水嶋かずあきの甘辛問答

神奈川県平塚から、水嶋かずあきが語ります。
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実践的経済教育

とても面白い記事を見つけたので、ご紹介します。

 

主人公は、今、小学校2年生。
周りのこの世代の子を見ればわかるとおり、
黄色い帽子をかぶって、ランドセルを背負って、仲間とべちゃべちゃしゃべりながら、

登校する姿をときどき見かけますが、
まだまだ体も小さく、考えることも未熟ですし、使えるボキャブラリーも少なく、

やっと人間の仲間入りをしようかどうか、と言うところです。

 

で、この子、1年生の時、おこずかいを月に100円もらっていました。
彼はやがてポケモンカードゲームにハマってカードを集めたくなったのですが、何しろ資金不足。
その資金調達(ま、こういう言葉では考えなかったと思いますが)の方法を考え始めます。
そこで、父親がその様子を見て、資金調達の最初の手段として、おこづかい講座を開講することにします。
もちろん受講者は我が息子一人。
なんと、実の息子から受講料100円をもらうことにします。
いや、いかにも親子で、と思いますが、経済と言う原則を学ばせようというわけですから、
その最初の段階に投資は必要です。
それが100円と言えどですね。
いや、大人はたかだか100円ですが、この子にしてみれば、一か月の収入そっくりになるわけです。

 

で、どんな講座内容だったのか、と言うと、
投資や消費の概念、「ターゲットの困りごとを解決するところに、
フィー(料金、手数料など)は発生する」などの解説でアドバイスしました。
その細かい内容です。
・お金や時間の使い方は1つではない。投資、消費、浪費の3つがある。
・この講座のために、100円払うことはドキドキしたと思う。こういうのを、投資と呼ぶ。
・フィーを得るためには、いろんな方法がある。

 小1がおこづかい以外に父ちゃんたちから、お金をもらうには、

 「ターゲット(父母)の困りごと」を解決してあげればいい。
などについて、解説したのです。

そして、(多分、親と相談したんだと思いますが)「ターゲットの困りごと」をのいくつかと、
「小1にできること」をすり合わせます。
まさにこれって経済の原則でしょ。
ターゲットの困りごと、とはいわば、ニーズのことです。
この場合、ターゲットは、家庭内の人になりますから、父か母。
で、両親のニーズは何か、をまず模索するんですね。
そもそもニーズの無い所に、商品は売れません。
時に、商品がニーズを作り出すことがありますが、基本的には、ごくまれな例です。
で、なおかつ、いかに対応するのか、対応が可能なのかどうか、
つまり、小1の子に何ができるか、でしょ。

考えた結果、
この子は、「コーヒー好きの両親へハンドドリップで提供するコーヒー屋」の起業を決めます。
まあ、ほほえましい決断ですね。
さて、企業の経営方針が決まったのですが、いくつかの問題がありました。
なんと、開業資金がないのです。
だって、コーヒー豆を仕入れなくてはことが始まらないわけでしょ。
しかも、ターゲットたる顧客が満足するような良い豆は高価で、
手元にあるお年玉貯金の1000円だけでは買えないのです。
そこで、先ずは資金調達。
知らない仲じゃない父親から、信用で、900円を父親から借り入れることにしました。
親父も親父ですね。

やるなんてことは言わない。

貸すんです。

いつか返済をしなくてはいけない。

彼の月収は一か月100円ですから、どういう決断をしたのか、9か月分を借り入れたわけです。

ともかく、その資金で、ブルーボトルで200グラム1900円の豆を購入したのです。
ここで、手元の残金はゼロ。

もっとも、販売予測は、かなり着実なものだったので、

あまり躊躇はなかったんじゃないか、と思いますね。
で、コーヒーを淹れる器材や、光熱費は、まあ、それこそ知らない仲じゃないので、
親に目をつぶってもらったんでしょうね。

これは無償貸与。
コーヒーの売価は、1杯200円。
これは、父親と相談し、原価計算して設定したそうです。
で、ざっとですが、1900円の豆から11杯つくれる、と。
2200円が売り上げですから、差し引き300円。

いやそれにしてもずいぶんいい豆ですね。

一杯分が、173円。

でも、少なくとも、一日2杯以上は売れたとして、1週間で、300円の利益が出ます。
小1の子にしてみれば、それまで100円の収入が一挙に10数倍。
これはテンションが上がりますよね。
コーヒーの淹れ方は親に教えられながら覚えていきました。
これの講座料は無料だったようです。

 

で、準備が整い、いよいよ小1オーナーのコーヒー屋がオープンします。
店名はシンプルに「ブレンドコーヒー」。
きっとメニューなんてないでしょうから、コーヒーといえばブレンドなんでしょうね。
ここはもうちょっと工夫が欲しかったですね。
店名とかは、ある種の理念のようなものが込められるので、
小1は小1なりに想いを店名にすべきだったと思うんです。
ま、ともかく、まずはたった二人のお客さんですが、
「ブレンドコーヒー」は、試行錯誤をしながら営業してゆくことになるんです。

 

そして、しばらくすると、
「お茶菓子が欲しい」というターゲットのニーズを察し、
メニューには駄菓子付きのセットも販売することになりました。
このレポ−トによると父親から、うまい棒やきなこ棒を10円で仕入れ、
それを20円で売ることにしたのだそうです。
なぜ父親が、駄菓子を卸したのか、理由は分かりません。
そういう関係の仕事をしていたのか、仕入れとはいえ、

小1の子に、買い物をさせるのに、ためらいがあったのか、そこは分かりませんが、

この子にしてみれば、仕入れる、と言えば10円で手に入るということです。

 

当然ですが、経験とともにドリップも上手になり、
今では、お店で飲むレベルの味を実現できた、と言うのですね。

コーヒーが売れたら、しっかりと出納表に記帳。
マイナスの概念など、小1には理解しがたい所があったようですが、
足し算・引き算の練習を兼ねて楽しんでいたそうです。

しかし、なんでもことが順調に運ぶとは言えないようで、
当初は、作業ミスによる豆のロスが影響して、なかなか事業計画通りの黒字は出なかったそうです。

そこで、この子は、豆の仕入れを考え、新しい豆に転換、その結果、少しずつ現金が確保できるようになり、
起業から2カ月かけて借金を完済し、わずかながら黒字に転換。
その翌月には累積で1150円の利益を得ました。

小2になった現在も、この子はコーヒー屋を営業中。
カードが欲しくて始めた事業ですが、
お金を稼ぐことの面白さを見つけたようだ、と父親。

 

とても実践的で、しかも心温まる教育ですよね。
最初に、100円の受講料を取った、と言うところから、
何をどのように捉えるべきか、という根本を教えていると思うんですね。

とかく理屈が多い親子関係で、これはなかなかの事例ではないでしょうか。

 

| 水嶋かずあき | あれこれ | 15:11 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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