水嶋かずあきの甘辛問答

神奈川県平塚から、水嶋かずあきが語ります。
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ふるさと納税の在り方

2007年に夕張市が財政破綻をし、財政再建団体に指定されました。
このニュースを聞いて、地方自治体が破産することがあるんだ、と驚いたことを覚えています。


正直、民間の会社ならまだしも、多くの市民が暮らす自治体そのものが、破産をするんです。
そうなるとそこの市民はどうなるのか、また抱え込んだ借金は誰が返すのか、と思うでしょ。
何より、「では」とか言って市庁舎を閉じ、職員が全員辞めてしまうわけにはいかないでしょ。
市民生活の基本を担っているのが地方自治体なんですから。


財政再建団体と言うことは、国の管轄下に置かれ、
認められた再建計画を超えたお金は1円たりとも、市の裁量で支出できないくらい、
がんじがらめの管理状態に置かれるんですね。
職員は次々とやめ、いわゆる公共サービスの質は低下し、
住民も、この希望のないまちを去り人口は激減。
まあ、日本で最も暮らしにくいまちになってしまったわけですね。

 

で、この時に、次の財政破たん候補行政体として、最上位にリストアップされていたのが、
大阪の泉佐野市です。
来年にも破綻か、と言われていました。
北海道の地理的には恵まれたところではなかった夕張から見れば、
泉佐野市は、少なくとも地方都市としての地理的な優位さはあったわけです。
大阪の中心からは南西に50キロほど。
関西国際空港の玄関口です。
そんな、地理的な場所にもかかわらず、なぜ財政が悪化したのか、と言う事なんですが、
一言で言えば、夕張にせよ、泉佐野にせよ、
その市長に経営感覚が大きく欠如していたことです。
民間の会社の社長なら、投資とそのリターンのバランスを考えれば、
絶対に手を出さない、という事業を進めてしまったんですね。
ざっと言えば箱もの行政です。
まあ、バブルのころはそれでも地方の財政はそこそこの税収が確保できていましたが、
世の中の景気が全般に低下してくると、
もろそのあおりを受けて、単位事業の収益性、と言うか維持管理費の増大により、
微妙に赤字傾向が進んできます。
これが、むやみに箱モノを作ったところはその数だけ赤字が累積してくるわけです。
もちろん財政悪化の要因はこれだけではありませんが、
いずれにしても、きちんとして経営的視点が欠如していたことによって

破たん、または破たん寸前まで追い込まれてしまったわけです。

 

で、泉佐野の場合、1994年、今から25年前に、関西国際空港開港に伴い、
人口増、「りんくうタウン」、大型店舗やホテルの進出、高速道路の整備促進など様々なプラス要因が増えてきたのですが、
大型プロジェクト等が当初の計画通りには進行しなかったり、
景気低迷、地価下落もあり、徐々に財政状況が厳しくなって行きます。
そして、2004年に財政非常事態宣言を出し、
内部管理経費の節減や経費削減、受益者負担の適正化など緊縮施政を行ったものの、
2008年度決算では連結実質赤字比率が約24%と早期健全化基準の17.44%を超過し、
財政健全化団体となってしまいます。
もう破たん寸前と言うことです。


そこで、崖っぷちに立った泉佐野市は、なりふり構わない財政健全化計画を立てます。
各種事業の見直しはもちろんのこと、遊休財産の売却、企業誘致の推進などに取り組みました。
まあ、基本的には、これらの対応は財政再建のイロハのようなものです。
夕張が相変わらず喘ぎ喘ぎの状態が続いているというのは、地理的なマイナス要因があることと、
余力もすっかり使い果たしてしまった、と言うところに原因があったのです。
ともかく、わずかに残っていた余力で、泉佐野は、しゃにむの借金返済に取り組んだのです。
そのしゃにむさは、なんと市の命名権を売る、と言うアイデアまで飛び出します。
例えば、ユニクロ市とか、楽天市、みたいなものです。
もちろん市民は大賛成というわけではありませんでした。
トヨタ自動車のおひざ元の豊田市とか、宗教団体の天理教の天理市とはわけが違うだろう、と。
ま、結果としては今も泉佐野市です。
で、努力の結果、2013年の決算で、財政健全化計画を達成。
2015年度決算で早期健全化団体から脱却しました。

こんな経験をトラウマのように持っている泉佐野市です。
なりふり構わぬところは、ふるさと納税でも発揮されました。
何しろ、輸入のズワイガニまで返礼品に加えたのです。
その結果、あらゆる自治体を押さえて、498億円と言うとてつもない、納税額を集めました。
これに、主に東京をはじめとする、いわゆる都会系の自治体が税収減を理由に、総務省に働きかけ、
返礼率3割、地場産品に限定するなどの縛りを付け加えたのです。

ま、考え方ですが、これはこれで、問題ですね。
それこそ公取だったら何と解釈するかです。
だって、この国は経済においては自由競争が原則でしょ。
頑張るところが利を得るのは当然じゃないですか。
泉佐野なんか、崖っぷちから這い上がってきた街です。
ちょっとばかり金を集めたからと言って、

ふるさと納税のシステムから除外するなんて、もってのほかでしょ。
そもそもこのふるさと納税の基本は、税収が上がらない地方の自治体を助けるためのものでしょ。

ま、ここで、国の第三者機関「国地方係争処理委員会」が、
泉佐野他3市町を除外した総務省に対して、判断を再検討するよう総務相に勧告したのです。


日本にまだ正義が残されていたんですね。

 

| 水嶋かずあき | あれこれ | 12:42 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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