水嶋かずあきの甘辛問答

神奈川県平塚から、水嶋かずあきが語ります。
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何かあると規制

何か大きな問題が発生すると、その問題が二度と起きないように、と対応を取る。
ま、これは極めてまっとうな行動です。
ある意味、対応を取らずして再発すれば、
社会からは何やってんだ、と非難を浴びること間違いナシ。


で、そのために時に法律を作り、時に条例で規制する。
確かにその対応法は、再発を防止するには効果がありそうだ、と思えます。
しかし、大体のこれらの対応法は、問題発生の根源を精査することなく、
対症療法であることが多く、
新たな制限が、それまでのやりかたの利点の芽を摘む場合が多いのです。
つまり、問題再発防止とともにに、それまでの慣習的なことや、
それなりのメリットを阻害してしまうのです。
そして、それらの対応策実施のエネルギーは、ほぼ、民間が負担することになります。

 

グダグダ言ってないで具体的な事例に触れてみます。
もっとも顕著なこの類の例題は、米トレーサビリティと言うものです。
多分聞いたこともないような言葉でしょ。
農林水産省は、2008年8月に、農薬のメタミドホスとアセタミプリドが残留している米や、
発癌性のあるカビが産生した毒のアフラトキシンB1を含んだ米であるいわゆる事故米穀を、
工業用(非食用)として、三笠フーズ株式会社に売却したんですね。
近畿農政局と九州農政局が、この事故米穀の処理状況について立ち入り調査等を行なったところ、
三笠フーズは、落札した事故米穀を非食用として仕入れておきながら、
その事実を隠して食用として転売したことが確認されたわけです。
つまり、非食用米を食用に使用したという事件です。

 

これには、流通に携わった民間会社が処罰されましたが、
実態は、近畿農政局、と九州農政局が絡んでいたのです。
そして、農政局の職員は、業者からの贈賄を受けていたらしい、と。
で、これはまずいと、農水省は、米トレーサビリティ法を制定しました。
これは一般消費者にたどり着くまでのコメの流通経路を記録し管理しようとするものです。
つまり、飲食店は消費の最前線にいるので、買い入れたコメがどこからやってきたものか、

という記録をつけなくてはいけない。
米屋は、どこに売ったかと言う管理記録を保管しなければならない、

という新たなルールです。
今まで必要とされなかった新たな業務が、発生しました。
記録を残すということです。


よくよく考えてみれば、お役人が雑な管理をしていたために発生した事件でしょ。
それを、再発防止とかいう大義のために、民間にその処理の片棒を担がせる。
で、このトレーサビリティを、実際農水省がなんらかの形でフォローしているのか、と言うと、
法律制定後、ただの一度もチェックされないんですね。

ある飲食店は、今までの膨大な記録が何らかの意味があるのか、と言ってました。
つまり、お役人は、言うだけ言ってやらせっぱなし、ということです。
再発防止なら、農水省の農政局の職員が自覚すれば済む話です。
それを、日本中のコメを扱う者に流通経路を記録し保管させるという必要が

どこにあるのか、と思いませんか。
責任転嫁もいいとこです。

 

平成25年京都福知山の花火大会で、
露天商の自家発電機に燃料を補給しようとしてミスがあり火災が発生、
ガソリンを浴びて3人が死傷、56人が重軽傷を負うという事件がありました。
ま、明らかに取り扱い方のミスで、まさに、二度と起きてはならない重大な事故です。
そこで、再発防止という意味だと思うんですが、
それ以後、イベント等で火器を使用する場合、消火器を携行するということを義務付けられました。
まあ、これは、消火器一本現場に持ってゆけばいいことなんで、
これで、事故が防げるなら結構なことです。
しかし、消火器を携行するということで、この問題は再発を防げるんでしょうか。
実際、福知山の状況を考えれば、消火器があっても、

死者や重軽傷者を無く得すことはできなかったと思うんです。
ガソリンが噴出し、それを浴びた人が焼死したんですからね。
ガソリンによる発電機の取り扱い方でしょ。

 

ガソリンと言えば、例の京都アニメーションの放火殺人事件を受け、
消防庁は27日までに、ガソリンを容器で販売する際に身元や目的を確認し、

記録を保存するよう、業界団体に要請したと言うのです。

もし、悪意があるなら、ガソリンは車のタンクから抜けばいいことでしょ。
再発防止、と言う美名のもと、協力を要請されれば、これは誰も断れないでしょ。
素直に協力しましょうという人もいれば、

客とのトラブルは避けたい、などとの戸惑いもあるはずです。

余計な仕事を民間に押し付け、再発防止の対応はしました、

と言うお役人の傲慢な対応方法に、
なんか問題があるような気だするんです。
本気になって再発防止を考えたのか、ということと、

それで再発防止ができるのか、ということ。

 

何より、世間向きにいい顔をしているお役人の姿勢に違和感を感じるんですね。
そんなもんでいいの、と。

 

こうして、日々、1ミリづつぐらい自由さが奪われてゆくような感覚になっているんです。

| 水嶋かずあき | あれこれ | 21:11 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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