水嶋かずあきの甘辛問答

神奈川県平塚から、水嶋かずあきが語ります。
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たくさんの命で生かされています

私は、シラスが大好きなんです。

正直、どこの産であれ、須賀港に揚がって、地元のシラス加工場で茹でられたものにはかなわないですね。
ですから、本当なら、平塚産の釜揚げと言いたいところなんですが、
須賀港までなかなか出かけられないので、ついつい、近所のスーパーなどの
棚にあるものを買ってしまうんです。

ものとしては、そもそもがシラスはサイズが小さいものですが、

それでも、大きいサイズのものを買うようにしています。

とは言え、スーパーの魚売り場に、サイズがあれこれ異なるものが並んでいることはありませんね。

ひと網で上がったものが、同時に配送されるわけですから、

チビはチビのサイズで揃っています。

ですから、細かいサイズの時は全部細かい。

 

私は、よほどのことがない限り、細かいものは買いません。
そもそもあんな小さな魚なんですから、体力もないでしょ。

それが網で引き寄せられ、荷揚げされ、加工場まで運ばれて、

茹でられるというプロセスを考えると、こまかいサイズは、体力的に持たない。
ですから、多少なりとも大きめのサイズのものがしっかりしているんですね。
大きい分だけ味もしっかりしていますし、実がグダグダする前に加工されるので、

旨い釜茹でが出来上がるんです。

 

で、このシラスは、やはり素朴に大根おろしに和えて食べるのが一番でしょうか。
もしくは、温かいご飯に山盛りにかけて、生卵をさらにかけて食べるというのもうまいものです。
丼にご飯を盛り、しらすを乗せ、生卵をかけるというしらす丼ですね。
生シラスだともっとうまいです。

 

で、自分の好みの食べ方をさんざん書いておいて、何なんですが、
このシラスを見るたびに、なんという数の命だろうか、と思うんです。
一口で数百、一食で数千の命を食べてしまうんですね。
時に申し訳ないかな、とか思うことがあります。
こんな風に仏心を持ったところで結局はうまいうまいと食べるんですから、
人というのは業の深いものです。

人間が一日三食食べたとして、一生で8万食から9万食は食べます。
ときにすきやきだったり、ラーメンに餃子だったり、ハンバーガーだったり、
まあいろいろですが、間違いなく、動植物の区別はともかく、命をいただいているんですね。
それもすごい数の命です。

 

ステーキを食べたとして、牛一頭の何百分の一か、何千分の一かを食べます。
シラス丼だと、何千匹の命を食べます。
どっちがいいのかとかの問題ではないんですが、
命一つの価値は同等だとすると、
シラスを食べるって妙に罪深くないか、と考えることがあるんですね。

 

たまたま、今朝、子持ち鮎を焼いて食べました。
まあまあの大きさで、腹はでっぷりとしていて、卵を目いっぱい抱え込んでいました。
いや、これはこれでとてつもなくうまいものでしたが、腹に抱えた卵を食べながら、
一体、何千という命の元を食べることになったのか、と思ったんですね。
食べながら、かみさんに、相当数の命を食べちまったな、といったら、
私もそう思いながら食べていた、と言ってました。

 

年の終わりには、おせち料理を仕込みます。
この中にはおせちの基本三肴と言われる数の子が入ります。
それこそ、一腹分の数の子で、何千という命の候補が、入っているわけで、
これが食卓に何十本か供されるわけでしょ。
そのほかに、いくらの醤油漬けがおせちに入っています。
これは粒が大きいですから何百でしょうか。
それと、子持ちシシャモの昆布巻き、いくらに和えるトビッコ、
去年はボラの卵のからすみも入れましたので、
なんだかんだと5種類の魚卵を詰め合わせたわけです。

人間はめでたいめでたいと食べますが、
肴の命の候補には、とんだ迷惑な話なんでしょうね。

 

| 水嶋かずあき | グルメ | 10:36 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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