水嶋かずあきの甘辛問答

神奈川県平塚から、水嶋かずあきが語ります。
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判例と前例

裁判で、原告と被告が争います。
それぞれ言い分があって、時に証拠となるものを持ちだしたり、
自らに有利な証言をする人を法廷に引っ張り出したりして、
ともかく、判決を少しでも有利に引き出そうとします。
刑事事件の場合は、検察が当初のもくろみに近い判決を得ようと努力します。
これに被告は反論するわけですね。
民事であっても同じこと、原告と被告の争いです。
ま、いずれにしても裁判ですから、原則として判決を出す。
ま、民事の場合は和解という選択もありますが、
一応、最終的に勝つのか負けるのかなんですね。


で、弁護士は、刑事・民事に関わらず、攻め手を考えつつ、
同時に、過去の判例を前提に、戦略を組み立てます。
多くの場合、この判例がそもそもの基準になって、争われます。
言い換えれば、ある種のマニュアルですね。
判例と言うのは、過去において、ある条件の争いを項目的に整理し、
それぞれの要因に判断基準を付け、
それらの総合的な判断と、独自の条件を勘案させて、
まあ、こんなものだろう、と言う判決を想定するのです。

 

以前もこのブログで書きましたが、永山基準と言うのがあって、
永山則夫が殺人を犯し、しばらく刑が執行されずに、時に、英雄的な言論で、
しばしば司法を悩ませたんですね。
つまり、死刑判決を出したものの、死刑そのものに対する基準があいまいだったため、
たぶん、ここは想像ですが、死刑執行に踏み切れなかったんじゃないか、と。
犯行当時彼は未成年であったということもあって、
関係者の中には、死刑判決そのものに疑問を持つものもいたようです。
そこで、司法として、死刑の基準を定めようと、定めたものが、永山基準です。
これが、オフィシャルに認められると、永山はすぐに死刑を執行されます。

つまり、死刑と言う極刑に対する誰しもがもつ躊躇の思いを、
基準を作成することにより、払しょくする、ということをしたわけです。

 

ま、これに限らず、判例と照らし合わせて、判断をするということは、

ごく標準的に行われていることです。
まあ、安定した判断結果を導き出せるという利点があると同時に、

欠点もあるわけです。
犯罪と言うのは、実に多様な要素が要因になっています。
一人一人の志向、性格などが違うように、犯罪も、その背景とか、容疑者の性格なども影響しますので
一概に型に押し込んで、判断するというのは、

問題がないわけではないのです。
人が人を裁くんですから、そこに人としての感情が挟まれるのは、悪いことではないでしょ。
私は、これは判例として、独自の個性多岐な判断があっていいんじゃないか、と。


だって、司法試験って難しいんでしょ。
その難関を潜り抜けてきたんだから、そこそこの頭脳は持っているはず。
その知恵と知識をもっと活用すべきじゃないか、って思うんです。

 

これに似たのが、お役人の前例主義です。
きっと、何年か、もしくな何十年か前にある先輩が、

お見事、と言われるような対案を考え出した。
以来それを超える対応策が出てこない。
そこで安全策を選択し、結局前例をなぞる、という判断をするんですね。
それが歳月とともに、固定化し、そう言うもんだ、という判断基準になる。
現役のお役人は、その前例を後生大事に抱えて入れば、まずは、無難の仕事をこなすことができる。
つまり面白いとかの要素は時に不謹慎になりますが、

間違いなくつまらない結論ありきの行政を展開するよりはましでしょ。
ですから、多くのお役人は、

自分の頭を使わない訓練をするうち、ついに、マニュアル信奉者になってしまうんですね。
これを硬直化、と言います。

 

前例には、必ず有効期間があります。

社会の情勢は変わっています。

新たに考慮しなければいけない要因も出てきているはずです。

行政の予算もそれほど潤沢ではなくなっているはずです。

これらの状況を抜け出るのは、

ひたすらアイディアしかないんですね。

そのアイディアを考えられるトレーニングを、まるでしていないということです。

前例主義から脱却しないかぎり、

お役人が寄与すべき社会の構築は、その未来に光を感じませんね。

| 水嶋かずあき | あれこれ | 13:41 | comments(0) | - | - | - |









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