水嶋かずあきの甘辛問答

神奈川県平塚から、水嶋かずあきが語ります。
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サクラエビ盛衰記

かき揚げ天ぷらのベスト具材は、なんといってもサクラエビ。
そのサクラエビの不漁が続いているそうです。
ほんのちょっと前までは、気軽に手に入れることができたサクラエビですが、
おいしいし、海老にしちゃあまあまあ安価ですし、それだけに身近な食材でした。

 

このサクラエビ、そもそもが明治27年になって、漁網に入っていて、偶然発見された海老なんです。
以来、その優雅な姿と、小型ながらしっかりとした味わいが受けて爆発的に需要が伸びたのでした。
その主な産地は駿河湾で、由比と大井川が拠点になっていて、
それぞれに所属するおよそ100隻の漁船が許可証を持って漁をしているのです。
もともと、決して十分な漁獲量が見込めなかったことと、
寿命が短いため、その保護は当初から必要であるという認識がありました。
そこで、獲りすぎないようなコントロールが行われていて
出漁すると、時々刻々と漁船から現漁獲量が無線で報告されます。
組合では、これらを受信し、即座に合計漁獲量を算出し、一日の上限に達し次第、
今日は漁を終了してください、と無線で返し、
漁船は港に戻ってきます。
まあ、これだと獲れる船もあり獲り損なう船もあるということで、
水揚代金を全船でプールして、利益を分け合うあう「プール制」が1977年以来とられています。
実に、自律的な資源保護をしているわけです。

 

時に、多くの水産物が、乱獲によってその資源数を減らし、
その対策をしようと、それこそ国際会議でも開き、
各々の国の利益代表が、丁々発止の駆け引きをする、というのがしばしば漁業協定で観られたシーンです。
まあ、背は腹に変えられないのは分かりますが、駿河湾のサクラエビ漁に関しては、
中々、理知的で紳士的な協定をしているわけです。

 

ところが、ここに来て、サクラエビが不漁となりました。
サクラエビは春と秋の漁期があるのですが、一昨年の秋の漁期はあまりにも不良なので、

漁そのものが中止されたくらいです。
ここでじっと待つことで、資源回復ができるかもしれない、ということですね。

 

その昔、北海道のニシン漁が盛んで、その最盛期には、沖から産卵のために押し寄せる魚の群れに密度が濃く、
群れの中に漕ぎ出した舟の櫂を海中に差し込むと、

魚の押し合う力で、櫂が立った、と言われていたほどだったのですが、
突然ある時から、漁獲量が激減します。
この時はよく分からなかったのですが、
ちょうどそのころ時を同じうして、北海道の開発が進み、多くの森林が伐採されたんですね。
で、結果その森林の間を縫って流れていた川が表面的な流れに変わり、

地中の栄養分を海に運ぶことができなくなったんです。
そこでまず、岸辺の海草が育たなくなってしまいました。
そこに産卵にやって来ていたニシンも、産卵場所が無くなったのでやって来なくなってしまった、というのです。

 

しばしば、森は海の恋人、と言われてきましたが、
健全な陸地の構造が海に良い影響を与えるものなんですが、
陸地側に異変が起きると。そのまま海の生物にも異変が伝播するんですね。
したがって、駿河湾のサクラエビもこのような陸との因果関係があるのでは、と調査されました。
その原因の一つに
雨畑ダム(山梨県早川町)から雨畑川、早川、富士川を経て駿河湾に流れ込む濁った水が
餌のプランクトンの生育を阻害していると言う見解が出されました。
もっとも因果関係は確率しておらず、いまだ山梨県と静岡県はその責任のなすり合いをしているようです。

 

ここに来て、新たな説が浮上しています。

地震学者の武蔵野学院大学特任教授の島村英紀さんが、
不漁の原因の1つとして考えられるのは、湾の中の『駿河トラフ』で発生している『異常』を
サクラエビが感知しているのではないか、という新説です。
漁獲量が激減したのは、2018年の春漁から。
そもそもが、地震が発生する前には、
震源周辺の地面や大気に微弱な音や電気、電磁波などが発生する事が多いのです。
生物によっては、この微弱な兆候を感じ取り、反応することがあるようです。
有名な鯰ですが、視力が弱いため、より敏感にこれらの微弱な電気などを感知しやすいのだそうです。
したがって、地震はナマズが発生させるとかのばかばかしい話が、

かつては本気になって思われていたようですが、
これもナマズの特性であったことは間違いないのです。

 

ま、いずれにしても、台湾近海でサクラエビの生息が確認されていますので、
駿河湾産のものが手に入るかどうかわかりませんが、
当面は、サクラエビの入手に困ることはないようです。

と、一方では安心しつつも、
駿河湾を起点とする南海トラフ地震について、
その発生の可能性があるのではないか、ということですから、
手放しで安心できないわけです。

 

一難去ってまた一難にならなければいいですね。

| 水嶋かずあき | グルメ | 10:31 | comments(0) | - | - | - |









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