水嶋かずあきの甘辛問答

神奈川県平塚から、水嶋かずあきが語ります。
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一事が万事

たった一つのあることで、そのほかのことも分かる、ということでしょうか。
人は多くの側面を持ち合わせていますが、ちょっとした言葉、ちょっとした行為で、
その他の部分も垣間見えてくるわけです。
ま、気を付けなくてはいけないことは、
一部を持って全部を類推するので、時に、不正確な判断をしてしまうことがあります。
ま、一種の誤解ですね。
こういうことが起きることもあるので、一事が万事と言っても、
十分な配慮が必要です。

 

さて、とはいえ、なんとなくこれに当てはまるか、と言いう事なんですが、
こんな記事が掲載されていました。

「天ぷらの衣」をはがして食べる女性客に、店主がカチンと来て、
そういう食べ方をしないで欲しいと注意をし、
これを受けた客たちは、不快感を示したものの、

店としては、結局料金はいらないから、退店してもらうことになった、
という、まあ、客と店の喧嘩みたいな出来事です。
もちろん、細かい言葉簿い使い方とか、店の言い分、客の反応など、
詳細は分からないのですが、大雑把に判断しても、
これはやはり客の問題だと思うんですね。

記事の内容を再現します。
  
このいきさつを書いたものが投稿されたのです。

投稿者は、その天ぷら屋で合コンをしていたらしく、
相手の女性たちは、天ぷらの衣を取り除いて食べたのだそうです。
で、その様子を見ていた店主が、
「あなた方の行為は我々に対する侮辱です」
「当店が自信と誇りを持って提供する天ぷらをこのようにして食すことを我々は望んでいません」
「特に衣の食感は我々が力を入れているところであり、それを取り除かれることは大変遺憾であります」
といった類のことを言ったらしい。

確かに、店主の言うとおり、天ぷらという料理は、正に、衣、命なんですね。
カリッとしかもあっさりと仕上げる。
ものによっては、あえて衣をまとわせる。
天ぷらの技は、粉の選び方、解き水の作り方、その温度、混ぜ方などすべてのプロセスに求められます。

そして、油の調合、油の温度、上げている最中に温度が上下しますが、このコントロール。
どこかずれても、ベストにあげることは難しい。
天ぷら屋さんとしては、天ぷらを揚げることで料金を頂戴するのですから、
ここは最大の神経を使うのです。
まあ、大したことじゃないと思われても結構ですが、
腕のいい職人が挙げた天ぷらは、胃もたれしないもんです。
ネタにまとわせた衣の量も、最小で最大のうまみを出すからです。

何より、同じ量の天ぷらを揚げても、油の減りようが少ないんです。
そんな神経を使い、技を駆使した衣をはがされたら、ちょっと待て!となるでしょうね。
 
女性たちは不服そうで、投稿者の友だちは合コンを台無しにされたことについて怒ったそうです。

ま、こんな食べ方をする女性とは、付き合わぬ方がいいですね。
却って、客観的な判断をする機会が得られたんじゃないですか。
だって、そもそもそのお店は天ぷら屋なんでしょ。
寿司屋に入って突然天ぷらが出てきたわけじゃない。

天ぷら屋としては、衣とは「キモ」の部分です。

 

実際、一度私も同様の経験をしたことがあったのですが、
十数名で、食事をしていた時の事です。
隣に座った女性が、天ぷらの衣をはがして食べ始めたのです。
ま、きっとカロリーを気にしてそうしたんだと思うんですが、
この人は一人で食事をしているなら、これは仕方ないですが、みんなの前でです。
私は、どうしてはがすのか、と聞きましたら、案の定カロリーを気にしている、と。
で、そこで言い合うこともないので、そうですかで終わったんですが、これは二つの対処法があります。

 

一つは、手を付けずにどなたか天ぷらのお好きな方は居ませんか、と言って、

仲間内に回して、誰かに食べてもらう。
中の海老だけ食べてしまい、残った衣だけ食べてくれる人はいませんし、第一失礼でしょ。
ですから、お皿そのものを差し上げる、ということです。
第二に、普通に食べます。
その時に余分に摂取したであろうと思うカロリーは、
その日のその後の食べ物でコントロールすればいいのです。
まあ、ちょっと控えるというか、その日、または翌日に控えめに食べれば、
一回食べた天ぷらで、急に太るわけがない。
太るというのは、ちょっとずつ余分に食べるからです。
ですから、トータルでコントロールすればいいんですね。

ま、それと、天ぷらの衣ごと食べたからと言って、その油が体脂肪に直につながる訳じゃないのです。
油分が体内に入ると、体の脂肪になってしまう、という勘違いをしている人が多いのですが、
これは間違いなんですね。

 

体に中に蓄積され、いざという時のエネルギー源としてのストックが脂肪ですが、
だからといって、摂取した油がそのまま脂肪になるわけじゃありません。
体内の脂肪の大もとは炭水化物です。
炭水化物と言ってもいろいろありますが、
すべての炭水化物は、消化の過程でブドウ糖に分解され、血液中に流れます。
ブドウ糖が血液中に増えたことを察知すると、膵臓からインスリンというホルモンが出て、
余ったブドウ糖をグリコーゲンに変え肝臓や筋肉の細胞に取り込みます。
ただ、グリコーゲンとして細胞内に取り込める量には限界があり、
余ったブドウ糖が中性脂肪に形を変えて脂肪細胞に取り込まれるために、肥満が起きます。

 

油は、炭水化物ではありません。
ですから、カロリーとしては高いのですが、そのまま体内で脂肪になるわけじゃないんですね。
このメカニズムを知らずして、天ぷらの衣をはがすのは、
正直言って無知のなせることです。

 

ある法律家が、この出来事をネット上で法的に解説していたのですが、
食べ方のルールを書いた張り紙が必要だった、というのです。
???でしょ。
天ぷら屋に限らず、最近は『とんかつの衣はがし』、『焼き鳥の串外し』、『寿司のシャリ残し』などあるそうです。
で、正しい食べ方を知らないからと言って、その食べ方を貼り紙に書くって、ちょっとおかしいんじゃないか。
なんか文化そのものの否定みたいでしょ。
日本には、日本で培われた食文化というものがあって、
おかげさまで、私達は、成長し、生活できているわけです。
時代とともにそういうことに偏りが出てくるということはありうることですが、

だからと言って、天ぷらの正しい食べ方、なんて貼り紙をするのは、情緒もくそもない。
法律家の欠点はここですね。

 

純粋に法的に、どういうことかと言うと、
「客がどんな店に入るのかを自由に選べるのと同じように、
店も、客を選ぶことができる。
そして、食べ方についてのルールを守れる客だけを入店させることも自由。
しかし、その場合、あらかじめ『店主の指示した食べ方を守っていただかないお客様は退店していただきます』
といった張り紙でもしてあって、客がそれを見て入店した場合、
店と客さんとの間には、そのルールに従って食事をするという合意があったといえる。」
というんです、この法律家は。
ま、確かに法的にと言えばそれまでですが、
世間の常識というものが法律の前に存在するわけで、
怒って帰った客の擁護をすることもない、と思うんですね。
衣をはがした女も、その女の肩を持って店に抗議した男も、
どっちも常識という点では、何か欠落している。
どうして食べ物をそんなに粗末に扱うのか、ということです。
そして、そんなしつけをされてしまったのか、と。
いわゆる、親の顔が見たい、という事でしょ。

 

合コンが台無しになって、すごすごと退店する客に、
私なら、良かったね、馬鹿な女をつきあわずに済んで、
また、常識を持って場を仕切れなかった男もだらしがないね、

と、声をかけたと思います。

| 水嶋かずあき | グルメ | 09:28 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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