水嶋かずあきの甘辛問答

神奈川県平塚から、水嶋かずあきが語ります。
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必要な農業の変革

日本人は典型的な農耕民族です。
生活の基礎はすべて農業にありました。
それが故に、士農工商という身分制度が形成され、堅持されたのです。
「士」は、いわば治める側です。
かつては武士階級、今は、政治家であり官僚です。
要は社会を管理する側とされる側の区分です。
で、管理される側としては、農工商の順に位置づけられていました。


まあ単純に区分すれば、食料を生産する第一次産業としての「農」です。
その生産をサポートする工具を生産したり、生活の資材を作り出すする「工」です。
つまり現在の二次産業ですね。
で、最後が三次産業で、それは生産物の流通を主として扱う分野で、商です。
まあ一応これが貴い仕事というか、偉い順に並べられているわけです。
要は、士農工商の順に偉いとされたいたんですね。

 

で、なんだかんだと、立国の基礎が農業にあったわけですから、
実態はともかく、農業は何時でもそれなりの保護をされてきました。
農業者への過保護に近いくらいの保護政策の最たるものは、
農地解放と減反政策でしょうね。
農地改革はきわめて民主的な対応として、それまでの小作人に、
一部大地主が占有していた農地を開放し、所有権を認めたわけです。
ま、見様によっては社会主義的改革ですね。
でも、これで、多くの農業者が復活したわけです。
それまでは生産物の中から、小作料として地主に上納していた分が、不用になったのですから。
私が、もし当時の農業者だったら、この政策について賛同し、

実施された時は祝宴を開いたと思うんです。
それほどの劇的な展開だったわけです。


で、次は、減反政策です。
まあ民主政治というのは、民の支持が前提で成り立ちますから、
支持する民への忖度溢れる政策がしばしば選択されます。
したがって、農業者の支持を得るために、他の国民から集めた税金を使い、
忖度すべきところに支援金を回すわけです。
この最たるものが減反政策です。
当時は日本の農業を救う、つまり農業者を救う、という大義のために、
米の生産調整をしました。
妙な話です。
正に国を挙げて、生産しやすく、収量の多い、また食味の良いコメの開発をし、
それが着実に成果を上げてくると、食の欧米化も進み、米の需要が減ってきた。
このままだと余剰米があふれる。
そこで、生産調整のための、生産をさせない政策が打ち出されたわけです。
これが減反政策です。
これって冷静に見てみると、仕事をするな、という事です。
そして仕事をしなければ、相応の金を支払う、と。

世の中で仕事をしないことに金が支払われるなんてことはないでしょ。
でも不思議なことにこれが行われたのです。
これって、ただひたすら生産意欲を損ないますよね。
ぶらぶらしていた方がよければ人は働くなくなるでしょ。

 

まして、農協の整備が進み、農業者は生産だけしていればいい環境が整えられます。
販売とか、生産の代金の精算は、農協がやってくれるのですから、
ともかく農家は農作物を作っていればいい、という状況が進みます。
もちろん、その手間は農協に支払われます。
何てことない、かつての小作料が農協への支払いに変わっただけのことです。
挙句の果てに、農業を展開する意欲が薄れてゆく。
体力的にきつい仕事で、しかもはかばかしい収入につながらない。
これでは後継者は出てこないでしょ。
そこで見る見る間に高齢化が進んでしまった。
挙句の果てに、トラクターなどの耕作機械が入れられないような辺地とか、狭小地などは、
作業をしなくなり耕作放棄地となってしまいます。
この耕作放棄地の日本全体の面積は、埼玉県全体と同じ面積、などと言われています。

ま、要は、農業は、かつて士農工商という立場の上位にあったものの、その地位は下がり続けたんですね。

 

とは言え、多くの人が農業の将来を考え始めました。
一つは、平成28年に成立した農業法人に関する法律です。
簡単に言えば、農業への参入を一般的企業でもしやすくするための法改正でした。
そして、これによる成果が徐々に出てきています。
一方、若手の農業者が、農協以外のルートで精算品を販売するルートを開発し、
これに着手したことです。
意欲的に、無農薬や有機栽培などの食品安全を目指し、その製品を直接消費者に届けようというシステムです。
これにはネット社会の拡充がその背景にありました。
私も知っている平塚の若手の農業者の意気込みはなかなかのものです。
新しい品種に挑戦したり、新しい農法を手掛けたりと、質の高い農産品を生み出しています。

 

こんな流れの中で、さもありなん、という情報がネットに記載されていました。
「全国に600ある農協のうち153の農協が赤字になる」という実態が報告されたんですね。
その理由ですが、今や農協は農産物での売り上げが低下し、農業そのものでは、大半が赤字ギリギリなんだそうです。
そこで、金融事業でその穴を補てんして来ました。
もともとは農業者のための融資制度を基本にして金融部門を立ち上げたのですが、
これが整備され、いわゆる一般銀行的な仕事をするようになったのです。
一事はそれなりに有用な運営が図られていたのですが、
マイナス金利政策の影響でをもろに受け始めたのですね。
これは、都市銀行がその経営に苦しくなって、次々と合併した来た通り、
農協の金融部門においても、苦しくなってきたわけです。
試算によると、1農協当たり最大27億円も金融事業が減益になることが想定さているのだそうです。
一個10円、20円の農産品を作っている現場にとって、

27億の赤字をどうやって解消してゆくんでしょうか。

これは、農業の抜本的改革が必要なんですが、かといって、巨大戦艦が方向転換をするには、
すぐには向きを変えられないのと同じで、多少の時間がかかるんでしょうね。
私は、余計なお世話とも思いますが、農協自体の組織転換が必要だと思うんですね。
特に、農協離れした若い農業者と話をすると、それを実感します。
若さを失った組織は、時に時代に取り残されてゆくんですね。

| 水嶋かずあき | あれこれ | 10:43 | comments(0) | - | - | - |









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