が復活します、と。
結論を言うと、その後、ずーと2個でした。
挙句の果てに、中間の顧客も、配達が止まり、結局、2個の弁当、計1100円也を、
毎日土屋まで届けたのです。
駅周辺から、片道25分。
まあどう考えても、割に合わないでしょう。


正直、弁当業界は、こんなギリギリのところで商売していますから、
企業的な方針を考えれば、原価率を下げて対応するしかない。
ですから、値段の割には、ろくでもないものが配達される可能性は大なんです。

大磯、横浜とミソ付けてきたこの弁当会社の内実を考えれば、
その程度の価格ではこんなものしか作れません、というのが本音のはずで、
それを、うまいのまずいのと言われたら立つ瀬がないでしょ。
ですから、業者弁当で給食の代行するには、限界がある。

 

行政が、完全給食を躊躇するのは、財政負担が大きいからなんです。
初期投資、つまり、給食施設を作る費用ですね、これがバカにならない。
時に、土地収用の費用も考えれば、それでなくても厳しい財政状況が圧迫されることは火を見るより明らかです。
さらに、運営においてもなかなかコストがかかり、負担ゼロというわけにはいきません。
平塚市の小学校の給食を例に取れば、
父兄の負担は、一食当たり228円。
これは原材料費だけのことで、調理、配達、管理などの人件費、光熱費などは行政持ち。
飲食業的に言えば、原材料費の3倍が売値です。
ですが、行政は儲ける必要がないので、その製造費用は、まあ、いいとこ同額としましょうか。
そこで、年間200食として、さらに生徒数1学年2500人、3学年で7500人として、
228円を掛けると3億4千万円ほどの負担になります。
まあ、現状の財政状態では、躊躇するかもしれませんね。

 

ちなみに、全国の中学校の給食の実態なんですが、

先ずは給食と言うと、完全給食、捕食、ミルク給食の三種類があります。
で、完全給食に限ってみると、
全国での実施率、86.6%です。
東京、京都、岐阜、福井など15都府県は100%。
神奈川はと言うと、全国平均の半分、44%にとどまっています。
ともかく、神奈川は中学校給食においては完全治立ち遅れているんですね。

県内では、21市町村が実施、実施していないのが、平塚をはじめとする14市町。

 

かつて、さる女性が中学校給食を実施したい、という運動を起こしました。
まあ、その後これといった成果が出ていないので、騒ぐだけ騒いで終わりなのか、という印象を持っていますが、
行政にしてみれば、財政という背は腹に変えられない部分と、
市民のニーズ、他都道府県、他都市との比較などから、
やるところはやってるわけなので、なかなか難しい問題であることは間違いないです。

 

で、様々な意見がある中、よく考えると、
学校給食と、自家製弁当との比較論になるわけですね。
それぞれのメリットディメリット。
大きくは、くどくど書いてきましたが、実施するだけの財政的余裕がない、ということ。
実施願望派は、本音で言えば、母親の負担軽減なんです。
これらの事情を精査した結果、

肝心の、子どもの意見が反映されていないんですね。

 

私は数年前、この問題を取材し、ビデオにまとめたことがありました。
この時子どもたちにもインタビューをしたのですが、
子どもは、100%、弁当がいい、というんです。
いくつかの理由がありました。
まずは好みのものを母は知っている。
食べなれた母の味つけがいい。
食べる量が適切で、不足や食べ残しがない。
アレルギーなどがある場合、これに対応した食材になっている。
そして、最後。
母の愛情を感じる、ということです。

 

さ、これを学校給食は超えられるのか、ということですね。

| 水嶋かずあき | グルメ | 10:08 | comments(1) | trackbacks(0) | - | - |
確かに働いている主婦からすれば、給食の方が助かるのでしょうが、基本は弁当ではないでしょうか。逆に主婦が作れる弁当なら旦那も物理的には作れる方が多いと思うのです。弁当問題は家族の、男性の子育ての問題が実は最初にあるのではないかなと思ってしまいます。
| まさやん | 2019/03/30 4:08 AM |









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