水嶋かずあきの甘辛問答

神奈川県平塚から、水嶋かずあきが語ります。
<< 最大多数の最大幸福 | main | 家康が平塚に残したもの >>
潮目
潮目、という言葉があります。
潮の早さとか、塩分の濃度の違いとか、
要は一見同じような海水の流れでも、
少し性質の違う海水の状態で、あっちとこっちに分かれてしまい、
その境目のこと。
潮境とも言います。
この潮目は、比較的プランクトンなどが多く、魚も集まり、
漁場としては好条件がそろっているのだそうです。
.
私は今まで生きてきた中で、いくつかの潮目を経験してきました。
細かく言えば、それこそ年ごとに新しい潮目に出会ってきたわけです。
.
高校時代です。
趣味的なグループとしてバンドを組んでいました。
サックス、クラリネット、トランペット、ギター、ベース、ドラム、
それにピアノなど、その辺で楽器の扱える連中の寄せ集めでした。
まあ、言い換えれば、それがバンドだったんです。
で、卒業するころに、ベンチャーズが登場し、バンドと言えばエレキバンドとなります。
したがって大学のころもバンドを組みましたが、
この時は、エレキギター3本、エレキベース1本、ドラム1の構成でした。
学生バンドという世界では高卒のころと大学のころに潮目があったのです。
.
生活の中でもいろいろありましたでしょ。
トイレ一つとっても、ぽっちゃんの時代から水洗の時代への潮目がありました。
さらには、ウォシュレットという第二の潮目もありました。
昭和の30年代初頭では、遊興の拠点が料亭からクラブ、バーに変わって行きます。
私は、料亭の一角に暮らしていたので、その変化を目の当たりにしていたのです。
車、家電、ファッション、娯楽、グルメなど、
まあ、挙げれば、世の中全体が様々なイノベーションに満ちていたわけですから、
暮らしそのものが大きな潮目を何度も繰り返し経験したことになります。
平塚の町にしたって、車社会到来、とか言っていた時代に、
到来中心街に駐車場が少ないという市民の声に反応し、
まずは、と、現市民プラザの上にある立体駐車場を建設しました。
1994年創立のFM湘南ナパサでは、駐車場空き情報を地域情報として放送していました。
でも、今は、消えてなくなる商店の後の何割かは、時間貸の駐車場になり、
むしろ、その埋まり具合を見ていると、駐車場の供給過多になっているのでは、と思えるくらいです。
ゆっくりでしたが、ここにも一つの潮目があったわけです。
.
ですから見ようによっては日進月歩、日々に、月々に年ごとの進化だったのですが、
それでもなお、大きな潮目というものがありました。
それはアナログとデジタルの潮目です。
手書きの原稿を、青焼きのコピーにして郵送していたのを
パソコンで打ち出した文章をメールで送るようなものです。
.
高校時代の雑居的なバンドの構成もエレキバンドに切り替わりましたが、
私は、これは難なく受け入れてきました。
若さです。
そのほかの世の中のいくつかの潮目も、要はごくごく普通に取り入れてきました。
新しい潮を受け入れてきたんですね。
潮目そのものは認識したものの、ごく自然にその変化になじんでしまっていたのです。
.
ところが、ここにきて、アナログ世代の人間として、
デジタル的要因の多様化と進化に少しづつついてゆけなくなったんですね。
うちのかみさんはお友達と、プライベートにパソコン教室を開いて勉強しています。
私は性格上、人に教わるのが苦手なんで、自己流を貫いてきましたが、
さすがにここまでの変化にはついてゆけなくなったのです。
.
なんとなく見栄もあって、スマホにしていますが、相変わらずスケジュール管理と、電話しか使いません。
ただの一度もカメラを使ったことはないし、ましてゲームとかはしません。
今のスマホに変えてから、留守電の聞き方も理解できず、
申し訳ないけど、録音された音声はそのままストックになっています。
時々、留守電に入れておきましたが、などと言われることがあるのですが、
最近は堂々と、操作が分からないから聞いてない、と謝ります。
ああ、潮目に乗りそこなったな、と実感です。
.
片手で器用にキーボードを操作し、文章を打ち込んでいる若い人たちを横目に、
もしこのスマホが、せめて30年前に登場していたら、
俺だって片手だ、と思うんですね。
まあ負け惜しみですけど。
ですから、今度のコロナ助成金の類の申請で、電子申請しかない場合は、
ともかく最後まで手続きをやり切れないんですね。
たまたま、その手のことに堪能なものが身近にいたので、手伝ってもらいましたが、
いやはや、苦労したこと。
たった一つの書類を完成させるのに、3日ほどかかりました。
でも、内容が不備ということで突っ返されて、
再申請したのですが、きっと、この類の苦労をされた高齢者の方って多いでしょ。
.
コンビニで免許証の忘れ物が続出したんですって。
これは、コピー機に挟んだまま、取り出すのを忘れたからでしょ。
家の机の上で、ペンで書いたものだけでは申請書が完成しないんです。
そういう時代なんですね。
やれコピーの、PDFだの、書類一つがデジタル時代の基準を軸に置いているわけです。
したがって、今回のことでよくわかりましたが、
やはり、高齢者の言い訳は聞いてもらえないんですね。
少なくとも、私と同レベルアナログ的なの人たちは、まだまだ、4人に1人はいるんですから、
若い世代には、ツーカーのデジタル的な対応力は欠落している、という大前提が必要でしょ。
.
この大きな潮目ではっきりしたのは、
年寄は潮目に弱い、ということですね。
残念ですが、年を取るってそういうことも含まれるんですね。
徐々にこの潮目に乗り切れなくなって生きています。
| 水嶋かずあき | あれこれ | 07:37 | comments(0) | - | - | - |









      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
<< August 2020 >>
+ SELECTED ENTRIES
+ RECENT COMMENTS
+ CATEGORIES
+ ARCHIVES
+ MOBILE
qrcode
+ LINKS
+ PROFILE