水嶋かずあきの甘辛問答

神奈川県平塚から、水嶋かずあきが語ります。
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裁判員制度10年

裁判員制度が始まって10年。
私の身の回りにも、裁判員制度による裁判員を経験した人が、ぽつぽつ出てきました。
いつか自分の番が来るのか、と、半分、その時のことを真正面でうけとめようと、
ある種の期待をしています。

 

今から60年ほど前のことです。
「12人の怒れる男」と言うアメリカ映画が製作、上演されました。
ヘンリーフォンダ主演の白黒映画。
12人の陪審員が、一人の少年の父親殺しと言う罪を裁く映画です。
アメリカの陪審員制度では、全員一致で、有罪無罪を決定し、
無罪なら、そのまま裁判終了。
有罪なら、裁判長が量刑を申し渡します。
つまり大もとで、陪審員の心証が大きく影響するわけですね。

 

ま、ともかくこの映画を観ない事には、この映画で言わんとする、

人を裁くという人間が人間に対する行為、様々な考えのすり合わせ方など、

コミュニケーションの妙が理解できないと思いますが、
兎にも角にも、大変優れた映画でした。

 

私はこの影響を受けたのかもしれません。
裁判を、司法の専門家だけでなく、一般の意市民の、ごく普通の人間としての感情や見識を持ち込むということは、

優れた方法である、と思うんです。

政治の政は、祭りごとと読みますが、これは本来、時の為政者の重要な仕事として、
民人の争いごとを処理する、と言う役目を意味しています。
いわば行政府とともに司法府の役割を兼ねていたんです。
もちろん犯罪者の処分も重要な仕事でした。

まあ、江戸の頃を主としたお裁きは、大岡越前の守とか、遠山の金さんとか、
かなり想像が加えられていると思いますが、時代劇なんかで登場する司法官です。
彼らは、お白州の上に訴人を座らせ、いわゆるお取り調べをします。
きっと、証拠不十分でも、江戸市中引き回しのうえ獄門打ち首とか、島流しとか、
まあ、簡単に処分をした可能性はありますよね。

 

で、罪人に弁護士がつくようになってから、

より正当な裁判ができるようになったとは思うのですが、
それでも、司法関係者と言うのが、いわゆる世間の常識をしっかりと踏まえたうえでの判断をしているのか、
と言うことへの疑念はあったわけです。
たぶん、そういった問題点が、仲間内で、時に酒を飲み飲み、話題になっていたんでしょうね。
当然、他国の司法制度についての考察をしっかりとする。
より望ましい司法制度はないのかと、試行錯誤、議論百出の上、裁判員制度が登場したわけです。

 

10年経って見ると、様々な問題が浮かび上がってきました。
私はこの制度に関しては外から見てきただけなので、十分に掌握はしていないのですが、
制度の精神がなかなか浸透してこないんじゃないか、と思うんです。
一つは、守秘義務が強く、裁判プロセスや罪状の内容について

基本一切外部に漏らしてはいけないそうなんですが、
この制限が、裁判員制度の経験を、周辺に語ることまでブレーキを掛けさせているような気がするんですね。
確かに、その経験を話題にして話せば、ついつい、人は裁判の中身に興味を持つはずなので、
あれこれ聞くでしょうし、
そうなれば、はずみで抑えきれずに話してしまう事だってありうることです。
ま、守秘義務は重要ですが、ここの使い分けをしないと、
とても暗い経験をしただけ、という印象を周囲に与えてしまいますでしょ。

 

それと、裁判員になってからの時間拘束と、それに対する報酬など、
改善の余地があると思うんです。
そもそもが、司法の仕事の進行度と言うのは、そういう概念なのか、やたら時間を掛けます。
つまり、一人の人が、複数の案件を同時進行で抱えているわけで、
そんなことで集中できるのか、という疑念がありました。
そういう習慣のようなものがあって、時間がかかって当たり前、と言うところがあるんじゃないでしょうか。

まいずれにしても、今まで10年の運用が、意義深いものであったならともかく、
年々その比率が上がってきていて、
このままだと、抜本的な改善が必要なんじゃないか、と感じますね。

 

先ずは候補者としてリストアップされます。
この数、10年で、ざっと100万人越えになっています。
およそ人口の1%がそのリストに上がったんですね。
で、この人たちと接触し引き受けてもらえるかの確認をします。
併せて、依頼すべきか、と言うチェックもしているようです。
ある候補者になった人から聞いた話です。
このチェックの際、あなたは死刑制度についてどう思いますか、と言う質問があり、
その人は絶対反対だ、と答えたのだそうです。
すると、どうもその一言で外されてしまったようだ、と言ってました。
とするなら、何のための裁判員制度なんでしょうね。
賛成も反対もそれぞれの市民感情なわけで、賛成の人だけ集めて裁判すれば、
それはそれなりの傾向が出るんじゃないでしょうか。

 

裁判員制度で、死刑判決が出されたものの、その後の上級審で、判決が破棄され、
無期懲役になった例がいくつかあります。
これは裁判員裁判の傾向として、死刑の選択しがちになるわけです。
だってそうでしょ。
死刑賛成論者を選任しているんですから。

 

こう言うことで、裁判員制度は根本でその意義を失いつつあるのですが、
司法専門家は「素人」裁判に引きづり込んだことは間違いだった、とまで言う人がいます。
これは大間違い。
素人ではなく「民意」を取り込んだんですよね。

 

ま、裁判に長期化が主な要因のようですが、裁判員の辞退する人が続出。
当初、「辞退率」53%だったのですが、昨年は、67%まで上がり、
一部地裁では80%越えのところもあるようです。

 

せっかくの制度なんで、何とか改善しつつ、

民意を司法の世界に取り込んでもらいたいと思います。

 

| 水嶋かずあき | あれこれ | 10:28 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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