水嶋かずあきの甘辛問答

神奈川県平塚から、水嶋かずあきが語ります。
<< 名首相になるために | main | 元号は日本国の目標 >>
足も失う夕張

市町村の数は、年々少なくなってゆきます。
もちろん合併が進むからです。
明治22年に市町村制が施行された時は、全国の地方自治体は15,859もありました。
市長さん、町長さん、村長さんが、15,859人いたわけです。
で、その後徐々に減ってゆき、
特に戦後、合併促進を法的にバックアップしたため、見る見る間にその数を減らします。
この70年間で、10回にもわたる、合併促進の及びその補完の法律が制定され、
現在は、自治体総数1,704と、あのころのほぼ10分の1。
自治体側としては、政令都市から始まって、中核都市とか、いわゆる市町村にいたる様々なランクがあって、
それに応じた自治権が与えられるので、合併のもくろみとしては財政難時代の効率的自治体経営を模索すると、
どうしても合併したほうがよさそうだ、となるんですね。
これは、自治体とは名ばかりで、なんだかんだと交付金など含め、
財政が中央のひも付きになってしまい、自主的運営が難しくなってきているからですね。
まあ、赤字を抱えた企業が、合併で活路を見出そうとするようなものです。
日産がルノーと提携したのもそんなところでしょ。
さて、まあ、国としても自治体の数は少ない方が、様々な管理の上でも効率的ですし、
何とか大きな塊を作ってください、というわけですね。
で、基準として「市」は人口5万人以上、町は5千人以上、など人口の規定がありますが、
これは新規に、ランクアップを想定した場合。
もともと、そこそこの人口だったのが、人口流出により、人口が減ってきています。
最近は、この例が多いですね。
で、その場合、5万人を切ったら、町に戻るのか、ということですが、それはないんです。
相撲の番付じゃないんですから、大関、関脇、小結も、成績が悪くなったら、ランクが落ちます。
全休が続いた照乃富士なんか、大関だったのに、序二段まで落ちましたもんね。
ちなみに、春場所から復帰し、全勝しました。
ま、あったりまえですけどね。

さて、地方自治体の場合、降格はしないのです。
もしこれが、Jリーグみたいに、J1での戦績が悪ければ、J2に降格といったように、
人口5万を切ったら、町に降格、人口5千人を切ったら村に降格となったら、どうなんでしょう。
それなりに必死になって、市政の立て直しをするでしょうね。
市民も、役所も、もちろん市長市議会議員もこぞってです。
でも、そういう努力って、必要でしょ。
そういう制度がいいかどうかは別ですが。
人口が減っても市町村の名称の降格はない事が望ましいのですが、
なんとなく住んでいる人の自覚とか、誇りとかに影響するでしょうし、

降格がないからと言って、人口が流出する要因を、何の手立てもなく、

やり過ごしている行政関係者が多いんじゃないでしょうか。

 

かつて、12万人ほどの人口だったのが、今や8千人程度になってしまった町があります。
いや正確には市ですね。
ひどい凋落ぶりでしょ。
学校の教室に30人の生徒がいたのに、今や2人、と言う比率になります。
空いている28のイス机が空しいですね。

これは北海道の夕張市です。
人口8000人だからと言って、夕張町とはなりません。
夕張市、です。

 

夕張市は、明治初期から炭鉱の町として栄えました。
1960年、今から60年前には、夕張鉱業所・平和鉱業所・三菱鉱業所など石炭関係の企業を中心に、
多くの人が集まってきて、116、908人の人口を抱える都市とだったのです。
しかし、昭和30後半以降、エネルギー革命による石油への転換が進行します。
国際間の競争や、炭坑にありがちな相次ぐ事故、国の石炭政策の後退などにより、
まちの基幹産業がかげりを見せ始めます。
こうなると、坂道を転がり落ちるごとく町の勢いは失われてゆきます。
で、市が目指したのは観光客誘致。
そこで、いろいろな建築物を作り、新たな夕張の魅力を発信しようと躍起になります。
しかし、こう言う事って、企画力とか、運営のセンスが大きな要因になるので、
物を作って、はいお仕舞、という行政手法では、ひたすら初期投資が重なるばかり。
挙句の果てに、設備維持のランニングコストを雑に考えたものですから、
借金は増えるばかりになってしまったのです。
そして最悪な事態が発生します。

 

それは、イッカリという財政の姑息な手段を使ってしまったんですね。
この「一借り」とはどういうものか、というと、
3月31日に、借金を返済します。
もちろん帳簿上の操作です。
で、4月1日に、新たな借り入れを起こした風に装います。
実際返し、また借りると言いう事をしたかもしれませんが、

そこは、銀行側とは阿吽の呼吸。

要は借入金額はそのままで、名目的に年度末に返済し、年度初めに借り入れる、と言いうことです。
なんだその制度は、と思うでしょ。
ところがこれが怖いんですね。
会計のシメは、4月1日から翌3月31日までですから、期末残には、返済してることになっているんで、
借金の額は記載されません。
つまり、借金はないことになってしまうんですね。
でも実質は資金繰りから言って借り入れつづけなければならないので、
4月1日に新たに借り入れを起こすわけですが、これが期末にはなくなっている。
つまりどのように決算書の帳簿面を追いかけても、借金の額は記載されないんです。
第三者には、これは発見できないんですね。
で、いよいよ夕張もお手上げになった。
そしたら出てくる出てくる、あちらこちらの借金だらけだったんですね。
行政のごく一部の人によって操作されたので、大半の人は、気づかなかったんです。

 

財政破たんが露呈した時、市民は、悪い悪いと聞いていたけど、ここまでのものとは、
と一様に驚いたそうです。
日本で初めての行政体の破産した。
当然住民サービスの質は低下します。
それでなくても、寂れ行く街での生活の利便性は失われ、将来の夢も描くことができない。
じわじわと夕張から人口が減り始めました。
で、ついに8000人ということになったのです。

そしてこれに輪を架けるように、
北海道夕張市の中心部を縦走するJR石勝線・夕張支線16・1キロ、が31日夜、最終運行を終え、
明治以来127年の歴史に幕を下ろしたのだそうです。
人口が減少したのですから、乗降客も減少します。
かつて、飛ぶ鳥を落とす勢いだった石炭産業。
これを支える輸送のための線路も、もう不要のものとなりました。
時代は流れるんですね。

 

平成ももう終わろうとしています。

 

あと1時間もすれば、新しい元号が発表されます。

さて、何となるのでしょうか。

| 水嶋かずあき | あれこれ | 10:44 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









http://blog.mizushima-kazuaki.com/trackback/2984
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30      
<< June 2019 >>
+ SELECTED ENTRIES
+ RECENT COMMENTS
+ CATEGORIES
+ ARCHIVES
+ MOBILE
qrcode
+ LINKS
+ PROFILE