水嶋かずあきの甘辛問答

神奈川県平塚から、水嶋かずあきが語ります。
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皆達者で暮らしているか

50年ほど前の昔の話です。
当時、私の父は銃猟を趣味としていて、
当然ですが、何丁かの散弾銃と、猟犬としてのポインターを飼っていました。
父の部屋には、銃を保管するステールのケースと、庭先には、金網で囲われた犬小屋がありました。


私が20歳の時、父は銃猟を薦めて来たのです。
まあ同じ道楽を共にしようと言う事ですね。
私は銃所持の許可を得られる試験に合格し、資格を得ました。
これが、何とも妙な試験で、当時知り合いの方が試験官だったのですが、
筆記試験中に会場を見守りのため、机と机の間をぶらぶら歩いて循環していたのですが、
私の机の前に来ると足を止め、答案用紙を覗き込み、

どうも間違って回答したらしいところは指を差すのです。
もちろん言葉にはしません。
ですからそこは再考しますよね。
おかげさまで満点で試験はパス。
そしてその年の狩猟シーズンは、父のお古の水平2連中を譲り受けて、

ハンターとしてデビューしました。
初心者ですし、猟場の様子も知らないのですから、

ひたすら、山林を父の跡をたどって歩いたものです。

父がよく行く岩手の葛巻と言うまちがあって、ここの畑に続く低い丘陵地帯は、キジが多く生息していました。
で、父に連れられて、私も行ったことがあります。
この葛巻の猟師で、葛巻のポインターと言われた人がいました。
彼は、異常なくらい猟に特化した能力を発揮する人で、
自分が普段動き回るエリアについては、実に細かいことまで掌握している人だったのです。
例えば、ある小さな沢に入ろうとすると、この沢には、今年生まれたひなが大きくなって、全部で5羽ほどが住んでいるとか、
ここから飛び立ったキジは、右手の畑のふもとまで飛んでゆくとか、
まあ市役所の戸籍係みたいな知識と、保護司のように彼らの生活習慣を熟知しているんですね。
そのくらいですから、銃を使わずキジをとらえることができるんです。

 

先ずその熟知した知識を基にするんですが、
例えば、A地点で出っくわしたキジがいたとします。

鳥は身の危険を感じ、飛び立ちます。
そして、B地点に降り立つんですね。
必ずそこに向かうんです。

そもそもキジのような地べたを歩いて餌を探す類の鳥、キジを筆頭にヤマドリ、小綬鶏、鶉などは、
歩くための腿が発達しているものの、飛翔のための胸の筋肉はいまいちなんですね。
したがって、飛ぶのは飛びますが、短距離しか飛べないんです。
このキジの弱点を利用して、葛巻のポインター氏はこんな作戦を立てます。
まず、A地点でキジを追いたてる。
キジは、習性通りB地点に向かいます。
そこで、B地点に人を配置しておいて、キジがB地点に着地する寸前に、物陰から姿を現し、
バケツのようなものをかかげて、棒でたたいて大きな音を出します。
キジは降りようとしたところに人がいて、しかも大きな音を立てるものですから、
空中でUターンをします。
きっと頭の中は混乱しているのでしょうね。
ともかく力の限り、危険回避のため飛ぶんです。
しかし、キジの飛翔距離には限界があり、そもそもB地点にたどり着くのがやっとなんですね。
そこで、Uターンをした直後にキジは酸欠状態になります。
息ができなくなった鳥は羽ばたくことができなくなり、空中から地べたに向かって落ちてくるんです。
地べたでバタバタしているキジを手で抑えるんですね。
銃なんか撃たなくったって獲物は取れるんです。

 

この葛巻のポインター氏はそのぐらいの技を習得しているくらいですから、目もやたらいい。
木の藪の暗がり辺りをじっと見つめて、ほらあそこに一匹身を潜めている、なんて指差すんですね。
でも素人には、どこにいるのか全然分からない。
また、ちょっとした風の音のような音でも、今鳥が鳴いたとか、凄い時は息遣いまで聞き取るんです。

 

私は、子供のころから、鳥類図鑑が愛読書だったくらいで、鳥の判別能力は素人離れしていたんです。
したがって、まず大きさ、羽根の色、模様、飛翔体型とか、鳴き声などで判断しますが、
だいたい、身近に飛んでくる鳥の種類ぐらいは承知していました。

しかし、鳥類に関する知識も、猟場では役に立たなかったんですね。

その銃猟の履歴も10年でおしまいにしました。
身近な環境で銃を撃つ場所が無くなってきたのと、
なんか、人の楽しみとして動物の命を奪う、ということに、妙な仏心を感じてしまったんですね。

 

銃を止めて45年経ちますが、この間の大きな変化は、何より環境の変化でしょ。
その頃、花水川の土手に犬を引いて行って、鶉猟に行ったことがあります。
今そこに行って見れば、家が立ち並んでいますし、当然ウズラは居ませんし、銃が撃てる所でなくなっていますね。
町の中にもみどりが減って、秋になれば山から下りてきた様々な鳥も、出会いのチャンスが減りました。
ビルの谷間を飛び交う、カラス、スズメ、キジバト、ムクドリぐらいで、他の鳥はしばらく見たこともありません。

 

私が松風町にいたころ見たことがある鳥のリストです。
カラス、スズメ、ツバメ、ヒヨドリ、キジバト、シジュウカラ、コガラ、ヒガラ、コゲラ、
キセキレイ、セキレイ、ゴイサギ、メジロ、ウグイス、メボソムシクイ、アオジ、ジョウビタキ、
モズ、ホオジロ、カワラヒワ、ツグミ、サンコウチョウ、アカハラ、トビ、コジュケイ、オナガ、ムクドリ。
まあ、言われてもその姿かたちは知らないと思いますけど、
ついこのあいだまでは、時々は見かけることがあった鳥たちです。

 

みんな達者にしているかな。

| 水嶋かずあき | 環境 | 11:16 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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