水嶋かずあきの甘辛問答

神奈川県平塚から、水嶋かずあきが語ります。
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命のため戦っている人がいる

東日本大震災の時のことです。
死者15,899人、行方不明2,529人、関連死者数3,739人と、
2万人余りの方々が犠牲になりました。
生き残った人、亡くなった方それぞれを分けたのはまさに紙一重の差だったようです。
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私たち平塚市料理飲食業組合連合会が、その年の10月、
東松島市の仮設住宅、およそ150人の方々へ、炊き出しに出かけました。
その施設の中央にある、一種の集会場のようなところでその作業にあたったのです。
で、配り終わって、後片付けをしていると、三々五々、食事を済ませた人たちがやってきて、
お礼を言ってもらったのと同時に、悲惨な経験の一部を話してくれたのです。
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その中で、70過ぎのおじさんが、話したことです。
警報を聞いて、家に戻り、家にいたかみさんを軽トラの助手席に乗せ、
高台に向けて走らせていると、津波の第一陣がやってきて、車は水没してしまいます。
慌てて脱出しようと、窓を開けようとしたものの電気系統がやられてしまって、
電動の窓が開かない。
もうパニック状態、混乱の極致になっているところに、

流木が当たって、運転席のガラスが割れます。
半分沈みかかった車から、旦那は、抜け出し、振り返って、かみさんに早くしろ、と怒鳴ります。
かみさんは、慌てて安全ベルトを外そうとしますが、これがなかなか外せない。
早くしろ、と何度も怒鳴りますが、車は津波に飲み込まれてしまい、

彼のかみさんは犠牲になってしまいます。
濁流に飲み込まれて沈んでゆく車の助手席で、救いを求めるような最後の表情を、
忘れることができない、と言ってました。
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私は、東日本の震災後、多くのマスコミが現地に行き、被災後の各地の様子を報道していましたが、
被災者にインタビューしている様子をテレビで見ながら、ある共通していることに気が付きました。
誰も誰も、皆、感謝の気持ちを言葉にするんですね。
受け止めようによっては、実に穏やかな心情です。
とげとげした感情は皆無でした。
もちろん、家族、身内、友人、同僚などを誰もが亡くしていて、
その心中は察するに余りあるものがありますが、それでも、だれも荒ぶった感情は出しませんでした。
そこで勝手な推察ですが、

何より、わが身が生き残ったということの感謝の念が大きかったんだろうと思うのです。

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命というのは、私たちは、あって当たり前でしょ。
一生の中でも、これで終わりか、なんて瞬間はそうそう経験しません。
でも、あの津波に襲われた時、目の前で多くの人が黒い波に飲み込まれ、
自分は、まさに紙一重で生き残った。
そして生きている。
命のありがたさを、まさに実感している人たちです。
寒いの、腹が減ったの、などという不満はかけらもない。
雪がちらつくような、あの時の寒さは、あまり語り継がれていません。
離れたところで、食べるものもなく、数日救援を待っていた人たちもいました。
寒さも空腹も、生きていることの証なんです。
もしかすると私も命を落としていたかもしれない、という思いの前には、
どんなこともありがたいことなんですね。
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命のありがたさを、私たちは普段あまり感じていません。
死というものが、どういうものかさえ、想像していないのです。
だから、というには、あまりに人として貧弱な思いでしょ。
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テレビで、パチンコ屋の前に並んでいるおばさんが、あっけらかんとして、
インタビューに答えていました。
「負ければそりゃあマイナスだけど、命までは取れれないしね」
確かに、その場で死ぬことはないでしょ。
でも、目に見えない敵を相手にしているということを忘れているんですね。
パチンコって、自分の楽しみでしょ。
自分勝手の極致じゃないですか。
因果関係が分からないかもしれませんが、自分がウィルスをまき散らすようになるかもしれないでしょ。
それで、人が死んだらどうなるんでしょうね。

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喫煙の副流煙で、日本では年間1万5千人が死ぬそうです。
ピストルで、1万5千人を撃ち殺す、と同じことでしょ。
因果関係を理解していないというだけことでしょ。

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同じくパチンコ屋の前のインタビュー。
あるおじさん。
「だってよ、競馬も競輪も競艇も、みんなやってねえんだよ。
せめてパチンコぐらいいいじゃねえか」
何と勝手なんでしょうね。
あなたのその楽しみの陰で、
息が苦しくて苦しくて、あえいでいる人がいるんです。
もうこうなると、人じゃないですね。
併せて、店を開いている人も人じゃないでしょ。
きっと、わが身が感染して、まともに息ができないような状態になって、初めて理解できるのかも。
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この様な状態になっていても、相変らず、マスコミは店名を公表していませんね。
マスコミも、世論が怖くて、正義を捨ててしまったのです。

 

| 水嶋かずあき | あれこれ | 13:33 | comments(0) | - | - | - |









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