水嶋かずあきの甘辛問答

神奈川県平塚から、水嶋かずあきが語ります。
<< グレタさんのどこが悪い | main | 無事これ名馬 >>
ジャーナリストの本分を忘れてないか

今から四半世紀前の話です。
前年、J1の下部リーグでJ1昇格をかけて戦っていたベルマーレ。
最後の磐田との決戦に勝ってJ1昇格を勝ち取りました。
この年は、Jリーグが華々しく始まり、一種のブームを作り出していたのです。
しかし、ベルマーレは、スタート時に乗り遅れ、結果として第二次参加となったわけです。

 

年明けて、ひらつかの町もJリーグブームに乗って、

ベルマーレが地元チームということで大いに盛り上がったのですが、
中央のメディアにしてみれば、田舎のチームという印象だったんでしょうね。
で、ある在京テレビ局が、私達が立ち上げた市民応援団の密着取材を始めたわけです。

 

ストーリーとしては市内のそこここで街頭インタビューをし、市民の反応を伝える。
そして、J1としてのその年のオープニングの試合に貸し切りバスで出かける応援団の様子。
さらに競技場での応援風景を挿入する。
などのシーンをちりばめて、平塚におけるベルマーレと市民の関係を表現しようとしたんですね。

 

たまたま私の友人が、このバスに載っていたんですが、

その日、試合も終わり家に帰ってテレビをつけると、ちょうどその番組を放映していたんですね。
彼は、何回かテレビ画面に映って登場していました。

で、後日、私に憤懣やるかたない、という様子で、その番組の不満を言っていたんです。

彼が直接かかわったシーンなんですが、
当時やたら流行ったペインティングというか、チーム殻を顔に塗って、
いざ戦い、という雰囲気を作り出すんですが、
バスに乗り込んだ直後、一斉にこのペインティングをしたのだそうです。
鏡に映した顔をみて、あれこれ塗りたくるわけです。
いわば女性の化粧のようなもんでしょ。
当然、誰もが口数少なく黙々と化粧を進める。
テレビの画面では、この場面を長々と映して、静かなバスの中、という表現で、
逆に盛り上がっていない、コメントしたんですね。
彼が言うのは、そんな時間は最初の20分ぐらいで、
そのあとは応援歌を歌ったりと、大盛り上がりだったんだそうです。
でもそこはカットされてしまった。
この番組の意図としては、たかだか田舎のチームがJ1に昇格したけれど、
まあサッカーのなんたるかもわからない田舎者がなんか勘違いしてるんじゃないか、
といった感じの編集だったというんですね。
その前後の、街中でのインタビューも、ベルマーレってご存知ですか、と聞きます。
私も、SCNクラブの番組で、街頭インタビューをすることがあるのですが、
それはいろいろな答えがあるもので、一概に偏るということはないんですね。
ところがその番組では、ベルマーレの存在を知らない、という答えた人を
延々と登場させる。
で、コメントで、この街では十分にその存在が知られていない、と断言するんです。
正に編集の妙ですね。

 

結果として、テレビ局の意図として、

田舎町の田舎チームとのそのサポーター、という感じの番組になっていたんです。

 

これに不満を持ったので、知人のテレビ局関係者にこれらを未然に防ぐにはどうしたらいいか、
と聞いたら、なんだかんだと基本的にはシナリオがあるから、
それを見せてもらって、意味が気に食わなければ出演を断ればいい、と言ってました。
でも大概は見せてくれないと思うよ、と。
つまり、テレビ局の誠意を信じるしかないんですね。

 

基本は、誠実に情報を集める。
真理正義に基づいた番組構成をする。
これはジャーナリストとしての最低限にあり方でしょ。
どうも最近ジャーナリストの質が低下してきている、という感じがします。
一つは視聴率第一主義とでもいうような、視聴率の奴隷になってしまったと思えるような、価値観ですね。
確かに商品が売れるのか売れないのか、と言うのは経済の社会では当然のことですが、
それは単なる商売人の話。
ジャーナリストは、何をさておいても、やはり公正な視点が必要でしょ。
メディアで発信する情報というのは公器なんですから。

 

自民党の世耕弘成参院幹事長の記者会見をめぐり、
テレビ朝日番組「報道ステーション」が「印象操作」ともとれる報道をしたとして、
同社の幹部が謝罪した、というニュースがありました。
番組内の、例の桜を見る会に関するニュースに関係ない場面で、
世耕氏の発言をつなぎ合わせた悪質なケースだったんですね。
編集では、言ってもいないことは表現できませんが、
前後の文脈を、無視することはよくあることです。
特に、どこかを切り取るようにして印象付ける手法はしばしば行われています。
報道ステーションでは、桜を見る会の問題を取り上げた際に
「与党内は早くも年越しムード」というナレーションの後、
世耕氏の「もう良いお年をというか…」という場面を切り取り、
つなぎ合わせて放送し、スタジオでは番組キャスターが
「これだけ納得できないという声が上がっているのに、
良いお年を迎えられませんよという気持ちになってしまうんですけど」とコメントし、
あたかも世耕氏の発言が桜を見る会と関連したものだと印象付けたんですね。

これはちょっとひどいでしょ。
番組ディレクターがねつ造したわけです。

 

刑事事件で、時に冤罪が発生することがあります。
警察又は検事が、偏見と先入観でやってもいない犯罪の犯人を作り上げてしまうわけです。

このテレビの偏見に満ちた番組構成の手法を見ていると、

しばしば冤罪が発生する仕組みに似ているな、と思うんです。

ジャーナリストの根底にあるべきものは、人の幸せに寄与する、ということのはずです。
その意味でも、これは一発レッドですね。

| 水嶋かずあき | あれこれ | 10:26 | comments(0) | - | - | - |









   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< January 2020 >>
+ SELECTED ENTRIES
+ RECENT COMMENTS
+ CATEGORIES
+ ARCHIVES
+ MOBILE
qrcode
+ LINKS
+ PROFILE