水嶋かずあきの甘辛問答

神奈川県平塚から、水嶋かずあきが語ります。
<< 過剰反応 | main | 老老介護 >>
未来の予測

動物には、時間の長短はありますが、未来を予測する力があります。
これは個体維持のうえで、つまり死なないために、どうしても持っていなければならない能力で、
本能の領域に組み込まれています。
もちろんどんな動物であれ、成長過程で、その未来予測能力は磨かれて行きます。
.
例えば、私は、今、メダカを飼っていて、今年はいろいろ注意しているので、
ものすごく繁殖しているんです。
今の代は、それまでが何回か全滅したので、この春、全く新しく購入しました。
全15匹。
で、これが親になって、次々と卵を産み、これが孵化し、かなりの生存率で少しづつ成長しています。
総数で、正確には数えきれないくらい。
6つの水槽で、なんだかんだと4〜500匹。
で、生まれたては、全長1ミリそこそこ、針子と呼ばれているんですが、
正に糸くず以下のサイズです。
にもかかわらず、こんな小さな体でも、上からのぞくと人影が映るんでしょうか、
さっと移動します。
それが群れ全体で動くんです。
最初は、警戒心が強いんだな、と解釈していました。
まあそれに違いないのですが、この動きは、危険回避のものなんですね。
つまり、ある状況判断をして、そのあとの対応として、位置を変える。
そのまま対応せずにそこにいると、身の危険が増す、という判断なんです。
.
角が頭に生えているトムソンガゼルが、草原でライオンの姿を見ると、
ある距離がある場合はそのまま草を食べていますが、
近づいてある距離を切った場合、必ず反対方面に走って逃げます。
このままだと、食べられてしまうかもしれない、と判断するからです。
つまり極めて、近い未来を予測するんですね。
ライオンはライオンで、このまま追いかけても逃げられてしまう。
そこで、群れの中で一部が、反対側に回り、そこに逃げてきた場合、
そこに位置したものが仕留める、という集団での狩りをします。
これはこれで、こちらに来るかもしれない、という未来の予測をするんですね。
.
メダカのように、ほんの1秒未満かもしれませんが、未来を予測する。
ライオンなんかは、数十秒の未来予測をする。
で、我ら人間ですが、ほぼ無限に近いくらい長い未来への予測をする。
そういう動物なんです。
そのための脳の容量が多くくなってきましたし、
より複雑な思考にまで発展してきました。
しかしすべては、未来予測のための能力が基本になっているはずです。
私たちは普段の生活の中で、絶えず未来を予測しています。
いいかえれば、暮らしとは、予測された未来の、いいほうの選択をして行くことの繰り返しなんですね。
ですから、人間の予測能力は、メダカよりも、さらにはトムソンガゼルよりも、ライオンよりも
長い時間の予測が可能なわけです。
.
この予測時間が伸びていったときに、人は死んだらどうなるのか、ということを考えました。
つまり生きているうちの予測が頂点に達したところで、
死んだらどうなる、と言うところにたどり着いたのです。
この思索の延長で宗教が生まれてきたのではないか、と思うのですが、
いずれにしても人はとてつもなく長い時間の未来を予測できるようになって、
その具体的な形が「夢」に結び付いたのです。
人は、夢という望ましい未来系を予測し、それによって生きる力を得てきました。
メダカの一秒、ライオンの数十秒が、
人の場合、無限の能力に進化させた、ということが、
実は人類の進化、だった、と言えると思います。
現在の様々な文明的進化もすべて未来予測能力のその基礎にある、と思うんですね。
.
話は変わります。
まずは、藤井聡太君、おめでとう。
やったね、ですね。
もうこの対局の最初から勝敗が気になって気になって、
しばしば、ネットでその情報を集めていたんですね。
昨日の夕方だって、どうなったのか気になり、

どこかに情報が出ているんじゃないかと、探し回ったんです。
で、初戴冠というニュース、うれしかったですね。
大人が勝手に暗い世の中を作り出している中、
まだ少年が、希望の光をともしてくれた、という感じです。
おめでとうと併せてありがとう、と言いたいです。
.
で、この渡辺明三冠との五番勝負の第一局、
58手目、確か23分ほど考えた挙句、3一銀を打ちます。
わたしは将棋音痴なのに、中継でこの勝負の行方を見ていましたが、
素人ながら、何の魂胆があるのか、と疑心暗鬼になる手でした。
今は、盤面の解説とともに、差し手の評価が出ます。
つまり、AIの判断で最良手が示され、それ以外の候補が四手ほど。
それぞれに形勢判断に対する評価点がついて、次善の手はこれ、とか出てくるのです。
で、その中に3一銀は出てこない。
ま、ともかくこの第1局は藤井7段の勝ちでした。
で、AIにこの3一銀の評価をさせたところ、なんと6億手を超えたところで、
最善手である、ということが出てきたそうです。
6億というのは、一直線に6億手をつなげてゆくわけではありません。
ああだこうだと手の指し具合の攻防をすべて足し算しての6億です。
ま、ともかく、コンピューターで6億手を読んだ内容を23分で読み切っているわけですから、
未来予測能力の最たるものでしょ。
.
村田英雄の歌「王将」のモデルになった坂田三吉さんが、
関根王将との一番で、伝説となった2五銀を打ちましたが、
これを超える3一銀となりそうですね。
.
あの若い、さわやかな少年と言うか青年が、
AIの6億に匹敵する未来の予測をしたということに、
わがことのように喜んでいます。

| 水嶋かずあき | あれこれ | 07:00 | comments(0) | - | - | - |









      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
<< August 2020 >>
+ SELECTED ENTRIES
+ RECENT COMMENTS
+ CATEGORIES
+ ARCHIVES
+ MOBILE
qrcode
+ LINKS
+ PROFILE