水嶋かずあきの甘辛問答

神奈川県平塚から、水嶋かずあきが語ります。
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ポピュリズムが生まれやすい社会

私達は様々な形態の情報の洪水ににさらされています。

 

以前、2週間の船旅をしたことがあります。
横浜を出て、香港に立ち寄り、グァムまでの2週間。
グァムからは飛行機で日本に戻りました。
この時、実に軽快に船上の時間は流れて行ったのですが、
船に乗って数日して、あることに気が付いたのです。
その頃習慣的に毎朝新聞を読んでいたのですが、
これが届かないわけです。

さらには携帯に電波も届かないから、電話がかかってこない。
つまり世間の動きと隔絶しているので、一般的情報も入ってきません。
当時は、まだスマホなんて存在していませんでしたから、世間様の情報と言えば、
ロビーの一角にある船に届いた情報を打ちだす紙切れだけ。
どんなものかと言うと、タイプライターの印字された紙のようなもので、
電波をキャッチすると、チーチーと音を立て、印字された紙が送りだされてくるんですね。
で、それを手にとって読む。
なんか通信というイメージでしたね。
そんなくらいですから、先ず情報らしきものの量そのものが少ない。
しかもぶっきらぼうなんですね。
その時、せめ読んだものが、たまたま大相撲の場所中だったもので、
贔屓力士の成績を知る程度のことだったんです。


世の中の出来事、政治のもめごと、芸能界のゴシップなど全く無縁の世界になっていたんですね。

で、改めて、平素はいかに不要な情報にかき回されているのか、ということを実感。
残念なことに私達は情報の受け手として、ありとあらゆる情報を並列的に受け止める癖がついていて、
主体的、能動的に情報を処理する能力に欠けがちです。


この情報処理能力は実に大事なことで、
ちょっとした流れで、天と地ほどの差が生まれてしまうんです。

まあ、いい例かどうかわかりませんが、韓国の例です。
大統領府ホームページに設けられている国民請願掲示板というのがあって、
これはだれでも閲覧できます。
そして自分の意見を投稿もできるのです。
で、ある決まりがあって、一定数の支持が得られたら、それを政策に反映させる、というシステムです。
まあ、現代版目安箱です。


で、今回、コロナウィルスの拡大に関して、中国人の出入りを禁止する請願が投稿されたんです。
と、あっという間にすでに67万人の韓国人が支持を表明しました。
これに合わせて、医師協会などの専門機関では

一時的に中国人の入国を制限しなければならないという意見を発表したのです。
しかし、これにより韓国政府が取った措置はと言えば、
14日以内に中国の湖北省に滞在したことがある外国人の入国制限を4日から実施するということ、
さらに、中国人専用の入国場を別途に設けるというのが、やっと取った対応策だったんです。
韓国のネットでは、これが生ぬるいと批判のもとになっているとか。

 

さて、ここで問題なんですが、

もちろん一般市民は正確な情報がありませんし、まして、専門的な知識もない。
さらには外交的なセンスも欠落しています。
彼らおん身を守ろうという意識は理解できますが、

外交というのは、このギリギリのところを渡るタイトロープみたいなところがあって、
国民の総意だからと言って舵を取っていたら、不都合な関係が生じることが多いんですね。
つまり、この国民請願掲示板は、一見民主的な政策運営手段の一つのように感じますが、
見様によっては質の悪いポピュリズムを作り出しかねない。
いいか、悪いか、正に紙一重ですね。


もちろん使い方によっては、きわめて民主性の高い道具になるはずです。

しかし、現実としては、いかなる政策に転換するか、という為政者の能力より、
一般国民の民意が大きく反映されるので、衆愚政治的な要素を抱え込んでいるんですね。
特に、今回のような事象に関しては、恐怖心があおられていますから、冷静な判断ができない。
ま、この恐怖心をあおるというのは、ただただマスコミのせいだと思います。
今日だって、例の横浜港沖に停泊している豪華客船の動向を中継で映したりして、
否が応でも、警戒心をあおっているように思えるんです。


このコロナウィルスに関して言えば、どう考えてもそれほどの脅威であるとは私は思えないんですね。

いわゆるいたずらに、情報の悪影響を与えている、と、マスコミに対しては思っています。
まともかく、このご時世ですから、情報の共有率はものすごいものがあります。
それだけに冷静で公平な視点の情報が必要でしょ。

 

なにも、国民請願掲示板でなくても、ネットでの情報のやり取りは、

国民の総意的なところになりがちなんです。

ポピュリズムとしての悪い影響が出るまえに、人間が作ったこのネット社会の問題を
真剣にチェックし、整理し、有効な手段に切り替えなくてはいけないですね。

| 水嶋かずあき | あれこれ | 13:03 | comments(0) | - | - | - |









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