水嶋かずあきの甘辛問答

神奈川県平塚から、水嶋かずあきが語ります。
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ご祝儀相場とはいえちょっとおかしいんじゃない

ご祝儀相場というものがあります。
通常の価格よりいくらか色を付け、景気づけをしようというものです。
まあ、関係者としては景気づけをして、その先のいい流れを作りたいのでしょうが、
時に、度が過ぎるご祝儀相場があるでしょ。
よくあるのが、ある寿司屋がマグロのセリで、何百万とかの値を付ける。
それによると、赤身のまぐろ鮨一貫で、数千円になるという計算。
まあ、食べ物にこのような価格を付けるのは、基本的に間違えた行為だ、と思うんですね。

 

よく、ちょっとばかり気取った高級な飲食店、レストランで、
我々庶民には法外とも取れる価格の料理を出すところがあります。
たとえば、すしやで(銀座あたりの高級店)勘定をしてもらったら1人2万円ほどになったとか。
いや、うまかったね、とかの感想は、そりゃ当たり前でしょ。
2万円ですから。
庶民1人の一か月分の食費ぐらいのお金でしょ。
で、2万円の内訳をわけを聞いてゆくとネタにいいものを使っているとか。
いいネタは高い。
だから必然的に高くなる。
いいネタを出されて、さあうまいだろ、と言われれば、そりゃうまいでしょ。
で、いつも思うんですが、じゃあ、そのまぐろ一貫が2千円だったとします、
この食べ物に2000円を払う時に、

ネタに対して払っている比率が大きくて、腕に対して払っている比率は低いでしょ。

いいネタ前提での高級店は、腕で勝負の高級店より格が落ちると思っています。
ネタに金を払うより、腕に金を払うことが調理に対する意味がある、と。
超高級のステーキのお店なんかでもそうです。
腕より材料費にお金を払っているようなものです。

 

私は、料理の基本は、食べられないものを食べれるようにする作業のことだ、と考えています。
生米をそのまま食う人はいないでしょ。
それなりに炊飯します。
米の質もさることながら、炊き方次第で、旨い白飯が炊き上がる。
これって腕でしょ。

 

その昔、舟平の前身で一平と言う料亭がありました。
私は小学校に上がる年に紅谷町に引っ越してきて、その料亭の後方の住居部分で生活をしていました。
で、調理場には始終出入りしていたのです。
当時の板長の森脇さんと言う方が、小学生の私を捕まえて、時々料理談義をしてくれたのです。
その中で、料理っていうのは、食べれないものを食べれるようにすることなんだ、
と教えてくれたのですね。
切ったり煮込んだり、焼いたりするのは、食べれるようにするためなんですね。
食べやすいだけでなく、おいしくする。
口に入れた時に、至福の味わいが広がるようにと、料理をするわけです。

 

ある時期、水菓子といって、いわば洋食のコースのデザートのようなものです。
これに、時期のビワが出されたのです。
で、旬の時期は献立を固定しますから、半月程はビワが出されていました。
森脇さんはこのビワの種を取っておき、時期の終わり掛けに、ビワの種を甘煮に仕立てて出したんですね。
ホックリとなかなかおいしいものでした。
このことをとても印象的に覚えているのです。

 

ですから、私は、スーパーなどでおかずの材料を買いに行くと、
値引き商品を優先的に買います。
新鮮なものは正価で売っていますが、いくらか時間がたつと値引きすることがあります。
でも、値引きしてあるいささか鮮度が落ちたものでも、

腕でおいしいものはつくれる、という考えがあるんです。

 

ですから、腕のいい悪いはともかく、セレブ相手なのかどうかは分かりませんが、
法外とも思える値段の料理を出す、と言う神経そのものが理解できないんです。
まあ心底では、食材への冒涜じゃないか、と感じているんです。

 

で、なんと、鳥取市の鳥取港で、日本海の冬の味覚、ズワイガニの初競りが開かれて、
ズワイの最高級ブランド「五輝星」に認定されたカニが500万円で競り落とされたそうです。
いかにご祝儀相場とは言え、ちょっとやることがえげつなくないですか。
蟹一匹に500万円と言う神経がそもそもおかしい。

関係者も収入が多ければそれでいいのだ、ではなく、
もう少し食材の本来の在り方を考えるべきでしょ。

 

ちょっとこの浮ついたことのニュースを聞いて、

うれしい気持ちになった人なんていないと思うんですね。
いやはや、カニを馬鹿にしてませんか。

だって初セリが終わった翌日からは、いいとこ1万円台になるんでしょ。

| 水嶋かずあき | グルメ | 12:43 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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