水嶋かずあきの甘辛問答

神奈川県平塚から、水嶋かずあきが語ります。
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戦争はもうこりごりだ

もう50年ちょい前の話。
韓国に、いわば観光旅行に行ったことがあるんです。
まだまだそのころの韓国は、日本と比べると、歴然と後進国といった風情でした。
貧乏旅行でしたので、安宿に泊まったのですが、朝起きると、宿泊していた人たちは
共同の洗面所で、顔を洗うのですが、指先に塩を付けて、歯を磨くのです。
歯ブラシも歯磨き粉もない状態でした。
街中を歩いていると、時にはだしのままの子供がいたりして、
正に終戦直後の日本そのものでした。
朝鮮戦争が終わって、まだまだその負の財産を引きずっていて、
本格的な復興に手が回らない、という状態だったようです。
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その時感じたのですが、これは徴兵制が国の再興の足を引っ張っているんじゃないか、と。
どう考えても、最も生産性の高い世代で、しかも男性が生産の現場から外れるって、
少なくとも経済的な復興を進めるうえでは、大きなマイナスになるでしょ。
現実に今でも停戦状態であることに変わりがないのですが、
その当時の韓国は、もっと刺激的な環境でした。
なんかの理由、ちょっとしたきっかけで、北との戦闘が再開されかねないような状態でしたから。
否応なしに、若い男は兵隊として駆り出されていたわけです。
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日本と比較すれば、片やそのような戦闘寸前の状態。
日本は逆に朝鮮動乱景気で、戦後の経済復興の足掛かりを得ます。
韓国は、戦闘で国土が荒れてゆくのと、

それが要因で軍需産業を主体とした経済が充実してゆくと正に好対照じゃないですか。
そして、いささか落ち着いたとは言うものの、いわば停戦下なわけで、
準戦闘態勢を取るための社会的な負担が大きかった韓国と、
日本では戦争放棄ですから、100%生産に没頭できる、
この差は大きかったでしょ。
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こんなことをその小旅行から感じたんです。
言い換えれば、平和憲法を死守してきたからこそなしえた戦後復興という側面が
歴然と存在していると実感したわけです。
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さて、ある意味、今は太平の世が続いています。
戦後75年、およそ4分の3世紀、日本は幸いなるかな、戦争に巻き込まれることはありませんでした。
近代の様々な国家の中で、内戦、内乱、対外国家との戦闘など、

争いごとがなかったのは、珍しいことではないかと思っています。
太平洋戦争が終結した1945年を基準に考えてみると、韓国、中国、ベトナム、ロシア、東欧諸国、中南米、中近東諸国、
アフリカ、東南アジア、そして、何かとちょっかい出してくるアメリカなど、
多くの地域で血なまぐさい争いがありました。
ヨーロッパ本土では交戦が無くても、アメリカの尻馬に乗って、

他国に出かけて行って戦闘をしたことがある国は、いくつもあるでしょ。
とりあえず、巻き込まれずに済んでいるのは、日本と、あと北欧系の国、一部ヨーロッパでしょうか。
ま、いずれにしても、何だって人は人を殺すことを平然とするんでしょうか。
性悪な生物なんですね。
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その意味で、平和憲法の下、自衛権というものの解釈をめぐって、様々な議論がされてきましたが、
時間の経過とともに、やはり変化が出てきました。
一つは、1950年、終戦5年後、警察予備隊から始まって、その二年後、保安隊に改称。
さらにその2年後、自衛隊が組織されます。
平和憲法を定めて10年もたたずして、日本が軍隊を保有するようになるのです。
この豹変とも言うべきことは、朝鮮戦争や、中国における共産主義勢力の拡大を受けて、
アメリカがアンチ共産主義を貫くために日本に再軍備を促した結果なんです。
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そしてご存じの通り、ああだこうだは理屈を並べながら、

集団的自衛権とかいう様な行動を容認されるようになってしまいました。
つまり、日本国以外の紛争に出かけてゆくことができるようになったのです。
もうこれは歴然と戦争をする、ということの容認でしょ。
今回のように大災害が発生すれば、2万とかの自衛隊員の派遣は大いに意味を持ちますが、
通常で、年間5兆円を超える予算を確保しているということ自体、
戦争放棄の国とは思えないんですね。

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で、ここにきて、「敵基地攻撃能力」ということが出てきました。
露骨な表現だ、ということで、「自衛反撃能力」「敵基地反撃能力」「スタンドオフ防衛」とか言ったらどうか、
など言われているようです。
いずれにしても先制攻撃ではなく、自衛のための行動だと言うニュアンスでいわれているんですね。
でもどう考えても、自衛という概念をはみ出ているでしょ。
確かに、75年の中で、平和への考えは変化してきました。
終戦直後は、ほんとうに100%の日本人だれもが、
もう戦争はこりごりだ、と思ったんです。
でも戦争を知らない世代が増えてくると、考えもいくらか変わってくる。
だから、自衛隊の自衛的受け身の体制がどんどん崩されて、攻撃性の強い側面が前面に出つつあるわけです。
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どう考えても、イージスアショアは、まだまだ自衛的概念の兵器でしたが、
ここに急浮上した敵基地攻撃能力というものが、具体的に何なのか判然としませんが、
少なくとも、その言葉上の概念だけ受け止めても、
自衛のための戦力とは思えないでしょ。
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こういうと、好戦論者は、そんなやわな考えじゃ、やられっぱなしになってしまう。
真に国民を守るというのは、相手が手を出しかねるような戦力を持つことで、

これこそ抑止力となって、平和を維持できるのだ、と。

抑止力神話の大失敗が、かつて東西冷戦時にあったことすら知らないのですね。

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まあ、理屈はそうでも現実をもっとしっかりと見ないと。
弓矢と槍と刀の戦闘と、鉄砲が取り入れられた戦国時代の戦いの概念は変わってきました。
第一次世界大戦の塹壕戦の戦法は、第二次世界大戦の時は使えませんでした。
最大の理由は武器が著しく進化したからです。
さらにここにきて、人命をそこなくことなく攻撃できる戦法に変わってきています。
なにをもって、どのような武器で守り、攻撃するのか、ということが時々刻々進化しているのです。
素人考えですが、イージスアショアの設置を断念したのは、
北朝鮮の戦闘能力が進化し、
イージスアショアでは対抗できない、と判断したんじゃないでしょうか。
正に無用の長物をとてつもない金で配備しようとしていたわけです。
きっと安部ちゃんがトランプにへつらうために口約束したんでしょうね。
こうなると、まさに平和憲法もなにもあったものじゃない。
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忘れないでほしいのです。
1945年8月15日、
太平洋戦争終結の日に、日本人が何を感じたのかです。

若者よ、あなたの両親が、祖父母が、どんな思いで、あの戦争を総括したのか、

ちょっとでいい慮ってもらいたいのです。
戦争はもうこりごりだ、です。

 

| 水嶋かずあき | あれこれ | 10:11 | comments(0) | - | - | - |









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