水嶋かずあきの甘辛問答

神奈川県平塚から、水嶋かずあきが語ります。
<< 子どもに奨める生き方 | main | B級の統治能力でもいい >>
イノシシも恐怖を感じている

東京の町、といっても国立、八王子、立川、国分寺、といったあたりですが、
イノシシが出没している、というニュースが流れていました。
映像では、犬が散歩でもする様に、道をとことこと歩いているんですね。
時に駆けだしたりするので、市民は恐怖を感じて逃げ惑っていたりします。
正に猪突猛進。

 

で、こう言う現象が出てくると、とかく山に食べ物が無くなったから里に下りてくるんだ、
という解釈が至極、訳知り顔に語られます。
いや、そんな簡単な話じゃないんです。

 

昔々、日本列島に人間が住みつき始めたころの話です。
野原を棲息の場としていたイノシシたちは、それはのんびりとしたいい暮らしをしていました。
そこに人間が登場。
人間は、地べたを掘り起こし、食料を作るために、次々と野原を耕作地に変えて行ったのです。
当然イノシシが生息していた場所は少なくなってゆきます。
このように山際まで耕作地が拡げられるのに合わせて、イノシシは隅に追いやられてゆきます。
当然イノシシはその数を減らします。


1キロ平方の土地にイノシシの一家族が生活できたとします。
逆に見れば、一家族のイノシシが生活できるのには1キロ平方の土地が必要なわけでしょ。
その棲息可能な土地を人間に侵略され、狭くなってゆけば、数を減らしてしまうんですね。
で、この状態が進み、あるところで人間の耕作地づくりの侵略が止まります。
この状態で、イノシシと人間はある関係の中で一定のバランスを保ってきたんですね。
これがずーと続きます。
時に猟師がイノシシ狩りをしますが、そんなもんじゃあバランスを壊すまでにはならなかったのです。
イノシシはそれなりに繁殖力がある動物ですから。


所が、長く保たれてきたバランスが壊れてしまう出来事がありました。
それは1971年のことです。
農水省が減反政策を取ります。
つまり米作のコントロールをしようというわけです。
まあ前代未聞の悪政ですね。
だって、仕事をさせないどころか、米を作らないことの補助をするんですから。
田んぼがあれば、米を作らないという無労働に対価を払うんです。
妙な事でしょ。
ま、ある種の有給教科休暇のようなもんです。
で、この悪政は、確かの日本のコメ作りの質の向上にはつながりましたが、
様々な問題を生み出しました。
その一つが耕作放棄地の発生です。


どこかの田んぼをお休みさせろ、と言われれば、当然遠い場所のものを選択するでしょ。
そこで、山際の、ある意味辺鄙なところをお休みさせるわけです。
で、ここには人手が入らないから荒れてくる。
長い目で見れば、これは原野の復活です。
つまり、これまで隅に追いやられていたイノシシたちの復活のきっかけでもあったのです。
具体的に言えば、この数年後から、いのししの捕獲頭数が急激に増えてきます。
まあデータとしての裏付けもあるということですね。

 

イノシシの植生は、雑食です。
とくに好むのはミミズ、あと球根や根菜の類。
ですから、彼らは地面を穿り返すでしょ。
イノシシの食べ物は原則地面の中にあるんです。
ところがです、彼らはもっとうまい、物を発見したんですね。
それは、人間の食べ残しの残飯です。
里から下りてくるのは、ドングリが少なくなったというのはクマなどの話で、
いのししは、山より里の方においしいものがある、と知ってしまった場合なんですね。

 

そもそもイノシシは、数日間あるところに定住すると、移動をします。
これを繰り返すのですが、東京に現れたイノシシは、きっとこの移動期間の最中のことだと思うんですね。
ですから放っておけば、次の場所に移動するんです。
まあ無理に殺処分にすることもないのです。

 

イスラエル北部の港湾都市ハイファでは、市当局が駆除を禁止して以来、
多数のイノシシが市内に住み着いています。
ネットでその映像を見たのですが、ごく普通に街なかで餌をあさっています。
公園などで何頭かの群れがやってきて、植栽を掘り起こしてしまうんですね。
人々も慣れたもので、持ってる杖かなんかで追い払っている。
見様によっては微妙な距離で共存している感じがすするくらいです。
日本のように、恐怖のあまり逃げ惑ったり、逆に、銃を片手に追いまわしたりはしていない。
隣のうちの犬が入り込んできた程度の感覚なんです。
でも、迷惑は迷惑でしょ。
そこで、ありがちうな話ですが、
動物保護団体と駆除推進派の間で激しい論争が巻き起こっているそうです。

 

どこの国でも迷惑な動物というのは居るもんですが、
これは人の価値観。
どうして迷惑なのか、というと、

迷惑な行動をとらせるようにしてしまった人間の問題なんですね。
安住の地を奪ってしまったということについて、ちょっとは反省しなきゃですね。

| 水嶋かずあき | - | 11:10 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









トラックバック機能は終了しました。
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
<< August 2020 >>
+ SELECTED ENTRIES
+ RECENT COMMENTS
+ CATEGORIES
+ ARCHIVES
+ MOBILE
qrcode
+ LINKS
+ PROFILE