水嶋かずあきの甘辛問答

神奈川県平塚から、水嶋かずあきが語ります。
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いただきます・ごちそうさま

年月の流れというものは、そもそもそういうものなのか、
人間の業で作り変えてしまった地球環境のせいなのか、
人を養ってきてくれていた多くの食材に影響を与えています。
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そもそもが、地球の耕作可能面積から算出して、人類を養えるのは、80億人と、
かつては言われていました。
現在は77億人。
限界まであと3億人です。
この40年間で、人口は倍増しましたが、その増えた人の口を満足させるだけの食料が
増産されているかどうか疑問です。
逆に、そのような増産体制が、今はともかく、今後の地球環境のことを考えたら、
無理をしていて、地球上のあちらこちらに、同時多発的にそのひずみが発生しないとは限りません。
特に、東南アジア、南米、アフリカなどの発展途上の国に々は、
天然資源がない場合、農業立地しか選択肢はありません。
いかにも、農業立地というと、緑豊かな自然環境を思い浮かべますが、
多くは、金になる作物の栽培が主体で、農産品輸出高が多いからと言って、
自国民が十分に食べて行けるのか、というと、そうでない場合が多いのです。
いわゆる、先進国の食卓のために、自国の環境を犠牲にしていることもしばしばあります。
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要は、地球の生産力には限界があって、その限界に近付いている、という現状の認識が必要です。
そのうえで、地球環境がバランスを崩している、という問題も重なり、
今後の食料事情は、何とかなるから、いままでどおりに行くとは限らないに、

視点を変える必要があります。
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昔はごく普通に食べていたものが、いつの間にか希少になり、

はっと気が付いたら高級品になっていた、
なんてことがあります。
まして、世間受けしようかと、初ぜりとか、大物マグロなど、本来の価格を著しく逸脱し、
その品種のイメージを作り上げようとしていることもしばしばです。
マグロが、一本億単位だったり、メロンやズワイガニが100万円単位だったり、
まあ、お遊びのようなものでしょうが、
食べ物でふざけているという性の悪さは、

いつかしっぺ返しが来るんじゃないか、と思うんですね。
私は特に、大食いの番組が嫌いです。。

あんなもの何の足しにもならないことでしょ。

品性のない番組の代表みたいなものです。

話は戻りますが、

それでなくても、大衆魚だったと思っていたら、あの鯵が高級魚扱いされていたり、
平貝や、アワビ、伊勢エビなど、手の届かないところに行ってしまったでしょ。
その昔の話ですが、注文をすると、築地の河岸から、赤貝が玉のまま一斗缶に入って送られて来るのです。
それを、板場の人間が何人かで捌くのですが、結構な時間がかかりました。
それほど、大した金額ではなかったから安易に使っていたんだと思うんですね。
それが今や寿司屋さんでは、高級ネタでしょ。
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ま、獲れなくなったんだから、ということでしょうが、この類のことは山ほどあります。
私は、秋田の学生時代からの友人がいるのですが、仲が良かったこともあって、
しばしば秋田を訪れたことがあります。
そして最初にごちそうになったのが、ハタハタです。
しょっつる鍋(塩魚汁と書きます)にして食べるのですが、
何しろハタハタは猫がまたいで通るといわれるほど、うんざりするような漁獲高でした。
暮れになると、ハタハタがトロ箱、数百円という値段で売られていて、
正月用にハタハタ寿司を仕込むのが、秋田の食文化の一つでした。
それが、ある時を境にパタッと獲れなくなってしまったのです。
当然ですが乱獲が祟ったのと、環境の変化です。
海の中では、目に見えない変化が出てくるもので、
特に案外海藻類は温度に弱いんですね。
そこで、所によっては白化現象と言って、いわば海藻が枯れてしまうことがあります。
するとその海藻に卵を産もうと魚がやって来ても空振りになってしまいます。
これが数年続けば、数は激減するわけでしょ。
海藻類の白化は、主に、海水温の上昇とともに、

陸から流れ込む栄養豊富な水の減少によって現れます。
森は海の恋人、と言われていますが、森がないと、地表を雨水が流れ、
そのまま海に流れ込みますから、十分に栄養がいきわたらない。
北海道でかつて、ニシン漁で沸いていたころ、海に舟をこぎだすと、
集まって来ている魚の群れが密集しているため、竿を海中に刺しても倒れなかった、
と言われるほど魚が寄ってきていたのですが、
ある時から減少し始め、それが段階的に漁場が狭くなっていったんです。
実は北海道の開発が行われ、森林が伐採されていったんですが、

その後を追うように漁獲高が減っていったそうです。

なんとなく、そのデータだけでも海の中の様子が想像できますでしょ。
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秋田に話は戻りますが、ジュンサイの収穫量が激減しているのだそうです。
これは日照時間が不足し、水温が低くなり、十分な生育ができないことが原因と言われていますが、
ハタハタ同様、秋田名物が危機に瀕しているということなんですね。
ジュンサイは、私は大好物の一つで、料亭などでは、芽の若いものを好み、吸い物のネタなどにしますが、
私はむしろ大降りに育ったものが好みです。
あのつるっとした食感がなんとも言えず、酢の物にしたり、みそ汁の具にしたり、
それはそれはまさに季節の旬を楽しむ、という感じなんですね。

これまた、高級食材になってゆくんでしょうか。

最もすでに高級食材の一つでしたが、
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少しづつですが、食材の状況は変わりつつあり、
ふと気が付くと、とんでもないような距離に離れてしまっている、
というのがよくあることです。
代替えの食材がいくらでもありますが、
消えゆく食材は、きっと私たちに何かを訴えているんじゃないか、と。
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いただきますとか、ちそうさまを、習慣のように、機械のように言っていないだろうか。
食べれることへの感謝を、もう一度再確認したいですね。

| 水嶋かずあき | グルメ | 10:46 | comments(0) | - | - | - |









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