令和元年、その最初の日と言うことで、昨日もそうですが、
メディアには、改元にまつわるニュースがあふれかえっています。
昨夜0時00分に、平成から令和に切り替わるということで、全国各地でどんちゃん騒ぎのようすが伝えられました。
結構なことではないですか。
カウントダウンとともに、ゼロの瞬間に、花火が揚がったり、みんなでおめでとうの唱和をしたり、
万歳をしたりと、これといったパターンがないものですから、それぞれ勝手なモーションになったようですが、
まあ、考えてみれば、一生に何回巡って来るか分からない改元の日ですし、
今回のように、天皇の崩御とともに改元されたわけではないので、底抜けに明るい雰囲気が漂っていますね。
まあ、その意味では、おこぼれ頂戴的なところで、一緒になって、めでたい空気を吸っています。
糸井ミヤさんのことがニュースになっていました。
この方、明治44年5月1日生まれ。
今日、104歳になったそうです。
長寿の方が増えているのは確かですが、さすが、100歳越えとなるとなかなか珍しいですね。
で、5月1日生まれと言い、明治44年生まれと言い、
一生の中でも、偶然のようにめぐってきた令和の初日が誕生日だったわけです。
明治、大正、昭和、平成、令和と5つの元号を生きてきたということで、
記事になったようなんです。
昭和が長かったですが、私もこれで、昭和、平成、令和と、三つの時代を生きてきたことになります。
ちなみに、うちのおじいちゃんは大正生まれですから、今日で4つ目の元号を経験するわけです。
明治以降、一世一元となったので、過去との比較は意味がないと言えば意味がないのですが、
昔は、平均で2〜3年で元号が変わっていました。
ほぼ100年単位でその改元の数を調べてみたのですが、
初めの頃はいいとこ13とか16、1004年からの100年間は、24という具合に数が増えて、
その後うなぎのぼり。最大が1104年から1201年が36の改元が行われました。
平均で2年〜3年と言うところです。
こうなると、5年前の元号はなんだったか、なんて覚えていない人はざらだったんでしょうね。
まあ、公文書的なものは元号付きの記録になっていますが、
その頃庶民がカレンダーをめくりながら生活をしていたとも思えないので、
元号と言ったって、他人事みたいなものじゃなかったのではないかと思うんですね。
日本民族の統合の象徴として天皇が存在していた時期と言うのは、基本的に継承されているのですが、
特に武家社会が始まると、その存在感が薄くなる時期が出てきます。
それは源平の頃から、少し乱れ始めます。
1177年、治承と言う年号になります。
ところが、この時から、養和、寿永、元暦に至るまで、
ある時は平家は使わず、時に源氏は使わず、と言う感じで、
正に源平合戦のごとく、それぞれの主張がぶつかり、
元号一つとっても統一されたものではなかったんですね。
で、源氏が平家を滅ぼすと、このダブルスタンダードのような状態は収まります。
まあ、これは良い方で、天皇そのものが否定されたわけではなく、
まあ、一種の公文書的な年号の扱いに、意地を張りあった程度だったわけですね。
日本の歴史の中に、南北朝時代と言うのが登場しますが、
これは、南北それぞれに天皇を抱えたので、当然のように元号も二通りになりました。
例えば、1350年を例にとりますと、北は観応、南は正平、という具合です。
どうでもいいことですが、もしこの時代にカレンダーがあって、
店先に飾ってあるカレンダーを見て、おたくは北なんですか、とかの会話もありだったのでしょうか。
それとも、庶民は、上が勝手にバタバタしているだけで、正平が建徳に変わろうと、
昨日と違うおてんとうさまが昇ってくるわけじゃあるまい、と
その馬鹿な権力争いを受け流していたのかもしれません。
まして、その都度道頓堀から飛び降りていたんじゃ、身が持たないでしょ。
まあ、いずれにしても、糸井ミヤさんがそんな時代に生まれていたら、
もしかすると30を超える元号を経験するわけで、
これまたギネスもんでしょう。
元号と言う文化を日本はしっかりと継承してきました。
その言葉の中から、善き時代になるようにと言う願望があったのだと思います。
国の中を見渡せば安寧。
現代のように海外を見渡せば平和。
中国も、韓国もかつては同様の文化を持っていたにもかかわらず、
国家体制の変革とともに、古来から伝承してきた文化を捨ててしまったんですね。
まあ、近代化と言えば近代化ですが、
精神的な要素を多く含むこのような文化は、できる限り継承してゆきたいですね。
特に、今回の改元で、改めて、日本民族の文化性のレベルについて、誇りを持ちました。
さて冷静に考えて、私は、三つ目の元号を体験することになったわけですが、
どう見ても4つ目は、不可能です。
そう考えると、ちょっとさみしくなりますね。