水嶋かずあきの甘辛問答

神奈川県平塚から、水嶋かずあきが語ります。
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やぶ医者

落語の小噺の一つです。

 

そそっかしいことで有名な八五郎が、近所の医師、玄斉庵の元に駆け込んできます。
せ、せんせ、一大事なんだ、なんとかしてほしくってさ、と。
玄斉庵は慌てふためいている八五郎に、まあ落着け、いったいどうした、と。
八五郎、せっかちな口調で、いやね、うちの裏庭に、てえしたことないんだが、竹藪があるんだ。
で、今朝よく見るってえと、竹に花が咲いているんだね。
よく言うじゃないですか。竹に花が咲くと枯れちまう、って。
玄斉庵、確かにそう言うな。
まあ心配事は分かったけど、なんだってわしのところに飛び込んできたんだ。
八五郎、酢頓狂な声で、あれれ、竹藪が枯れそうだったらなんとかしてもらえる、と思ったんでさあ。
だって世間では、せんせのことを藪医者って言ってるから。

とまあちょっとしたやぶ違いの話です。

 

この小噺のように、通常、腕の良くない医者のことを藪、と言います。
なぜそう言うようになったのかは定かではありません。
様々な説の中で、そうかもしれない、という説をご紹介しましょう。

 

そもそも藪深い、というイメージは片田舎のことで、
そんな田舎で医者をやっているのは、さしたる腕のない医者だ、という概念があって、
藪深きところの医者、という意味をつづめて藪医者と言うようになったとか。

 

藪医者の大本となった言葉は、藪薬師という言葉だそうで、
南北朝から室町時代にかけて、文献などに登場するようです。

 

一説に、江戸の頃に養父(兵庫)に名医と名声を博した医師がいて、
名医のことを指す言葉として養父医者が使われるようになったというのもありますが、
まあ、どうもこれは誤用のようです。

他に、呪術を用いる田舎の医者のことを「野巫(やぶ)」と言ったそうで、

これが藪医者の語源だとする説もあります。

 

ま、いずれにしても、「やぶ」と言う音を「藪」と言う感じにすり替えていたのは、
田舎の藪深いイメージが根底にあったようです。

 

こんなニュースがありました。
地域医療の発展に尽くす医師をたたえる「第6回やぶ医者大賞」の審査会が

6月末に養父市の市役所で開催されたそうです。
もちろん、養父市としては、誤用であれ、とりあえず、養父の名医としての意味を前提にして、
地域医療に取り組んでいる意志を表彰するという事なんです。
まあ、ある意味、藪医者の語源でもある片田舎の医師、という概念では一致しているんですね。

 

で、全国から応募のあった8人の中から、熊本県小国町の小国公立病院副院長の片岡恵一郎さん(49)と、
三重県鳥羽市立神島診療所長の小泉圭吾さん(41)が選ばれた、そうです。

最近、そもそも医師不足の問題や、無医村の問題や、無報酬医師の問題など、

耳にする機会が増えてきましたが、
中央で光を浴びている医師の陰で、名声も報酬も縁遠い地域医療に取り組んでいる医師もいるわけで、
これらの人は、実に貴重な存在でしょ。

 

そこにスポットを当てて、養父市がやぶ医者大賞を創設したのです。
今年で5年目。
なかなか素晴らしい取り組みですよね。
こう言う素晴らしい思いの前には、誤用もへったくれもありませんね。
養父の名医説が本流になればそれはそれで結構な事でしょ。

| 水嶋かずあき | あれこれ | 18:44 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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