水嶋かずあきの甘辛問答

神奈川県平塚から、水嶋かずあきが語ります。
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オゲの大冒険

私の友人で「オゲ」と呼ばれている男がいました。
彼は、時々このブログを読んでいるそうで、この文を読んだら、
何らかの反応をしてくるかもしれません。

まあ、彼は私の周辺にいる人物としては、飛びぬけて変った男で、
よくいえば、豪胆、見様によっては夢想家で、常人の感覚では
推し量れぬような行動をするんですね。
暫く、我が店で調理師として仕事をしていましたが、
独立して市内で店を構え、さらに暫くすると、UAE・アブダビのホテルに、
出店することになります。
海外に単独で店を構えるという発想と、実際行動してしまう、というだけで、
十分驚きだったのですが、その後の行動が輪をかけて驚きの連続だったんですね。

彼が、時々日本に帰ってくると、その都度海外での経験談を聞かせてもらうのですが、
まるで、インディジョーンズの冒険談のような内容ばかりでした。
私のような肝っ玉の小さい男では、さっさと日本に帰国したくなるような出来事ばかり。
詳しくはスペースがないので、いずれ本人の了解がとれたら、

そのエピソードのいくつかを紹介したいと思っています。

 

今回の話は、おそらく彼の中でももっともドラマティックな出来事の一つです。

話を聞いた当時は、詳細を覚えていたのですが、いくらかボケもあって、
あいまいなところはご勘弁ください。
オゲはレストランの経営をしばらく続けていたのですが、その後、いろいろあって、
店舗を手放し、その頃は、海外でもブローカー的な仕事をしていたようです。

海外の商品を仕入れて、日本で売ったり、逆に日本のものを海外で売ったりしていたのだと思うのですが、
その時は、東南アジアのある国で、経済活動を進めていました。
どこだかの町に一室を借り、そこを根城に動いていたようです。

 

単身ですので、身の回りのことを面倒見てくれる秘書兼任のような人を雇ったそうです。
たぶん、そこそこ現地の給料も安いので、専任の人ひとり雇うくらい何てことなかったんでしょうね。
で、まだ若い男性が雇われました。
話しのイメージでは、小柄な男ではなかったか、と思います。
初めはごく普通に下働きを有能にこなしてくれるので、
それなりの信頼を寄せていたようです。

 

で、ある日のことです。
事務所に戻ってみると、机の上に置いてあったセカンドバッグがない。
ま、大したものを入れてなかったそうですが、無ければないなりに様々な支障が出てくる。
当然ですが家探しをしたそうです。
で、その秘書代わりの男性を探したんですが彼も不在。
これは奴が盗んで、とんずらをしたに違いないと、ぴんときたそうです。
彼の住まいは承知していたので、車でそこを尋ねてゆきました。
家には年取った母親がいて、家に入ると、その男の名前を言って、帰ってこなかったか、と。
バッグがなくなった、と事情を説明。
母親は、事の重大さに気づき、大慌てで息子は戻ってきていない、
さらに、そんなことする子じゃない、と言いながら動揺していたそうです。
オゲは、らちが明かないので、家を出て、さらに心当たりのところへ向かったんです。
で、あちらこちら数時間ほど探し回っても見つからない。
手を尽くしたものの、先も見えないので、とりあえず事務所に戻ってきました。
と、そこに地元の警察官が何人かやってきて、
その秘書の家に行ったかどうかの確認をしたんだそうです。
オゲは行ったので、行ったというと、なぜか突然体を拘束されてしまいます。
一体どういうことなんだ、と言うと、
警察官は、さっきお前が行った家の母親が、死んでいたんだ、と。
オゲは驚きます。
だって、ちょっと前までバッグ盗難のことでやりとりしたばかりだったからです。
ともかく警察までしょっぴかれて、そこで受けた説明では、
オゲが家を出た後、家人が部屋に入ると母親が倒れていた。
で、確かめると息が切れている。
きっとさっき来たあの男が殺したに違いない、ということで警察に届けが出る。
で、それを受けた警察が、逮捕にやって来た、というわけです。

日本だったら、遺体解剖でその死因が特定できますが、
どうもその国では、そんなことしないらしい。
いわゆる状況の判断で、最後に一緒にいた男が殺した、ということになってしまったようなんです。
正に冤罪、濡れ衣です。

 

オゲの言うことには、脳梗塞かなんかだったんじゃないか、と。

私はこの話を聞き、念のため、失礼とは思いましたが、
首を絞めたとかしていないのか、と確認しました。
オゲは豪気で大胆不敵なところがありますが、
根はとても心優しいところがあって、いわゆるそんなことはできないんですね。
私は彼の無罪の主張を心から信じました。

 

で、ともかく十分な検証もなく、彼は拘置されます。
何日過ぎても事態は進展しません。
時々、訳の分からないものがやってきて、いくらいくら出せば、
国外脱出に手を貸す、とか言ってくるのだそうです。
この話は絶対乗ってはいけない、と彼は思います。
要はそういう国なんだ、と。
話に乗れば墓穴を掘ることになる。
彼は辛抱強く、チャンスを待ちます。
で、ある時、チャンスがあって、こそこそと飛行機に乗り込み、日本の戻ってくるのです。

 

なんとなくなんですが、ゴーンの脱出劇の話を聞いた時、この話を思い出しました。

オゲは、相変わらず、東南アジアや、ヨーロッパの国に出かけて行っては、
訳の分からないものを買付をしたりしているようです。
でも、いったんは殺人犯として捉えられたその国には、絶対に入らない、と言ってました。

再逮捕の可能性があるからです。

ですからゴーンもどんなことがあっても日本には戻ってこないでしょうね。

 

| 水嶋かずあき | あれこれ | 14:43 | comments(0) | - | - | - |









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